【完結】炒飯を適度に焦がすチートです~猫神さまと行く異世界ライフ

浅葱

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1.ベタな異世界転移のきっかけ

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 パラッパラッパー!!

「おめでとうございます! ようこそ世界の狭間へ! 貴方はこの度異世界に転移する権利を獲得しましたー! いやー、めでたいですねー!」
「…………あ?」

 たっぷり間を置いて、俺こと山口竜樹たつきは真っ白い空間に浮かんでいる幼女に聞き返した。

「ですからー! 貴方は異世界に転移……」
「したくないです。多分俺死んだはずです。天国へ送ってください」

 俺は猫が車に轢かれそうになったのを見て、とっさに飛び出した大馬鹿者である。もちろん信号は赤だった。でももう生きる気力も何もなかったから、火事場の馬鹿力で猫を捕まえて歩道へ投げた。あの猫が無事で生きていたらいいなと思う。

「えええええー!? そんなこと言わないでくださいよ! 炒飯を適度においしく焦がす能力を授けますから!」
「…………は?」

 幼女は涙目になりながらわけがわからないことを言い出した。俺は反射的に幼女を捕まえ、その頭をがしっと片手で掴んだ。

「……炒飯を焦がしてどうしろと? そもそも異世界に米があるのか? 卵があるのか? チャーシューがあるとでもいうのか!? 油がそんなに採れるのか、ええ?」
「そ、そういう世界に送りますからぁ……痛い痛いいたいいいいっっ!!」
「そういう世界ってなんだよ……そんなのもう意味ねぇよ。とっとと天国に送れや!」

 幼女の頭にぎりぎりと力をかけていく。幼女虐待? 知るかそんなこと。

「いたたたたっっ! そ、その世界には美鈴みれいさんも行ってますよ!」
「……なに?」

 俺は指先の力を緩めた。幼女が頭を振って俺の手から逃れる。

「ああ痛かった……」
「詳しく話せ」

 幼女の襟首を掴む。はたから見たら犯罪かもしれないがここには俺と幼女しかいない。何がなんでも彼女の情報を全て吐かせるつもりだった。
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