野良インコと元飼主~山で高校生活送ります~

浅葱

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31.智紀、タカを見る

 連休後の休みの日にも鷹匠が来てくれたので、朝早く起きて1回はタカを飛ばしているところを見ることができた。
 タカ、かっこいいなぁ。
 ピー太は俺の腕に留まっている。タカが飛んでいる姿を見ているらしく、こちらには見向きもしない。

「タカってカッコイイな」

 呟くと、ピピッ! と返事をされた。ピー太もかっこいいと思っているみたいだ。

「タカってあんな風に飛ぶんだね~。カラスの巣があったんだっけ?」
「みたいだな」

 まだ卵はなかったらしい。そこらへんの確認は森林管理部がやってくれたという。ありがたいことである。越野先輩にお礼を言いに行ったら、「お互い様だからいいよ」と言われた。越野先輩程はマッチョになりたくないけど、かっこいいと思った。森林管理部はマッチョ人口が多い。
 木に登ったり、木を切ったりといろいろやることが多いから筋肉は重要なんだろう。冬の間は炭焼きもするそうだ。それは部活動なのか? と首を傾げたりした。(ピー太も一緒の時に聞いたので、ピー太もコキャッと共に首を傾げていた。稲村が「かわいい!」とか言って写真を撮っていた)

「森林管理部って、新入生入ったのかな」
「なんかねー、やらかしが多いと強制的に入れられるらしいよー」

 横で一緒にタカを眺めている稲村が言う。

「……やらかしってなんだ?」
「イキッてたとか? カツアゲとか? そんな噂を聞いたけど、本当のところはわからないかなー」

 稲村はそう言って笑った。
 イキるって、この学校でイキッてどうするんだ? カツアゲも犯罪だよな?
 俺は首を傾げた。ピー太が俺の様子に気づいて一緒にコキャッと首を傾げた。かわいいな、オイ。
 俺が首を傾げるとピー太も真似することが多い。

「ピー太君、かわいーい!」
「女子か……」

 稲村が高い声で言う。村西がぼそっと呟いた。

「かわいいものはかわいいでしょ。女子とか男子とか関係ないと思うな!」
「……そうだな。悪かった」

 村西は素直に頭を下げた。

「そんなっ! 頭を下げるほどのことじゃないから!」

 稲村の方が狼狽えていた。
 タカのおかげでカラスは明らかに少なくなってきたと思う。でもそれはここらの山だけだから、定期的に追い払う必要があるみたいだった。
 共存できるならそれが一番いいのだけど、そんなにうまくはいかない。
 難しいなと思った。


 そろそろ寮の南側の田んぼで田植えをするらしい。それなりに広さがあって、農業管理部だけでは手が足りないから募集するそうだ。
 その前に中間テストがある。結果が出た後に田植えがあるってなんか、なんだかなぁと思った。

「せんせー」
「はい、大林君」
「田植えって参加すると内申点に加算されたりします?」
「するぞ」
「おお……」

 即答された。わかってたけどせちがらい。

「中間テストの後なんですよね?」
「そうだ。赤点の生徒は参加した方がいいぞ。一日だけだしな」
「でも泥だらけになるんでしょー?」

 他の生徒が聞いた。

「なる」

 泥だらけはやだなぁと思うけど、背に腹は変えられないだろう。ちなみに森林管理部は強制的に参加だそうだ。なんで森林管理部が? と聞いたらやらかした生徒たちの受け皿だかららしい。噂だけではなかったみたいだ。うわあと思った。
 その話は昼食時、クラスメイトの山根から聞いた。山根はそういえば農業管理部だった。

「それって森林管理部も全員ってことー?」

 稲村が聞く。山根は頷いた。

「山根も田植えはするんだよな」
「ああ、もちろんだ」

 なんか目がキラキラしている。自分の手で米を作りたいと言っていたから嬉しいのだろう。

「ただ……」
「うん?」
「今年は種を最初から植えることができなかった。来年は種まきから手伝いたい」
「?」

 ちょっと言っている意味がわからなかった。稲村と顔を見合わせる。

「山根……多分意味わかってないと思うぞ」

 バスケ部の緒方が苦笑した。緒方はわかっているらしい。

「うん? ああ、そうか。田植えは苗から行うだろう」

 苗? そういえばそうだったな。

「うん……あ、そっか。種からじゃないよな。ってことは、種から苗にする作業があるわけか」
「そういうことだ。大林は察しがいいな」

 山根は本当に嬉しそうだった。それらの作業は3月ぐらいから行うから、今年の新入生は手伝えなかったというこみたいだ。
 稲を育てる情熱か。俺にはそんな情熱はないけど、山根の嬉しそうな顔を見て、ここの生き物たちが快適に暮らせるよう尽力しようと思ったのだった。
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