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第8話
しおりを挟む急になんだ!?と思って横を見上げるとクリスくんが立ち上がって真剣な顔でこちらを見ている。どうしたのかと聞こうと口を開こうとしたが、それはクリスくんによって遮られてしまった。
「美緒、俺じゃダメですか?」
「えっ、別にいいけど。」
今まで聞いたことがないくらい流暢な日本語でそう聞かれて驚きながらもすぐに返事をする。そんな真剣な顔をしながら聞いてくるなんて何かと思ったらそんなことか。クリスくんもお化粧に興味があったのなら早く言ってくれればいいのに。日本人とは違った彫りの深いお顔と色素の薄い瞳や髪の毛にどんなお化粧が合うのか試してみたかったんだよな、と思いながらクリスくんのほうに意識を戻すと許可を貰えると思ってなかったのかぽかんとしている。
呼びかけても反応がない。クリスくんまでどうしたのだろうかと思っていると急に我に返ったクリスくんが顔を真っ赤にして目尻に涙を溜めてうるうるとする。なんだなんだとあわあわする僕をひょいとクリスくんが横抱きにした。
いつの間にか鼻と鼻が触れそうで触れない距離に顔がある。流石に恥ずかしくなって赤くなった頬を手で押えているとクリスくんが口を開いた。
「美緒。俺、美緒がbitchでもいいよ?だから、責任取って最後まで俺のことお世話してね?」
(クリスくんこんなに流暢にしゃべってたっけ?てか、びっちってなんだろ?責任取らなきゃいけないようなことしたっけ?絶対かわいくしてよってことかな?)
クリスくんの言葉に疑問が止まらない僕をよそに角度を変えたクリスくんの顔が一旦離れる。そのままクリスくん唇が僕の唇に触れようとゆっくりと近づくが、考え込んでいる僕は気が付かない。触れるまであと数mm──
「ちょおおおおっと待ったああああ!」
声が聞こえた瞬間近くにあったクリスくんのお顔がものすんごい勢いで離れる。声のほうを見ると息を切らした西ちゃんがいた。調理室でこんなに息を切らすことがあるんだ、とぽけーっとしていると息を整えた西ちゃんが口を開いた。
「…っ美緒!俺は!?俺はダメなのか?俺は美緒に俺だけを見てて欲しい!」
告げられた言葉に思わず目を見開く。
(西ちゃんってお化粧に興味あったんだ…)
知らなかった。それに俺だけを見て欲しいって専属のメイクさんになって欲しいってこと?すっごくこだわってるんだなあ。思わず感心していると「へっ、…返事は?」と西ちゃんに急かされる。そうだった。返事ね。
「いいよぉ。それにしても西ちゃんがお化粧に興味あるだなんて知らなかったなぁ。」
思ったままを口にするとそこにはぽかんとした西ちゃん、正面を見るとこれまたぽかんとしたクリスくん。今日はみんなずっとこの顔だなーっなんて思っていると西ちゃんが顔を引き攣らせながら尋ねてくる。
「お前、その…お泊まりってのは…」
「うん、ゆいちゃんのお顔とってもお化粧映えしそうだなって思って。お化粧たくさん試したいし朝にもしてあげたいからお泊まりがいいなって思って誘ったの。」
その発言を聞いた西ちゃんが膝から崩れ落ちる。いったいどうしたんだ。不思議に思って眺めているといつの間にかみんなのおしゃべりが再開されてることに気がついた。なんで黙ってたんだろう、と思っていると西ちゃんがのろのろと立ち上がった。
「だがしかし、それとこれとは別だよなぁ?美緒を下ろせ。クリス。」
そう言って下を指さす西ちゃんにピクリとも表情を動かさないクリスくんは僕のおでこにちゅっとキスをおとすとそっと僕のことを下ろした。
僕がクリスくんから離れた瞬間「…ってめぇっ!」と言う声が聞こえたと思ったら西ちゃんのドロップキックがきれいに決まっていた。
そのまま喧嘩が始まり、えっ!?どうしよう!?とあわあわしてると騒ぎを聞きつけたたけくん先輩がやってきた。思わず駆け寄ってひしっと抱きつくと頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「お父さん助けてぇ…。」
「お父さんではないが任せろ。」
そう言って2人を止めに行く。案の定2人がたけくん先輩にボコされて正座で3時間のお説教をくらったのは言うまでもない。
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自分の可愛さを自覚してる受けが大好きなんです!
美緒くんの鈍感さに振り回されるみんながもっとみたいと思いました( ´ω` )
続きを楽しみに待ってます!
私も美緒くんみたいな受け大好きなのでそう言ってもらえて嬉しいです!
感想ありがとうございます!