BL短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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【ハッピーエンドと誰が決めた】

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『白雪姫~! 僕たち、ちょっと熊を狩りに行ってくるね』


 なんともたくましい小人たちがそう言ったのは、早朝のこと。

 オレは小人たちに作ってもらった朝ごはんを食べながら、数回、頷いた。


『オッケー、小人たち。……なんかやっておくこととかあるか?』


 職なし、資格なし、特技もなし。
 秀でているのは継母が嫉妬に狂い、羨みまくるほどの美貌。

 そんなオレでも、一応【善】の心はある。

 ……つまり、一宿一飯の恩を毎日返したいという気持ちはあるってことだ。


『窓拭き』
『キッチンの掃除』
『ジャグリング』


 小人たちは口々に、オレへのオーダーを伝えた。

 ……まるで、しりとりだな。

 というか、最後のジャグリングって何だ? しりとりにしたいがために、ムリヤリつけたんじゃないか?


『無理矢理じゃないよ、白雪姫』
『何で心を読めるんだろうなぁ、この小人たちは』
『小人だからだよ、白雪姫』
『あ~、完全に理解したわ~』


 オレは苦笑しつつも、すぐさま了承。

 それから、少しして。
 オレは小人たちを、気持ちよく見送った。

 ──そこまでは、良かったんだ。


 * * *


 窓拭きを終えたオレは、キッチンの掃除に勤しむ。

 部屋の掃除とかは今よりもっとガキの頃から苦手だったけど、キッチンとかの掃除は割と好きだぜ?
 だって、水垢を見てなにかを懐かしむなんてこと、ないだろう?

 鼻歌交じりにシンクを磨くこと、数分。

 突然、小人たちのではない声が響いた。


『誰かいませんか?』


 それは空腹を感じ始めた、昼過ぎ。

 誰かが、扉を叩いた。……おそらく、声の主だろう。
 声からして、女のようだ。

 来客自体が珍しい、この森林。
 オレはキッチンの掃除を一旦やめて、呼ばれるがままに外へ出た。


『うぃーっす、留守番でーす』
『これは、ご丁寧に。……私は、一切合切全く怪しくない素敵で優しいリンゴ売りです』


 黒いフードを深くかぶった女がそう、挨拶をする。
 手には、リンゴがたくさん入ったカゴ。

 …………ゴクリ。

 ……イヤ。イヤイヤ、ダメだぜ、オレ!

 いくら美味しそうなリンゴでも、知らない人からいきなり購入するなんてできない!

 小人たちには『白雪姫は社会的常識が欠如しまくってるから、安易に人と会話したら危険だよ』って、メチャクチャに注意されてるし!

 そもそも金がねぇッ!

 ……誰が社会的常識の欠如しまくったクソニートだってッ?


『あの、もし』
『あァ?』
『ひ……っ! 白雪姫……屋敷からいなくなったこの数日間で、いったいなにがあったの……?』


 リンゴ売りのオバサンは、フードの下でなにかをモゴモゴ言っている。

 もちろん、頭の中がリンゴと怒りでいっぱいのオレには、よく聞こえなかった。




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