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7.肉を求めて鳥を捕まえてみた。あとやっと話が進みそう
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「肉が食いてえ」
さすがに果物だの葉っぱばっかじゃ力が出ない。
「人間は面倒じゃのう。虫ならばすぐに取れるぞ」
「俺が食いたいのは虫じゃねえ。動物の肉だ! ミート!」
「かえるなればそこに」
「かえるじゃなくて! つか両生類とか無理!」
「贅沢じゃのう」
「じゃあ猫紙さまは何食ってるんだよ。果物とかお供えしても食べないじゃん」
一応俺の守り神らしいから果物とかきのことか野菜とか目の前に出すのだがふい、と首を振られるのである。だから何食ってんだ。それとも食わないのか。
「ん? 我か?」
猫紙は下を向くと何やらふんふんと地面を探し始めた。そのまま頭を動かしながら移動し、パクッと何かを咥えた。そしてそれをどやっと俺に見せた。
「……いや、虫は遠慮する……」
猫紙は黙って虫を咀嚼するとまた、
「贅沢じゃのう」
と言った。おかしい。確かに最近虫もタンパク源として注目されているとは聞くが、まだ一般的ではないはずだ。
しかしここは異世界。虫が普通のタンパク源でもおかしくはない。俺がよほど情けない顔をしていたのか猫紙は上を向いた。
「ふむ。そなたはそれほど早い動きができるとも思えぬし、なんなら鳥でも捕まえたらどうかの?」
「鳥?」
鳥ってあれか。空飛んでる奴だよな。飛んでるのにどうやって捕まえろって? 俺がいぶかしげな顔をしているのを見て、猫紙はあからさまにため息をついた。なんかむかつく。
「そなたの頭と身体は何の為にあるのか。石でもなんでも投げて当てればよかろう」
「簡単に言うなよな……」
ん? まてよ。
俺は自分の記憶から、紐の両端に石を結びつけて投げる狩猟道具を探しだした。紐、は蔓で代用できるものか? 耐久力のある草とかあるといいんだがな。とはいえ鳥が頭上高くを飛んでいるのはけっこう見かける。とりあえず手ごろな石をいくつか探し、試しに投げてみた。
「当たらぬの」
「そう簡単に当たるもんじゃねえっての」
俺は歩きながら石を拾い、近くに飛んでくる鳥に向かって何度も投げてみた。
「おお、おしい」
「ああ、そろそろ当たるかも」
元々ダーツとか、狙ったところに当てるのは得意だ。でも弓は全然ダメだったんだよな。鳥の進行方向を予測してうまく投げられれば当たるかもしれない。そんなことをしばらく続けていたらやっと一羽に当たった。
「よっしゃ!」
落ちてきた鳥は体長が30cmほどでしばらくもがいていたが、とりあえず足を縛って逆さにつるすことにした。そんなこんなで夢中になって石を投げ続け、どうにか三羽捕まえることができた。
「おお、うまそうじゃのう。で、どうやってさばくつもりじゃ?」
「……え」
捕まえたはいいが処理の方法を知らない。まず首をしめるんだったっけか? やっとの思いで捕まえたはいいものの食べられるようにする方法がわからず俺は途方に暮れた。
「と、とりあえず人里を目指そう!」
「……そなた、生き物をさばくこともできぬのによく肉が食いたいなどと言えたものじゃのぅ」
すいません。もう贅沢言いません。野菜とか果物とか食べて生きていきます。
鳥を傷つけてはい、さようならももったいないので籠に入れて運ぶことにした。
「竜樹、かじってもいいかの?」
「とりあえずダメだ」
猫紙にかじられたことで腐敗したら目も当てられない。鳥は吊るしておいたのでそれほど騒がなかった。そうして俺たちはまた川沿いをどんどん進んでいった。
辺りが少し暗くなってきたので今夜の寝床を探すことにする。結局今日も人に会えずじまいかとため息をついた時、草が密集している辺りからガサガサと大きな音がした。
「!? なんだ!?」
「……危険なものではないのう」
とっさに左手で拳を握って前に出し、右手をその下で構える。足は肩幅に開き、左足は前、右足は45度程度開いた形でその何かが現れるのを待った。危険な生き物は寄ってこないと猫紙が言ってはいたが念の為である。
結果として、草の、下の方から這い出してきたのは茶色の髪をした子どもだった。
「……あ……」
子どもは俺を見ると、ぽかん、と口を開けた。
とりあえず川で洗った方がいいと思えるほど、その子どもはとんでもなく汚れていた。
さすがに果物だの葉っぱばっかじゃ力が出ない。
「人間は面倒じゃのう。虫ならばすぐに取れるぞ」
「俺が食いたいのは虫じゃねえ。動物の肉だ! ミート!」
「かえるなればそこに」
「かえるじゃなくて! つか両生類とか無理!」
「贅沢じゃのう」
「じゃあ猫紙さまは何食ってるんだよ。果物とかお供えしても食べないじゃん」
一応俺の守り神らしいから果物とかきのことか野菜とか目の前に出すのだがふい、と首を振られるのである。だから何食ってんだ。それとも食わないのか。
「ん? 我か?」
猫紙は下を向くと何やらふんふんと地面を探し始めた。そのまま頭を動かしながら移動し、パクッと何かを咥えた。そしてそれをどやっと俺に見せた。
「……いや、虫は遠慮する……」
猫紙は黙って虫を咀嚼するとまた、
「贅沢じゃのう」
と言った。おかしい。確かに最近虫もタンパク源として注目されているとは聞くが、まだ一般的ではないはずだ。
しかしここは異世界。虫が普通のタンパク源でもおかしくはない。俺がよほど情けない顔をしていたのか猫紙は上を向いた。
「ふむ。そなたはそれほど早い動きができるとも思えぬし、なんなら鳥でも捕まえたらどうかの?」
「鳥?」
鳥ってあれか。空飛んでる奴だよな。飛んでるのにどうやって捕まえろって? 俺がいぶかしげな顔をしているのを見て、猫紙はあからさまにため息をついた。なんかむかつく。
「そなたの頭と身体は何の為にあるのか。石でもなんでも投げて当てればよかろう」
「簡単に言うなよな……」
ん? まてよ。
俺は自分の記憶から、紐の両端に石を結びつけて投げる狩猟道具を探しだした。紐、は蔓で代用できるものか? 耐久力のある草とかあるといいんだがな。とはいえ鳥が頭上高くを飛んでいるのはけっこう見かける。とりあえず手ごろな石をいくつか探し、試しに投げてみた。
「当たらぬの」
「そう簡単に当たるもんじゃねえっての」
俺は歩きながら石を拾い、近くに飛んでくる鳥に向かって何度も投げてみた。
「おお、おしい」
「ああ、そろそろ当たるかも」
元々ダーツとか、狙ったところに当てるのは得意だ。でも弓は全然ダメだったんだよな。鳥の進行方向を予測してうまく投げられれば当たるかもしれない。そんなことをしばらく続けていたらやっと一羽に当たった。
「よっしゃ!」
落ちてきた鳥は体長が30cmほどでしばらくもがいていたが、とりあえず足を縛って逆さにつるすことにした。そんなこんなで夢中になって石を投げ続け、どうにか三羽捕まえることができた。
「おお、うまそうじゃのう。で、どうやってさばくつもりじゃ?」
「……え」
捕まえたはいいが処理の方法を知らない。まず首をしめるんだったっけか? やっとの思いで捕まえたはいいものの食べられるようにする方法がわからず俺は途方に暮れた。
「と、とりあえず人里を目指そう!」
「……そなた、生き物をさばくこともできぬのによく肉が食いたいなどと言えたものじゃのぅ」
すいません。もう贅沢言いません。野菜とか果物とか食べて生きていきます。
鳥を傷つけてはい、さようならももったいないので籠に入れて運ぶことにした。
「竜樹、かじってもいいかの?」
「とりあえずダメだ」
猫紙にかじられたことで腐敗したら目も当てられない。鳥は吊るしておいたのでそれほど騒がなかった。そうして俺たちはまた川沿いをどんどん進んでいった。
辺りが少し暗くなってきたので今夜の寝床を探すことにする。結局今日も人に会えずじまいかとため息をついた時、草が密集している辺りからガサガサと大きな音がした。
「!? なんだ!?」
「……危険なものではないのう」
とっさに左手で拳を握って前に出し、右手をその下で構える。足は肩幅に開き、左足は前、右足は45度程度開いた形でその何かが現れるのを待った。危険な生き物は寄ってこないと猫紙が言ってはいたが念の為である。
結果として、草の、下の方から這い出してきたのは茶色の髪をした子どもだった。
「……あ……」
子どもは俺を見ると、ぽかん、と口を開けた。
とりあえず川で洗った方がいいと思えるほど、その子どもはとんでもなく汚れていた。
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