未熟な悪魔を保護しました

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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10章【未熟な社畜は知りませんでした】

20 *

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 折角起き上がったのに俺たちはまた、ベッドの上で寝転んでいた。

 一度キスをし始めたら、なんだか止まらなくて。俺がカワイを押し倒して、カワイがそれを受け入れてくれた。今の状況は、こんなところだ。


「カワイ。次はどこを触ってほしい?」
「……口が、いい」
「キス?」
「うん。もっと、キスしてほしい」


 可愛い。そう思うと同時に、気付く。……思えば俺、こういうキスもカワイにしてあげていなかったな、って。

 挨拶みたいなキスはしていたけど、なんて言うのかな。こうした、恋人っぽいキス? それは、あまりしていなかった。なんだか、申し訳ない。

 カワイのためって言えるほどじゃないけど、俺がしていた遠慮は確かに、カワイを想ってだった。だけどそれが逆に、カワイを追い詰めていたなんて……。本当に、情けない話だ。


「ヒト、ダメ……。お腹、熱くて──んっ」


 距離を詰めて、体を密着させる。それからわざと、俺は自分の逸物を寝間着越しにカワイへと押し付けた。

 そうするとカワイは、布越しの感触なのにお腹に擦り付けるだけで、可愛い声を漏らす。


「やだ、直接が、いい……っ。いじわる、やめて……」


 うぐぅ、可愛いっ。胸が締め付けられるぞっ。
 カワイは俺とキスをしながら、俺にしがみつく。それから、潤んだ瞳でこう強請った。


「──ヒトの体液、ボクにちょうだい……?」


 どっ、独特な誘い文句だっ。しかしトキメク、俺の胸。カワイに求められるのならなんでも嬉しいみたいだ。俺って扱い易いと言うか、露骨なくらい分かり易い男だなぁ。

 ……とまぁ、そんな感想は置いておこう。俺はカワイの寝間着を脱がしながら、自分の寝間着も脱ぎ始めた。


「初めてじゃないけど、ヤッパリちょっと緊張するね」


 そう声を掛けると、カワイは恥ずかしそうに頷く。

 寝間着の下から覗く、カワイの素肌。いつ見ても、どんなときに見ても感動する。
 それがベッドの上なら、なおさらだ。


「触るよ、カワイ」


 もう一度、カワイは頷く。脚を開かせると、カワイの【期待感】は丸分かりだった。


「まだキスしかしてないのに、カワイはエッチだね?」
「ヒトも同じ……でしょ?」
「まぁ、うん、はい。否定はできません」


 好きな子といい雰囲気になって、ちょっぴりいやらしいキスだってしたんだ。お互い、期待はしちゃうよね。

 カワイの脚の間に手を入れて、指先で奥を撫でる。そうすると、カワイが小さいながらも甘い吐息を漏らした。


「ドキドキ、する。ヒトに触られるとボク、自分を律することができないみたい……」
「それは俺にとって、嬉しい言葉だよ。もっともっと、俺でいっぱいいっぱいになってね?」
「ヒト、イジワルモードだ……」


 会話をしながら、カワイの内側をゆっくり解す。俺の指がカワイの【好きなところ】をくすぐる度に、カワイは可愛い声を漏らしていた。

 だけど、カワイの願いは【自分が気持ち良くなること】ではない。


「ヒト、早く……っ。早く、ボクのナカに……」


 カワイの願いは──カワイが欲しがるものは【俺】なのだから。


「うん、大丈夫。でも、傷付けたくないから、大切にさせてね?」

「……前言撤回。ヒトはイジワルじゃない」
「あははっ。ありがとう、カワイ」


 ほんのりと悔しそうな顔をしているカワイを見て、思わず笑みが零れた。そんな俺を見て、カワイは唇を尖らせている。

 だから、尖った唇にキスをしたのだけど……。そうすると、カワイがさらに悔しそうな顔をした。 




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