【完結】離婚されたけど、新しい旦那さま方に捕まりました~巨人族の夫たちに溺愛されてます

浅葱

文字の大きさ
121 / 136

120.憂いを消す為に

しおりを挟む
 ここのところ毎晩のように、偉明ウェイミンたちは兄弟で話し合っていた。
 全てリューイと共に憂いなく生きていく為である。
 もちろん短時間に止め、すぐにそのうちの二人はリューイの元に戻るのだが、情報共有はとても大事なことだった。

「……無意識だろうが、例の者を気にしているな」

 偉明の眉間に皺が寄った。

「……しかたありますまい。そなに長い間隣家にいたというのですから。しかも、元の夫だとかいう者がわざわざ呼んで見せつけるような真似をしていたというではありませんか」

 明輝ミンフイがため息交じりに言う。
 トラッシュのことを元夫というのも嫌だが、名前を言うのはもっと嫌なようである。

「全く……どこまでも祟りますな」

 浩明ハオミンが忌々しそうに呟いた。

「リューイをそうして苦しめた者など万死に値しますが、今はどうしているのでしょう?」

 清明チンミンはそこが気になった。

「田舎の領地に引きこもっているようだ。だからといって乳母を雇ってもいない」
「では産まれた赤子の世話などはどうなっているのですか?」

 報告書を見ながら伝えた偉明に、明輝が尋ねる。

「……聞きたいか?」
「赤子に罪はありますまい」
「そうだな。例の者の話によると、リューイの元夫は小さい頃はその田舎の領地で暮らしていたそうだ。使用人はほとんど変わっておらず、その領地ではとてもかわいがられて暮らしていたと」
「偉明グァ、前置きはけっこうです」
「まぁ聞け。そこの使用人たちは老いも若きもその天真爛漫さとかわいらしさに骨抜きになっていた。例の者を連れて行った時敵意を向けるほどに」
「まさか……」

 浩明は軽く口元を押さえた。

「そのまさかだ。リューイの元夫が例の者の子を成したこと。例の者がリューイと元夫の子を連れ出したこと。……使用人たちは我慢ができなくなったのであろうな」

 偉明は口角を上げた。

「使用人たちはリューイの元夫を愛しすぎていた。つまりはそういうことだ」
「では例の者と元夫との間に生まれた子は……」
「跡取りということもあるし、愛している者の子供だ。大事に育てられるであろうよ」
「それならばいいでしょう」

 明輝は満足そうにうなずいた。
 偉明たちはもう想像もする気はなかった。リューイがいた国からはもうリューイを脅かす者は現れない。もしリューイの心身を傷つけようとする者が現れれば全力で排除する。そう偉明たちは決めていた。
 そして、リューイの憂いを消す為にリューイと話さなければならないことも偉明たちはわかっていた。

―トラッシュはその後一生田舎の領地から出ることはなかった。
 跡取りには、トラッシュとアローの間に生まれた子が指名された。


 *  *


 夫たちに愛されながらイトに授乳するのは至福のひと時だ。
 けれどアローの視線を感じるとどうしてももやもやしてしまう。僕は何も悪いことをしていないのに、どうもすっきりしないのだ。
 そうしてアローとイトがこちらに来てから約二週間が過ぎた。

「旦那様、お願いがございます」

 夕食の席で、イトの食事の世話をしていたアローが意を決したように声を発した。

「何か」

 それに答えたのは、僕を膝に載せていた浩明だった。

「無理を承知でお願いします。リューイ様が旦那様方に抱かれている様子を、どうか私めに見せていただけないでしょうか」
「……えっ……」

 僕はアローのお願いに耳を疑った。

「……授乳の際に見ているだろう」

 浩明が怪訝そうに言う。確かに、授乳の際は見られている。授乳の時はイトにお乳をあげることに忙しいから、それほど気にはならない。

「授乳をしているリューイ様もとても幸せそうなのですが、授乳の後旦那様方に甘えて抱かれているリューイ様が見たいのです」
「……えっ……」

 頬が一気に熱くなった。

「その理由は?」
「リューイ様が旦那様方に抱かれて、蕩けている姿が見たいのです。私では……リューイ様を幸せにすることはできませんでしたから……」
「ふむ……見てなんとする」
「できれば……自慰をさせていただきたいと」

 自慰!? だって?
 僕は耳を疑った。
 聞いたことはある。恋する相手が他の者に抱かれている際に自慰をするのは、恋する相手へのアピールだと。それで恋する相手を抱くことができるのかと疑問に思ったことはあるのだけれど、それをアローがするって……。

「……そなにリューイがほしいか」
「……もし、その機会があるのでしたら」

 浩明は笑った。そして明輝の方を見やる。明輝は頷いた。どういうことなのかと、僕は浩明を見つめた。浩明が僕の髪に口づける。

「面白い。せいぜい見せつけてやるとしよう」
「ええっ?」

 どういうわけか、夫たちは僕が抱かれている姿をアローに見せることにしたようだった。
 僕としては授乳の時だって見られるのはもやもやしているのに、もし抱かれているところを見られたりしたらどうすればいいのだろうと思ってしまう。でも僕は夫たちの決定に逆らうことはできないし……。
 でも、それが嫌だと伝えることぐらいはしてもいいのだろうか?

「ぼ、僕は見られたくないです……」

 消え入りそうな声で浩明に告げる。

「何故?」

 浩明は楽しそうだ。何故と聞き返されて、僕も何故だろうと思った。

「その……恥ずかしい、です……」

 頬から熱が去らない。

「そうか。それが理由なら、私はリューイを抱いているところをアローに見せたいから見せよう」
「ええっ?」

 浩明の言っている意味がわからなくて、僕は泣きそうになったのだった。


ーーーーー
愛し合う姿を見たがる・見せたがるのはこの世界特有の習慣です~
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく

藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます! 婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。 目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり…… 巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。 【感想のお返事について】 感想をくださりありがとうございます。 執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。 大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。 他サイトでも公開中

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...