砂浜に星を描き 星空に砂を写す 

三澤 透一

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プロローグ

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 おおきなおおきな満月の日だった。
 今夜の月は、スーパームーンと呼ばれるらしい。僕は朝の気怠い環境下で、難しい漢字やら意味不明なカタカナの羅列が並ぶニュースや新聞を嗜む人たちにまったくもって共感しないスタンスを貫いてきたので、詳細は不明だ。詳細を聞けるような友人やクラスメイトもいた試しがないので、不明どころか闇の中なのだが。
 いや、正確には1人だけいた事があった。ただ、彼女はまぁ、クラスメイトでもなければ、友人という簡単なくくりに出来るものであるかと言われるとまた難しいものであったし、何より、彼女なら、聞かずとも僕に無理やり聞かせてくるだろうから、結局僕に、詳細を聞ける人物はいなかったという事実は揺らがない。そう、僕の生活は何も変わってはいない。例え変わったとしても、それは空から小さな星を1つつまんで隠してしまった程度の違いなのだ。
 そういえば、とふと空を見上げてみる。最近部屋から1歩も出ない日々が続いていたので突然の視点の切り替わりに少し目眩がする。眼前には、星空。つつぅっと埃を取るように星をなぞり、月を捉える。そのまま目だけ動かして、見つけた。
 「お、あった」
薄暗い空に一際明るく光るひとつの点。その点を見つけて、僕は今日もまた安堵する。そして今日は、残りわずかの帰り道をまた歩み始める。
 これは、そんな何も変わらない毎日の少し前におきた、これまた何も変わらない毎日の話だ。
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