夢破れる瞬間に~血降る青き大空~

陰羅 霧笠

文字の大きさ
4 / 4
第一章 

そして始まる

しおりを挟む
喜歴十三年五月二十八日
「諸君、おはよう」
そう言い見回すと冴きった目で皆こちらを見ていた。
「それでは、早速ではあるが我々葵絶隊初の任務が決定した。
その任務は夜咲作戦と言い、今日一八:○○より決行する。
概要は各中隊長に聞いてくれ。
そして最後にこの作戦は我々の能力を確かめるものでもある。
各隊員の奮闘を期待する」
そう言い終え敬礼し朝礼台から降り
「各員解散、各中隊ごとに集合し作戦準備をせよ」
そう言い残し第一中隊集合地点へと向かった。
…………………………
同日十七時十五分
[隊長機から各機へ
諸君、準備はいいな?]
[第一問題なし]
[第二問題なし]
[第三問題なし]
[第四問題なし]
[よし、それでは夜咲作戦...開始‼!」
[[了解]]
[各中隊高度五百に上がり次第編成を組み作戦区域に急行せよ]
そして夕焼けの空に葵絶隊は飛んで行った。
……………………………
同日十七時四十五分
そろそろ上陸地点か
[各員へ告ぐ。まもなく作戦区域となる。
レーダー班、調音班は警戒を厳にせよ。
各員戦闘配置、上陸部隊は最終確認をし上陸体制を万全のものにせよ。
作戦決行は十七時五十五分だ
必ず成功せよ]
そう言い無線を切りおのれも部隊の元へ向かおうとすると
「キイサ大将、只今レイダー班から一個中隊規模の航空機群がこちらに向かっているとのことです」
「そうか、各員へ通達、航空警戒を厳にし上陸を五分後へ変更。以上」
「了解しました。失礼します」
そう言って去っていった。
これは一筋縄では行けそうにないな
そしてキイサは自分の隊の所へと向かった
…………………………
同日同時間
[こちら第三、大隊長機へ
レイダー波を感知確認されたかと]
[了解、作戦通りだな]
[それでは...]
[ああそのまま第三は高高度に上昇し侵入、第一、第四は旋回待機、第二は全速力により敵艦艇への奇襲及び誘導]
[[了解]]
そして各中隊は行動を開始した。
[こちら第三、敵上陸部隊の上陸確認。
規模は一個大隊程、戦車三十、対空砲五十、トラック百、以上
敵艦艇は陸地より六百㍍付近に対空体制を撮っている模様]
[隊長機、了解今より殲滅作戦を開始する。各隊、攻撃開始]
その声と共に各隊攻撃を開始した。
まず第二中隊が高速にて敵艦上空に移動し、対艦爆撃を開始した。
その一度の攻撃により艦隊の艦艇の対空艦は轟沈させその後上空から第三中隊による急降下爆撃により主力艦艇の大半が轟沈し残りの艦艇も第二中隊の反復爆撃により壊滅した。
海上で爆撃してすぐ第一中隊と第四中隊による対地爆撃により上陸部隊の半数が壊滅した。
[よし、成功だ。後は残りの残像部隊の壊滅だ。
第四は待機、第一は反復爆撃を行う。
用意はいいな?]
[[はい]]
そして反復しているとき地上から信号弾が発射された。
それは降伏を示すものだった。
[各機爆撃を中止し上空旋回。第二、第三は第四と合流し第一と共に上空旋回し待機]
まさか部隊半壊からこんな速さで降伏の判断ができる優秀な上官クラスがいたなんてな、どうせだから一目見たいし
[こちら葵紀、琳香へ
回収班は何処の隊だ?そしてあとどれくらいで着く?]
[幽華隊の輸送部隊であと三十分程、あと葵沙良が指揮しているから見られても大丈夫だから降りてきたら?]
[ああありがとう。
各機へ禀と夢希、後俺は着陸する。
周辺警戒を厳にし待機、上空指示は紅凛に任せる]
[はい、謹んでお受け致します]
[ありがとう。上空は任せた。
禀と夢希、あの浜辺に着陸する]
[了解、何処までもお供します]
[着陸後は周辺警戒を頼む]
[了解]
そして葵紀達は浜辺に降り立った。
降り立ちすぐにヘルメットを取り、陸上戦闘用に載せていた六式を持ち、小型インカムを耳につけ、空中服を脱ぎ周囲を警戒しながら航空機から降りた
「葵紀隊長、辺りに敵兵の残党は確認できませんでした」
「そうか警戒しつつ森の中に入り捕虜の元へと向かうぞ」
「りょーかい」
そして葵紀達は進んでいき捕虜たちの所へとたどり着いた。
「あなた方がキリタミア上陸部隊でしょうか?」
そう聞くと奥で座っていた男が
「ああそうだ。キリタミア海軍特殊機甲師団第六大隊大隊長キイサ大将だ」
そう言い手を出してきたのでその手を握り返しながら
「どーも。紅蓮帝国空軍第二〇七航空大隊大隊長葵紀中将です」
そして互いに少し話していると幽華隊輸送部隊が到着した。
「あれ?葵紀達が何でいるの?」
そう言いながら葵沙良が戦闘のトラックから降りてきた。
「少し話がしたくてな、この...」
「キイサ大将だ。よろしく」
「どうも。葵沙良中将です」
そう言って二人は握手した。
「そんで、なんで葵紀達がここにいるの?」
「それはさしぶりに優秀な上官がいたから気になってね。
そして安心した。キリタミアにもまだまともな人がいたことおだ」
「まあそうだな、最近は命を捨てるような攻撃ばかりするからな」
「だから降りたの。まあもうそろそろ上がるけどな」
「そうか、じゃあまた明日」
「ああ、また明日」
そして葵紀達は浜辺へと戻り航空機に乗り込みインカムを外し、六式をしまい空中服を着てヘルメットをして空へと戻った。
[すまない。待たせてしまったな]
[いえ、問題ありません]
[そうか、すまないな。
ではこれから少し行くところがあるから全機ついてこい]
[[了解]]
そしてすぐ全員葵紀の後ろで隊列を組みそのまま飛んで行った。
…………………………
同日二十時十七分
[そろそろ見えてくるぞ]
そう葵紀が言うのとほぼ同時に前頭に島群が見えてきた。
そして近づくとその手前の島の開けた土地が光、滑走路が姿を見せた
[なんだ、あれは...]
[なんでこんな所にこんな大きな航空基地があるんだ?]
そう言った驚きの声をよそに
[各中隊ごとに着陸し航空司令員の指示に従い機体を格納庫に収納し、地図を参考にしシャワーを浴び、二十一時に作戦会議室へ集合せよ]
[[了解]]
……………………………
同日二十一時
「皆、集まっているな?」
「第一から第四中隊及び航空司令部及び機体整備班及び輸送班及び航空機誘導班及びその他生活補助班全員揃っております」
「そうか、それでは君たちもいま困惑しているだろうから説明しよう。この基地の事と我隊、もう一つの設計理由を...」
そう深みのある言い方をしたら
「そう言うのいいから普通に説明して」
そう禀に言われてしまった。
「少しはいいじゃん」
「はぁ~まあいいや。
それでまずはこの基地の事からだな。
この基地の名前は、葵絶島(きぜつとう)だ。ここは我々葵絶隊専用基地である。ここでならどんなことを言っても他にはバレないから大丈夫だぞ。この基地の地図はもう持っているだろう。各自、確かめておいてくれ。
そしてなぜこの基地が必要かだがそれは我々のこの隊の特性の為である。
葵絶隊は知っての通り新型機体絶喜を使用した迅速かつ高威力の攻撃を行い勝利するというものだ。その為絶喜の機体情報が敵にバレるのは避けたい、それが例え見方であったとしてもだ。その為他にバレないよう専用基地が設けられた」
そう言い納得したようにうなずく者、少しひっかている者がいた。
「それだけじゃないでしょ。葵紀」
「ああそうだ、それだけじゃない。
この隊はそれだけではない。まあ区は市区やると長いから色々省きながら話すがそれでもいいよな?」
そう聞くと皆うなずいてるのを確認して
「それじゃあまずこの隊だが、うちらのトップは葵羅大元帥だが実質的には加里元帥の指揮で動いている。しかし我隊はトップである葵羅大元帥直属の部隊だ。その為行う任務は高確率で秘匿すべきものばかりだ。その為にも我々が今どこで何をしているのかという事は重要機密である。その為秘匿するための基地でもある。そしてもう一つ、これから我々と行動を共にする零大隊航空部陰呉隊は特に敵味方共にごく一握りの者達以外に知られてはいかないからその秘匿の為でもある。
まあざっとこんなものだろう。質問は?」
そう聞くと数人手を上げていた
「じゃあ、鎖」
「はい。先ほど言っていた陰呉隊はいつ頃合流するのでしょうか」
「確か明日にはこちらに来て合流するはずだ。
他には?」
「じゃあ、誷」
「なぜこの島域なのですか?我が国は多くの島を所有してますし、隠れるのならここよりもいいところは山ほどあるかと」
「そうだな、もちろん今の話だけならそう思うだろうな。まあこれに関しては明日理由がわかるはずだ。今言えるのは、この島域独自のこの島の並びが大きく関係しているということのみだ」
「他には?」
そう聞くと誰も手置上げず何か考えているようだった。
「じゃあこれくらいでいいか、明日は朝七時に食堂の方に集合してくれ」
「「はい」」
そして各自地図をもとに自室へと向かって消えていった。残ったのは葵紀と禀、琳香のみだった。
「これでやっと、スタートラインか。先は長そうだな」
「そうね、やっと始まりだ」
「二人してそんな年寄みたいに語ってないで仕事してよね。たくさんたまってるでしょう」
「それを今言うか?」
「まあその通りだから仕方ないでしょ。さっさと終わらせて寝ましょう。明日も早いんだから」
「そうだな、さっやるか」
そして三人で会議室をでて職務室へと向かった。
…………………………………………………
二十九日午前七時 食堂にて
「揃っているな。
諸君、おはよう。
今日の予定だが、この後下の桟橋で小型船に乗りこの島域の中心にある久志久島に向かう。あちらは町として既に栄えている。家族を連れてきたいものはそこに住まわせてくれ。まあそういうことだ。八時半頃に桟橋に集まっていてくれ。以上、朝飯とするか」
そして食堂は賑やかになった。
…………………………………………………
同日八時半桟橋前
「揃っているな、各中隊ごと順番に乗り込んでくれ」
そしてすべての人員が乗り終えた。
「よし、全員乗ったな。それじゃあ出港」
そして高速船黒鵜は久志久島に向け出発した。
「この黒鵜の最大速力は相変わらずえげつないな」
「そうね、あと十分もしたら着くだろうし、
着くまで少し今後の事でも考えておこう」そんな風に雑談をしていると
「隊長、もう着きますよ」
「そうか、分かった」
そう言ってすぐ久志久島の広大な港が見え始めた。
「降りたら昼までは自由に回れ、昼食は各自で取り町奥の中心にある総司令部に午後一時に集合せよ」
そう船内アナウンスをして港に船をつけそのまま解散した。
そして葵紀、禀、琳香は三人とも観光はせず総司令部へと向かった。
「あれ?葵紀達じゃん。やっほ~」
そう言って冴はてを振ってきた。
「もう来てたのか、じゃあアイツももう来ているのか?」
「ああ来てるぞ」
そう言いながら奥のドアをあけながら葵沙良が入ってきた。
「さしぶりだな、琳香さん、禀」
「そうね、加里長官の招集があったあの時以来だね」
「俺は無視なの、ひどくない」
そんな風に雑談しながら時間になるまで待った。
「もうすぐ十二時だね。ねぇ~皆でご飯食べに行かない?」
「そうだな、我々も昼食を取っておくか」
そう葵沙良が答えて皆で町中で昼食をとり戻るころには既に全員集合していた。
「すまない、我々が最後だったようだな。取り合えずここではなんだ、奥の集会場に行くか」
そう言うと皆奥へと向かった。
そして集会場に全員がそろった事を確認して話し始めた。
「まだ私について説明してなかったなかったな。私は紅蓮帝国空軍葵羅大元帥直属第二〇七航空大隊大隊長葵紀中将だ。以後お見知りおきを。
さて、君たちが集められたのは君たちのこれからの作戦などを知らせておくためだ」
そう言い辺りを見るとやはり疑問を持っている顔ばかりだった。
「まあ無理もないか、まだ言っていなかったからな、あのことを」
そして稟達の方を見ると「早く説明しろ」と言う目を向けてきた。
「はぁ~、俺がやんのかまあいいか。
それで皆には言わなければいけない事がある。
それはここに集まる陸海空の三部隊は一つの隊でもある。それは三ツ矢大隊だ。
この三ツ矢大隊は、皆も知っている零大隊と同じもう一つの陸海空の三つの軍部共同部隊でありその内訳は空から第二〇七航空大隊、海から第二〇艦隊、陸から第二〇二大隊という振り分けだ。そしてこの大隊の大隊長を務める事になったのがこの私、葵紀だ。改めてよろしく。ここの久志久島は我々三ツ矢大隊の総司令部である。家族などを連れてきたい者はここに住まわせるように」
そして一区切り付いたので取り合えず禀達の方を見ると「まあいいんじゃない」的な感じで見てきていた。
「そろそろ、他の者についても説明するか。じゃあ三ツ矢大隊の他の隊長格について紹介しよう。まず副隊長は禀少将だ。まあ多くの疑問があるから説明すると一度この事実を知っていた私、禀、琳香、冴、葵沙良、弧曄、陸の七人で話し合い技術力及び指揮力及び状況判断能力などを客観的に確認し役職を振り分けた。苦情があるのならこの七人に言え」
そして禀が壇上に上ってきた。
「さっき説明された副隊長の禀です。所属は第二〇二航空大隊副隊長兼第二中隊長です。先に言いますが私、ここにいる六人の中で一番厳しいので怒らせないでくださいね!」
そう笑顔だが笑っていない目で皆を睨むように見ながらいった。
「こっわ、まあ次は我々の合同任務時の司令部長官、琳香少将だ」
そう言うと禀に代わって琳香が壇上に上ってきた。
「紹介に与った琳香です。死にたくなければしっかりと指示を聞いてくださいね。じゃないと命を無駄にすることになりますからね♡」
笑顔だがえげつない程背筋が凍るような目だった。
「はいはい、脅さないの」
「え~脅したつもりないんだけどな~」
「いや脅してたから、まあいいか、大まかの役職はこんな感じで、各陸海空の隊長は各隊の大隊長に一任し副隊長は各隊の副隊長に一任する。もし変える際は本部のここに連絡し、他の隊の上級士官達に許可を取ること。戦場での負傷により一時的に変える際はその場で行ってもかまわないが戻り次第申請せよ。以上、この後の事は各上官に一任する。尚各部隊の中隊長以上はこの後午後十八時にここの会議室に集結せよ。以上、解散」
そして各隊の大隊長の指示によりこの後午後二十時港に集合、それまで自由行動となった。
「しかし、苦情が少なくてよかったな」
「まあそりゃそうだろ、あんな怖いもの見せられ苦情入れられる訳がない」
「まああれは怖かったよ」
そんな風に葵沙良と雑談していると
「二人とも、私たちも観光しに行こうよ」
後ろから禀がそう言ってきたので
「ああそうだな行くか」
そう言って葵紀達は三ツ矢総司令部を後にした。
…………………………………………………
陰呉隊のお話
「紀久弥さん、葵絶隊との合流は今日じゃないでしたっけ」
「...。まじか、そうだ今日じゃないか。やばい全員集合させろ。今からでも行くか」
そして全員が招集された
「皆急な招集申し訳ない」
「いえいえ分かっていて皆既にここにいましたから問題ないです。どうせまた忘れていたのでしょう?」
「ああそうだ、ホントにすまない」
そう言い皆に頭を下げた。
「まあいつもの事なので問題ないです。ですぐに行く気でしょうけど、出発前にちゃんと葵紀君に連絡を入れたらどうですか?」
そう聞くとそう言えば的な顔をしていた。
「はぁ~、やっぱこの人が空軍トップであることが信じられない、戦闘時などはすごいのにそれ以外てんでだめだからな」
そう久井破に言われしょんぼりしていると
「まあ、それがいいところでもありますけどね」
そう言われ紀久弥は嬉しそうな顔をした。
やっぱ子犬っぽいなこの人、そこにいた全ての隊員が心の中でそう思った。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...