春の夜話…短編集

のーまじん

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コンタクティ

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 夜、布団の中で『ジャック・パーソンズ』について調べた。

 正直、驚いた。

 ジャック・パーソンズ
 1914年生まれのロケット工学者だ。
 しかも、一級品のエリート。
 ロケット用の個体燃料を研究し、結果を出してアメリカ政府にも認められた人物だ。

 彼の人生の転機は1930年代の終わり、クロウリーと魔術を知るところで転落して行くのだ。

 資料は少ないけれど、調べると、この人の頭の中ではオカルトとロケット工学と言う水と油の用なものが、しっかり乳化して混ざりあったようだった。

 ブリル協会のUFO研究の話が、ここにきて現実味を増してきた。

 1920年代、大気圏から向こうはまだ、謎の世界で、神様すら住んでいるかもしれない…神秘の世界だった。

 まあ、そうだ。

 よくよく考えたら、1910年代にドイルが地下帝国の話を書いたりしていたのだから。

 今でも、地動説を信じる人がいるらしいけれど、1920年代なら、もっといたに違いない。

 ロケットは空想の産物で、宇宙人も天使も…おとぎ話のカテゴリーだったのかもしれない。

 現在見えている現実では見えないその先の世界を…
 青い空のその向こうの世界を日常に持ってくるには、ジェットエンジン並の精神的推進力が必要だったのかもしれない。

 例えば、あの世とこの世の境目、アストラルトリップをするような…

 パーソンズは、それを魔術に見いだした。
 そして、結果を出したのだ。

 オカルト団体と言っても、メンバーに学者がいれば、それなりの成果は出てくるのだ。

 だとしたら…クロウリーの価値も変わってくるじゃないか!

 ドキドキしてきた。

 ジャック・パーソンズは、クロウリーと文通をしていたらしい。

 何を書いていたかは知らないけれど、クロウリーは、自分でも知らないうちに、世界中から、科学の最先端の技術について…固まる前の草案を集めていた…とも考えられないだろうか?
現代のサーバーからのデーター流出のように、我々の情報は、管理されていたかもしれない。

 昔、某ドキュメンタリー番組他で、クロウリーがチャーチルのオカルト参謀を勤めていた。と、聞いた。
 バカにしていたその台詞が…ここにきて、リアルに胸を踊らせる。

 クロウリーは、送られてくる手紙の文字に、紙に…どんな未来のメッセージを読み解いたのだろうか…

 『な、面白いだろ?分かったら、俺をその一番目立つ棚に置いてくれよ。
 本は、二度目からが本当に面白くなるんだぜ。
 そして、良書は何度でも新しいメッセージを届けてくれるんだ。』

 Y氏の本の精霊が本当に私に囁いた気がした。

 一瞬、本を眺めて、私は負けたように奴の希望の場所にしまった。

 そうだね…オカルト…宇宙人からでも、天使からでも…
 ちゃんとメッセージを処理できる人間に届けば、ムーンショットも夢じゃ、無いんだね(T-T)

 パーソンズのその後は散々だった。
 クロウリーに心酔し、怪しい生活や行動に仕事や友人を失い…
 最後は爆発事故で亡くなるのだ。

 彼が、クロウリーの教えと共に、何を見たのかは分からない。
 でも、彼の功績を称えて、もう少しだけ、Y氏の本をそばに置こうとそう思った。
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