182 / 183
オマケ話【突発的ニックネーム】
5 *
しおりを挟むベッドの上に乗り上げた秋在に、冬総は何度もキスをする。
「んっ、ふ……ふぁ、あ……っ」
口腔を舐ると、秋在は体を震わせた。
秋在の制服からベルトを引き抜き、冬総は手早く秋在を脱がしていく。
「寂しかったか?」
唇を離し、冬総は自身の膝に乗った秋在へ訊ねる。
秋在はムッとしたような顔をして、冬総の鼻の頭を噛んだ。
「嫌い」
「う……ッ。フィジカル的にもメンタル的にも痛いぞ……」
「ナツナリくんなんて嫌い」
下を脱がされた秋在は、すぐさま挿入された冬総の指を後孔で締め付ける。
「でも、ココ──」
「『ココは俺のことが好きみたいだぞ』って言ったら、もっと嫌いだから」
「秋在ァ……ッ」
勿論、冬総はツンツンしている秋在にも胸をときめかせた。
しかし、あまりにもツレない態度を続けられると、心が摩耗してしまう。
「……俺のこと、本当に嫌いか?」
自身に跨った秋在を、冬総は上目遣いで見つめる。
まるで、捨てられた子犬のようだ。
「…………嫌い」
「そうか……」
「嫌いだから、好きになりたい。好きになれるように、頑張って」
そう言い、秋在は冬総に抱き着いた。
「ナツナリくん……っ」
耳元で囁かれ、冬総はドキリと胸を高鳴らせる。
「……なんか、初めてシた時のこと思い出すな……」
「ボクも、思い出してた」
「……春晴」
一年ぶりに、苗字で呼んでみた。
そうするとなぜか、秋在の後孔は切なげに冬総の指を締め付ける。
「好きだよ、春晴。あの頃より、今の方が……もっと、好きだ」
「んっ、やっ、ぁん……っ」
「もう、結構限界……ッ。春晴、挿れるぞ」
指を引き抜き、秋在の体を支え直す。
そして、冬総は秋在の後孔に逸物の先端を擦り付けた。
「あの時みたいに……ゴム、した方がいいか?」
フルフルと、秋在は首を横に振る。
「さっき、自分で『もったいない』って言ってた」
文句を言うように呟く秋在の唇に、冬総は一度だけキスを落とした。
至近距離で見つめ合い、秋在が瞳を伏せた後……。
「あっ、んん……ふっ、あ……っ!」
冬総はゆっくりと、秋在の後孔に逸物を埋めていく。
「くッ、ヤバい……ッ! さっきから我慢してるから、すぐ出そう……ッ」
「や、だぁ……っ。まだ、出さないでぇ……っ」
「その声もかなりクる……ッ!」
だが、他ならぬ秋在からの頼みだ。
冬総は達してしまわないよう、懸命に自身を律した。
「好きだ、春晴……ッ」
「苗字、やだ……っ。ボクも、呼ばれたい……っ」
「ン? 名前か?」
もう一度、秋在は首を横に振る。
そのまま、秋在は甘えるように冬総へ抱き着き直す。
「――三個目の、お願い……っ。『アキちゃん』って、呼んで……っ」
甘い声に。
冬総の逸物が、またしても硬度を増した。
「アキちゃん」
「ひゃっ、あ……っ!」
「好きだよ、アキちゃん。世界で一番、アキちゃんが好きだ」
「んっ、ぅあ、あっ」
愛称で呼ぶたびに、秋在はビクビクと体を震わせる。
そこで、ようやく気分を直したのだろう。
「――ボクも、フユくん……好き、っ」
待ちに待った言葉を、冬総は秋在から受けることができた。
1
あなたにおすすめの小説
発情薬
寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。
製薬会社で開発された、通称『発情薬』。
業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。
社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
【完結】取り柄は顔が良い事だけです
pino
BL
昔から顔だけは良い夏川伊吹は、高級デートクラブでバイトをするフリーター。25歳で美しい顔だけを頼りに様々な女性と仕事でデートを繰り返して何とか生計を立てている伊吹はたまに同性からもデートを申し込まれていた。お小遣い欲しさにいつも年上だけを相手にしていたけど、たまには若い子と触れ合って、ターゲット層を広げようと20歳の大学生とデートをする事に。
そこで出会った男に気に入られ、高額なプレゼントをされていい気になる伊吹だったが、相手は年下だしまだ学生だしと罪悪感を抱く。
そんな中もう一人の20歳の大学生の男からもデートを申し込まれ、更に同業でただの同僚だと思っていた23歳の男からも言い寄られて?
ノンケの伊吹と伊吹を落とそうと奮闘する三人の若者が巻き起こすラブコメディ!
BLです。
性的表現有り。
伊吹視点のお話になります。
題名に※が付いてるお話は他の登場人物の視点になります。
表紙は伊吹です。
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
「普通を探した彼の二年間の物語」
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
僕の恋人は、超イケメン!!
刃
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる