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ヴィーナオーパンバル
真実の愛
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「全く、それにしたっていい加減にしてほしいよ。」
ここ数日、半狂乱のフランクの側にいて泣いていたメアリーは酔っぱらって眠っているフランクのベッドの横で悪態をつき始めました。
最後に会ったのが、ヴィーナ・オーパンバルの夜。
17歳の可憐なメアリーをエスコートしてくれた20歳のフランクは、とても大人に見えましたが、数十年の放浪生活ですっかりオバサン思考の現在のメアリーには今のフランクは子供のように思えます。
「だから、フランクと結婚しちゃえばいいんじゃない?どうしてフランクと結婚しないのさ。」
メアリーの横で、昨晩の晩酌のつまみの残りを食べながらフェネジは不満を言いました。
初恋のカールは、他の女の子と婚約したのです。
今さらカールとどうこうなる気が無いなら、フランクのお嫁さんになっても問題はありません。
どうして、そうしないのか、魔神のフェネジには理解できませんでした。
「はぁ?何言ってんだい、アンタはっ!」
それを聞いてメアリーが怒り出しました。
「だって、そうしたら、丸く収まるでしょ?」
フェネジは文句を言います。メアリーがフランクと幸せになりさえすれば、フェネジは家に帰ってゆっくり出来るのです。
「冗談じゃないよっ、ダンスと結婚じゃわけが違うんだからねっ!
乙女は、そうそう簡単に気持ちを入れ換えて、恋の相手を変えるなんて出来ないんだよっ。」
メアリーは、フェネジに厳しい言葉でいいましたが、悲しみにくれるフランクの寝顔を見ていると、そうしてやれない自分が悪いような気がします。
疲れて眠るフランクの綺麗な額を右手で優しく触れながら、メアリーは、自分がもう、フランクに認識してもらえない、別の世界の生き物になった事を自覚しました。
「どちらにしても無理じゃないか!
例え、その気になったとしても…私にはもう、フランクを慰めてあげる手すら持ち合わせていないんだから。」
メアリーは悲しくなりました。
「それなら大丈夫(  ̄▽ ̄)」
メアリーの言葉を聞いて、フェネジは嬉しくなりました。
「大丈夫って…なんだい?」
メアリーは、悲しいシーンをぶち壊されて、不機嫌になりながらフェネジを睨みました。
「多分、魔法でなんとかなるよ。」
「そんな魔法あるんなら、さっさと使えばいいじゃないかっ。」
メアリーは、三日分の絶望の日々を返して欲しくなりましたが話が長くなるので言いませんでした。
そんな事より、フランクが立ち直れる方が大切です。
元に戻ることが出来たら、
フランクに触れることが出来るなら、
彼を勇気づけて、新しく彼を愛する努力を始められるかもしれません。
「うん。簡単だよ。メアリーが真実の愛をフランクに見せたらいいんだよ。
さあ、やってよメアリー。君ならきっと出来るから。」
フェネジは、純真な笑顔でメアリーに期待しました。
「し、真実の愛ったって…。」
メアリーは、困惑しました。
幼馴染みのフランクは、優しくて、大好きでしたが、それはお兄さんのような気持ちです。
恋人とか、そんな気持ちではありませんでした。
それに、長い旅の生活で、すっかり色恋ごとから離れた生活をしていたメアリーは、気持ちが大人になりすぎていて、急に乙女モードで恋愛なんて、とてもテンションをあげられそうにありません。
「無理だよ…。」
しばらくフランクの顔を見ていたメアリーは、そう言いながらフラフラと立ち上がりました。
「フェネジ、アンタこそ、恋をしてみたらいいよ。そうすれば、私の気持ちが分かるから。」
メアリーはそう、捨てぜりふをいい放つとフランクの部屋を出て行きました。
「嫌だよぅ…、だって、みんな、ちっとも楽しそうじゃないんだもん。」
フェネジは、メアリーが閉めたドアに向かって独り言を言いました。
「でも…、このままだとフランク、長くはもたないと思うけど。」
フェネジは、疲れて眠るフランクの顔に不気味な死相が現れて行くのを感じました。
それは、昨日より少しだけ濃くなっていて、死期を早めているようでした。
ここ数日、半狂乱のフランクの側にいて泣いていたメアリーは酔っぱらって眠っているフランクのベッドの横で悪態をつき始めました。
最後に会ったのが、ヴィーナ・オーパンバルの夜。
17歳の可憐なメアリーをエスコートしてくれた20歳のフランクは、とても大人に見えましたが、数十年の放浪生活ですっかりオバサン思考の現在のメアリーには今のフランクは子供のように思えます。
「だから、フランクと結婚しちゃえばいいんじゃない?どうしてフランクと結婚しないのさ。」
メアリーの横で、昨晩の晩酌のつまみの残りを食べながらフェネジは不満を言いました。
初恋のカールは、他の女の子と婚約したのです。
今さらカールとどうこうなる気が無いなら、フランクのお嫁さんになっても問題はありません。
どうして、そうしないのか、魔神のフェネジには理解できませんでした。
「はぁ?何言ってんだい、アンタはっ!」
それを聞いてメアリーが怒り出しました。
「だって、そうしたら、丸く収まるでしょ?」
フェネジは文句を言います。メアリーがフランクと幸せになりさえすれば、フェネジは家に帰ってゆっくり出来るのです。
「冗談じゃないよっ、ダンスと結婚じゃわけが違うんだからねっ!
乙女は、そうそう簡単に気持ちを入れ換えて、恋の相手を変えるなんて出来ないんだよっ。」
メアリーは、フェネジに厳しい言葉でいいましたが、悲しみにくれるフランクの寝顔を見ていると、そうしてやれない自分が悪いような気がします。
疲れて眠るフランクの綺麗な額を右手で優しく触れながら、メアリーは、自分がもう、フランクに認識してもらえない、別の世界の生き物になった事を自覚しました。
「どちらにしても無理じゃないか!
例え、その気になったとしても…私にはもう、フランクを慰めてあげる手すら持ち合わせていないんだから。」
メアリーは悲しくなりました。
「それなら大丈夫(  ̄▽ ̄)」
メアリーの言葉を聞いて、フェネジは嬉しくなりました。
「大丈夫って…なんだい?」
メアリーは、悲しいシーンをぶち壊されて、不機嫌になりながらフェネジを睨みました。
「多分、魔法でなんとかなるよ。」
「そんな魔法あるんなら、さっさと使えばいいじゃないかっ。」
メアリーは、三日分の絶望の日々を返して欲しくなりましたが話が長くなるので言いませんでした。
そんな事より、フランクが立ち直れる方が大切です。
元に戻ることが出来たら、
フランクに触れることが出来るなら、
彼を勇気づけて、新しく彼を愛する努力を始められるかもしれません。
「うん。簡単だよ。メアリーが真実の愛をフランクに見せたらいいんだよ。
さあ、やってよメアリー。君ならきっと出来るから。」
フェネジは、純真な笑顔でメアリーに期待しました。
「し、真実の愛ったって…。」
メアリーは、困惑しました。
幼馴染みのフランクは、優しくて、大好きでしたが、それはお兄さんのような気持ちです。
恋人とか、そんな気持ちではありませんでした。
それに、長い旅の生活で、すっかり色恋ごとから離れた生活をしていたメアリーは、気持ちが大人になりすぎていて、急に乙女モードで恋愛なんて、とてもテンションをあげられそうにありません。
「無理だよ…。」
しばらくフランクの顔を見ていたメアリーは、そう言いながらフラフラと立ち上がりました。
「フェネジ、アンタこそ、恋をしてみたらいいよ。そうすれば、私の気持ちが分かるから。」
メアリーはそう、捨てぜりふをいい放つとフランクの部屋を出て行きました。
「嫌だよぅ…、だって、みんな、ちっとも楽しそうじゃないんだもん。」
フェネジは、メアリーが閉めたドアに向かって独り言を言いました。
「でも…、このままだとフランク、長くはもたないと思うけど。」
フェネジは、疲れて眠るフランクの顔に不気味な死相が現れて行くのを感じました。
それは、昨日より少しだけ濃くなっていて、死期を早めているようでした。
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