ようこそ 性欲処理課へ!!

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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第4章 BB

(後編)夜 上

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 依頼を全て終えたBBは、階段を使って五階を目指していた。普段なら、エレベーターで処理課の事務所へ向かうけれど……階段を使って、上がってみたくなったのだ。

 しかし……セックスとは違う疲労感に、BBは肩で息をする。
 四階から五階に上がる前、少し休憩をしようと足を止めると……騒がしい足音が聞こえてきた。

 ――ショタが、全速力で走ってきたのだ。


「「うわっ!」」


 出会いがしらに、二人は声をあげる。ショタはBBの前で立ち止まり、BBはそんなショタを見下ろす。


「どないしたん……依頼?」
「ちが……っ、マグロクンにっ」
「『まぐろ』ちゃん?」


 BBはふと、正午に会ったマグロを思い出した。

 ショタに対して、自分の意見を言えなかったマグロ……ショタの慌てようを見ると、何かがあったのかもしれないと、BBは直感的に気付く。


「あっ、課長が! ボクはマグロクンですけど! あの!」


 ショタはBBを見上げて、慌てたように何かを訴えている。
 全く要領を得ないショタを見下ろして、BBは困ったように笑った。


「何? よう分からんわ」


 ショタは一度、深呼吸をする。すると少し落ち着いたのか、もう一度顔を上げて、BBを見た。


「ゴリ課長、何かに悩んでますから! きっと、処理課の事務所に居ると思います!」


 ショタはBBに頭を下げると、そのまま階段を下っていく。
 そんなショタを見送って、BBは上階を見上げる。

 ――気付けば、疲れなんて消えていた。



 処理課の事務所に戻ると、職員が一人だけ、席に座っている。その職員は、BBの来訪に気付き、笑みを浮かべた。


「あぁ、BBか……今日も、お疲れさん」


 そこに居たのは、ゴリだ。笑みこそ浮かべているけれど、ゴリの表情はどこか浮かない。

 BBはゴリの隣に立つと、何の前触れも無く……キスをした。
 ゴリの目が、驚きで見開かれる。


「『しゃわぁ』浴びよ?」


 ゴリの手を引き、椅子から立ち上がらせるBBを、ゴリは不思議そうに見下ろした。

 ゴリが悩んでいるのは、ショタに言われなくたって、BBは知っている。それでも、問い質そうと思わなかったのは……ゴリが自分から話してくれるのを、待っていたからだ。

 ――けれどBBは、もう……待てなかった。


「僕、君が何かに悩んでるの……知っとるよ」


 ゴリの手を引きながら、シャワー室へと向かうBBは、何てことない雑談のように話し出す。


「幻滅なんかせぇへん。僕は、君が好きや」


 幻滅されたくないから、マグロもゴリも……相談すべき相手に、何も言えない。
 なら、その不安要素を取り除いたら……自分を頼ってくれるのではないか。

 実際問題……マグロの言っていることが、必ずしも正しいわけではないだろう。ゴリが一人で抱え込んでいるのは、別の理由かもしれない……それは、分かっている。

 それでもBBは、藁にも縋る思いだった。

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