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50.智紀、サバイバル大会に向けて練習す
「うわー、体育会系だー……」
俺と村西が適当に木登りしているのを見て、稲村が呟いた。なんか声がげんなりしているように聞こえる。
木登り、けっこう楽しいんだけどなぁ。特にピー太の小屋がある木とか、フクロウの小屋がある木は登りやすい。サバイバル大会用の木は上級生が練習に使っていてあまり空いている時がないのだ。
なので見回りを兼ねてこの辺りの木に登るようにしている。何かあった時とっさに木に登れたらいいのではないかと思ったことも確かだ。
瞬発力大事。
「木登りってスピード勝負なんだよね? そんなに勝ちたいかなぁ」
稲村は首を傾げている。
「そういうんじゃないんだよな、よっと」
下りてきて残り50cmぐらい高さになったところで跳び下りた。これぐらいだと下が草だから衝撃とかはない。土ってやっぱふかふかしてるものなんだなと実感する。
アスファルトの上を長時間歩いてると疲れるけど、土の道だとそうでもないという理由がこれだろう。もちろん足場が悪ければその限りではない。
「わっ、よくあんなところから飛び降りられるねー?」
稲村が驚いている。
「? せいぜい50cmぐらいだろ?」
「そんなことないよ! 1mぐらい上からだったって!」
「またまた~」
稲村は大げさだなと思った。
ピー太が飛んできて俺の頭の上にいつも通り留まった。さすがに木登りしている時は遠慮してくれたらしい。ピー太ってホント賢いよな。腕に移ってもらって羽をそっと撫でた。ピー太が満足そうに目を細めるのがかわいい。
村西も上まで登ってから下りてきた。登るのは勢いでできるんだが、下りる時がけっこう怖い。猫が木に登って下りられなくなるって気持ちがよくわかる。
「っと」
村西は俺が跳び下りた場所よりももっと上から跳び下りた。足痛くなんねえのかな、あれ。
「足、痛くなんねーの?」
「これぐらいなら平気だな。下がアスファルトだとまずいが」
「やっぱアスファルトとかコンクリは硬いよな。負担きそう」
「えー? 十分足傷めてそうだよー」
村西と具合を確かめてたら稲村が嫌そうな顔をする。確かに見てる方が怖いかもしれないなとは思った。
「石鹸づくりの手順とか調べてあんのか?」
「うん、そういうのは事前に調べてもいいみたい。一応危なくないように先生もついてるんだって」
「それなら安心だな」
「でも固い石鹸は作れないって言ってたー」
「そうなのか」
「どうしても柔らかくなっちゃうんだって」
まぁいろいろできないよりはできた方がいいってことなんだろう。
そんなかんじで木登りの練習をしたり、毎日の林の見回りをしたり、ピー太がまた不届き者をつつき回したりしているうちに明日はもうサバイバル大会開催日だ。
天気予報は晴れで、雨の気配は全くないらしい。
ここのところ清々しい秋晴れでいいかんじである。蚊はさすがに多いけど、オニヤンマのバッヂのせいかあんまり食われていない。まぁ基本は長袖長ズボンだからかもしれないけどな。
今日も学校の校舎にピー太、ピーコ、ピコーが迎えに来てくれた。村西も大分ピコーに慣れたらしく、頭の上に乗られても驚くことは少なくなった。
明日が楽しみすぎてちょっと落ち着かない。
「うーん……」
「ただいまでーす」
珍しく嵐山さんが寮の入口で唸っていた。
「あ、おかえりー」
「どうかしたんですか?」
聞くと、嵐山さんは難しい顔をして首を傾げた。
「まぁ、ちょっとね……なんか畑でイノシシが出たらしくてさ」
「えええ、それは困るじゃないですか」
「そうなんだよねー。秋だから余計なんだけど、畑掘り返されたりすると困るし、日中誰かが遭遇しても問題だしなぁ」
それは確かに、と大きく頷いた。
「いつ頃からイノシシが出始めたんです?」
「三日ぐらい前からっぽくてねー」
「それってどこかから流れてきたってことなんですかー?」
稲村が聞く。
「今巣の位置をフクロウ君とかユーリ君に探ってもらってるんだけど、山の中だからなかなか見つけられないみたいでね。明日はせっかくのお祭りなのに困ったよなぁ……」
「ですね……」
「一応夜間外出は禁止してるんだけど、聞かない子は聞かないからな~」
それもわからないでもない。でも本当に山中の夜は危険なのだ。寮の周りと校舎の周り以外には明かりもないから何をしていてもわからない。それだけでなく、本気で足元が見えない。
「ま、監視カメラに映った子は捕まえたんだけどねー」
「ははは……」
生徒たちの安全の為ということで、この山の中には監視カメラがある程度設置はされている。それはちゃんと施設の案内にも書いてあるので、きちんと読んでなかった者の責任だ。監視カメラがどこに設置されてるかとかは俺たちにもわからないんだけどさ。
「なんか不穏だな」
「不穏だねー」
「何事もないことを祈る……」
稲村、村西とそんなことを言いながら部屋に戻ったのだった。
俺と村西が適当に木登りしているのを見て、稲村が呟いた。なんか声がげんなりしているように聞こえる。
木登り、けっこう楽しいんだけどなぁ。特にピー太の小屋がある木とか、フクロウの小屋がある木は登りやすい。サバイバル大会用の木は上級生が練習に使っていてあまり空いている時がないのだ。
なので見回りを兼ねてこの辺りの木に登るようにしている。何かあった時とっさに木に登れたらいいのではないかと思ったことも確かだ。
瞬発力大事。
「木登りってスピード勝負なんだよね? そんなに勝ちたいかなぁ」
稲村は首を傾げている。
「そういうんじゃないんだよな、よっと」
下りてきて残り50cmぐらい高さになったところで跳び下りた。これぐらいだと下が草だから衝撃とかはない。土ってやっぱふかふかしてるものなんだなと実感する。
アスファルトの上を長時間歩いてると疲れるけど、土の道だとそうでもないという理由がこれだろう。もちろん足場が悪ければその限りではない。
「わっ、よくあんなところから飛び降りられるねー?」
稲村が驚いている。
「? せいぜい50cmぐらいだろ?」
「そんなことないよ! 1mぐらい上からだったって!」
「またまた~」
稲村は大げさだなと思った。
ピー太が飛んできて俺の頭の上にいつも通り留まった。さすがに木登りしている時は遠慮してくれたらしい。ピー太ってホント賢いよな。腕に移ってもらって羽をそっと撫でた。ピー太が満足そうに目を細めるのがかわいい。
村西も上まで登ってから下りてきた。登るのは勢いでできるんだが、下りる時がけっこう怖い。猫が木に登って下りられなくなるって気持ちがよくわかる。
「っと」
村西は俺が跳び下りた場所よりももっと上から跳び下りた。足痛くなんねえのかな、あれ。
「足、痛くなんねーの?」
「これぐらいなら平気だな。下がアスファルトだとまずいが」
「やっぱアスファルトとかコンクリは硬いよな。負担きそう」
「えー? 十分足傷めてそうだよー」
村西と具合を確かめてたら稲村が嫌そうな顔をする。確かに見てる方が怖いかもしれないなとは思った。
「石鹸づくりの手順とか調べてあんのか?」
「うん、そういうのは事前に調べてもいいみたい。一応危なくないように先生もついてるんだって」
「それなら安心だな」
「でも固い石鹸は作れないって言ってたー」
「そうなのか」
「どうしても柔らかくなっちゃうんだって」
まぁいろいろできないよりはできた方がいいってことなんだろう。
そんなかんじで木登りの練習をしたり、毎日の林の見回りをしたり、ピー太がまた不届き者をつつき回したりしているうちに明日はもうサバイバル大会開催日だ。
天気予報は晴れで、雨の気配は全くないらしい。
ここのところ清々しい秋晴れでいいかんじである。蚊はさすがに多いけど、オニヤンマのバッヂのせいかあんまり食われていない。まぁ基本は長袖長ズボンだからかもしれないけどな。
今日も学校の校舎にピー太、ピーコ、ピコーが迎えに来てくれた。村西も大分ピコーに慣れたらしく、頭の上に乗られても驚くことは少なくなった。
明日が楽しみすぎてちょっと落ち着かない。
「うーん……」
「ただいまでーす」
珍しく嵐山さんが寮の入口で唸っていた。
「あ、おかえりー」
「どうかしたんですか?」
聞くと、嵐山さんは難しい顔をして首を傾げた。
「まぁ、ちょっとね……なんか畑でイノシシが出たらしくてさ」
「えええ、それは困るじゃないですか」
「そうなんだよねー。秋だから余計なんだけど、畑掘り返されたりすると困るし、日中誰かが遭遇しても問題だしなぁ」
それは確かに、と大きく頷いた。
「いつ頃からイノシシが出始めたんです?」
「三日ぐらい前からっぽくてねー」
「それってどこかから流れてきたってことなんですかー?」
稲村が聞く。
「今巣の位置をフクロウ君とかユーリ君に探ってもらってるんだけど、山の中だからなかなか見つけられないみたいでね。明日はせっかくのお祭りなのに困ったよなぁ……」
「ですね……」
「一応夜間外出は禁止してるんだけど、聞かない子は聞かないからな~」
それもわからないでもない。でも本当に山中の夜は危険なのだ。寮の周りと校舎の周り以外には明かりもないから何をしていてもわからない。それだけでなく、本気で足元が見えない。
「ま、監視カメラに映った子は捕まえたんだけどねー」
「ははは……」
生徒たちの安全の為ということで、この山の中には監視カメラがある程度設置はされている。それはちゃんと施設の案内にも書いてあるので、きちんと読んでなかった者の責任だ。監視カメラがどこに設置されてるかとかは俺たちにもわからないんだけどさ。
「なんか不穏だな」
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稲村、村西とそんなことを言いながら部屋に戻ったのだった。
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