ヤンデレBL短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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【目が合わなくても愛してる】 *

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 パソコンの画面に映し出されたものを見て、宮古は自分の目を疑った。


「静止画だけじゃ、宮古の気持ちは分からなかった。……だからさ。俺は、動画を撮ってみたんだ」


 パソコンの画面に、映し出されたのは……。

 ──宮古の、部屋だ。

 三方向から部屋を映し出しているパソコンの画面に、宮古は目を見開く。


「な、なんで……っ? それ、だって……えっ?」


 映し出された宮古の部屋は、薄暗い。この場所──迫の部屋と同じく、暗いのだ。
 という、ことは……。

 ──パソコンが映し出しているのは、今現在の、宮古の部屋。

 宮古はようやく、自分の部屋にカメラが仕掛けられたいるのだと気付いた。

 しかし、理解だけが追い付かない。
 いつの間に、そんな物を設置したのか。呟く前に、迫が続きを話す。


「俺、何回か宮古の部屋に行ったことがあったでしょ? その日にさ、宮古がトイレに行ってる隙を狙って、急いで設置してみたんだけど……もしかして、今までずっと気付いてなかったの?」
「……っ。……ぅ、ん……」
「だろうね」


 迫は肩を揺らして笑いながら、もう一度ベッドに近付き、腰掛ける。


「知ってたら、あんなにエッチなこと……恥ずかしがり屋の宮古には、できないもんね?」


 先ほどスマホで見せ付けられた動画を、宮古は思い出す。

 部屋にカメラが置いてあるということは、昨日の自慰行為だけではなく……今までのも全て、見られていたということ。罪悪感と羞恥心が入り混じり、宮古は複雑な心境に陥る。

 迫に、軽蔑された。どこまでも浅ましい宮古が行き着いた心の落としどころは、そこだ。

 しかし迫は、宮古の不安とは正反対の言葉を口にした。


「──ヤッパリ宮古は、動いてる方が何倍も可愛いね」
「……えっ?」


 迫の手が、宮古の頬に添えられる。
 軽蔑され、睨まれ、罵倒されるのか。即座に宮古は、そこまで考えたというのに……。

 ──手つきだけでなく、表情までもが……今の迫は、どこまでも優しいのだ。


「おどおどして、いつも一生懸命な宮古がね? ……俺は、大好きなんだ」


 迫の言葉を拾う宮古の耳が、熱くなる。


「ずっと、ずっとずっとずーっと見ていたいくらい……大好きだよ、宮古」


 そう呟いた迫の唇が。
 宮古の唇に、重ねられた。


「ん……ッ!」


 くぐもった声を漏らすのと同時に、宮古は頭の中で呟く。

 まさか今、自分は大好きな迫と妄想ではなく、本当にキスをしているのか。夢よりも夢のような状況を、宮古はすぐに情報として脳に伝達できない。

 しかし触れるだけのキスは、すぐに終わる。それと同時に、目の前で迫がニッコリと微笑んだ。


「あはっ。俺たち今、目が合ってるね。……可愛いよ、宮古」
「ぁ……ッ」
「また逸らした。だけど、そんなところも変わらず可愛いよ」


 真っ直ぐに見つめられて、宮古はモゾモゾと身じろぐ。

 迫に好きと言われ、キスをされた後に、笑顔で可愛いと言われ……。宮古の心と体は、パニック状態だ。
 迫の言っていた『特別』は、そういう意味での【特別】だった。

 盗撮をされていた事実。
 スタンガンで意識を奪われ、手錠までかけられている。
 夢にまで見た迫とのキスが、実現した。

 嬉しさと不安が、同時に宮古を襲ってくる。
 パニック状態の宮古では、それらのことを一気に処理することは、できなかった。 




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