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愛していたのは魔力だけ
「……っ」
「私は小さいころから、病気で我慢ばかりしてきたわ。お姉さまはその時学園に通い、ずっと先生の称賛を受け、ファタール様、あなたや周りの称賛を受け、楽しく過ごしていたでしょう?」
「そうよ、ミアーラはずっと我慢していたのよ!」
母も、当然だというように頷く。
「だから、今度は私の番よ。何がいけないの?」
「今はもう、健康を手に入れただろう!? それで、十分じゃないか!」
ファタールの言葉に、ミアーラは煩わしそうに髪を払った。
「仕方ないじゃない。病弱だった私が上手くいくためには、聖女になるのが一番なの。お姉さまみたいな膨大な魔力は先祖返りっていうんだって。これがないと聖女にはなれないわ」
「このままだと、エリアーナは確実に死ぬ。お前の功績など、些末な事だろう」
「聖女が些末なはずないでしょう? 私は病弱だったから、その分取り戻しているだけよ。まあ、でもそうね。確かに今、お姉さまから魔力がもらえなくなるのは困るわ。それまでに結婚して聖女を引退しないといけないから」
「ファタール様、宮廷魔術師なら、聖女の相手としてもふさわしいわ。あなたも、その地位で独身では困るでしょう?」
ミアーラは当然だといい、母も何の疑問もなく頷いた。父はファタールからミアーラを守るように肩を抱き、ミアーラに微笑んだ。
「ああ、ミアーラ。お前に結婚されるのはさみしいが、婚姻は急がないといけないな」
ファタールは、通じない会話に、苦しそうに叫んだ。
「ふざけるな! エリアーナを何だと思っているんだっ。エリアーナは便利な道具じゃないんだ!」
私は、ミアーラと父母の言葉を、呆然と聞いていた。
なんとなくわかっていた事を突き付けられ、私は苦しさに息を吐いた。
誰も、私が生きていることを望んでない。魔力が必要なくなる時まで、生きていれば、それでいい。
ずっと私だけが、魔力を作るために違う食事でも良かった。
一人で食べていても、どんなに遠くで楽しそうな声が聞こえ苦しくても、微笑みかけてくれればよかった。
ミアーラのために生きれば、必要だと言ってくれたから。
魔力を渡せば、愛してると言ってくれたから。
……でも、それは、家族4人での事だって、ずっと思ってた。
「……愛しているのは、私の魔力だけなのね」
口にしたら、腑に落ちてしまった。
何度も言われた、もう楽しんだのだからミアーラの為に魔力を渡すように、と。
それは、ミアーラの為に生きて、死ぬことだったのだ。
「それに、ルアージャ伯爵。俺は、最初からエリアーナと会いたいと伝えていたはずだ」
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「だから、今度は私の番よ。何がいけないの?」
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ファタールの言葉に、ミアーラは煩わしそうに髪を払った。
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「このままだと、エリアーナは確実に死ぬ。お前の功績など、些末な事だろう」
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「ファタール様、宮廷魔術師なら、聖女の相手としてもふさわしいわ。あなたも、その地位で独身では困るでしょう?」
ミアーラは当然だといい、母も何の疑問もなく頷いた。父はファタールからミアーラを守るように肩を抱き、ミアーラに微笑んだ。
「ああ、ミアーラ。お前に結婚されるのはさみしいが、婚姻は急がないといけないな」
ファタールは、通じない会話に、苦しそうに叫んだ。
「ふざけるな! エリアーナを何だと思っているんだっ。エリアーナは便利な道具じゃないんだ!」
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「……愛しているのは、私の魔力だけなのね」
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