48 / 70
47.逆バンジーを延々しかけられたのかもしれません
しおりを挟む
「ええい! この拘束を解け!」
色付きの縄のようなもので両腕を後ろ手に縛られているような状態になった王太子を見て、王妃は悲鳴を上げた。
「ヴィクトーリア! 早くこの拘束魔法を解いてちょうだい!」
ヴィクトーリア様は涼し気な顔で王妃を見た。
「解いてもかまいませんが、王太子様がローゼや私に危害を加えないという保証はございますか?」
「そ、それは……」
保証できないんかーい! じゃあ解いたらまずいんじゃないかーい!
「王太子様が落ち着いて話をできる状態になりましたら自然と解けるようにしております。王太子様、どうか落ち着いてくださいませ」
「これが落ち着けるか!? 私の心を弄んだだけではなく、今度は公爵家の妻だと!? 叩き切ってくれるわ!」
えええええ。どーしてそうなるのおおおおお? 私はただ、牢屋に入りたくなくて、修道院に入りたくなくて、死にたくなかっただけなのにいいいいいい!
今までのことが一気に思い出されて涙が浮かんだ。
いけない! と思ったけど、一度浮かんだ涙が引っ込むはずはなく、ぼろぼろと溢れ出した。
泣き出してしまった私を見て王妃はぎょっとした顔をした。ヴィクトーリア様が悲痛な表情をする。だけど王太子は更に激昂した。
「泣けば許されるとでも思ってるのか、この悪女め! 可愛い顔をしているからと思ったらとんだ……あうっ!?」
バシッ! と激しい音がしたかと思ったら、ヴィクトーリア様が王太子の頬を扇子で叩いたようだった。
って、えええ? それってやヴぁいのではああああ!?
「貴様……母上にも手を上げられたことのない私にっ……!」
王太子の怒りが今度はヴィクトーリア様に向かった。対するヴィクトーリア様は冷ややかな目で王太子を眺めた。
「……王太子様、ローゼは私の大切な友人ですのよ? その友人に対しての悪口雑言、到底許せるはずがありませんわ!」
「だがっ……!」
「では王太子様はご自身の親友に対して悪口雑言を吐く者がいたとしたらなんとします!?」
「そんなものは手打ちにするに決まっておろう!」
「では私も王太子様を手打ちにしてよろしゅうございますね!?」
「……くっ……」
さすがに王太子も頭が少し冷えたようだった。てか、王太子にも親友っていたんですね。そちらの方がびっくりです。
「ごめんなさいね、ローゼ……」
ヴィクトーリア様がキレイに刺繍をしたハンカチを私に差し出した。
「い、いえ……これは……ヴィクトーリア様がご自身で刺繍された……」
「……本当は、王太子様に差し上げようと思ったのだけどこんな方だったなんて思わなかったわ。どうかローゼが使ってちょうだい」
「でも……」
涙がぼろぼろ溢れて止まらない。
「……言い過ぎた」
王太子がポツリと呟いた。それまで固まっていた王妃がやっとぎくしゃくと動き出した。
「ヴィ、ヴィクトーリア! アルノルトを叩くなんて、なんてことっ!」
今頃かよ、と思ってしまった。
「母上、それはもう終わりました。確かに友人を侮辱されたと思えば手が出るのも致し方ありません……」
「ゆ、友人といったって、男爵家の庶子ではないの!」
あー……と思った。おかげで涙が止まらない。こんなに泣いたら脱水症状でも起こしそうだ。
「母上! その男爵家の庶子に恋をしたのは私です! ローゼに文句を言っていいのは私だけです!」
王太子が毅然として言った。いや、王太子も文句は言わないでほしい。文句言いたいのはこっちだし。
「ア、アルノルト……」
王妃は信じられない物を見るような目で王太子を見た。
ヴィクトーリア様がため息をついた。
「謝罪は求めませんが、ローゼに恋をしたのはヴィクトールの方からです。ローゼは今回のことは全く知りません。ですが、大事な友人には幸せになってほしいと思ったのでこの話を進めました」
「……私ではローゼを幸せにはさせられないと?」
射殺さんばかりに王太子がヴィクトーリア様を睨んだ。
「……ローゼに男爵家の庶子と蔑まれろというのですか? 我が公爵家にはそのようなことを言及する者は一人としておりませんよ?」
「……そうか」
そこでやっと冷静になったのか、王太子の拘束は解けた。
「母上、貴女とはしっかり話し合いをする必要がありそうだ」
「アルノルト……」
どうやら王太子の矛先は王妃に向かったようだ。私はやっと止まった涙を拭い、ヴィクトーリア様と共に庭園を辞した。
なんていうかもう、ジェットコースターに乗ったような気分だった。
ーーーーー
困った親子です。。。
色付きの縄のようなもので両腕を後ろ手に縛られているような状態になった王太子を見て、王妃は悲鳴を上げた。
「ヴィクトーリア! 早くこの拘束魔法を解いてちょうだい!」
ヴィクトーリア様は涼し気な顔で王妃を見た。
「解いてもかまいませんが、王太子様がローゼや私に危害を加えないという保証はございますか?」
「そ、それは……」
保証できないんかーい! じゃあ解いたらまずいんじゃないかーい!
「王太子様が落ち着いて話をできる状態になりましたら自然と解けるようにしております。王太子様、どうか落ち着いてくださいませ」
「これが落ち着けるか!? 私の心を弄んだだけではなく、今度は公爵家の妻だと!? 叩き切ってくれるわ!」
えええええ。どーしてそうなるのおおおおお? 私はただ、牢屋に入りたくなくて、修道院に入りたくなくて、死にたくなかっただけなのにいいいいいい!
今までのことが一気に思い出されて涙が浮かんだ。
いけない! と思ったけど、一度浮かんだ涙が引っ込むはずはなく、ぼろぼろと溢れ出した。
泣き出してしまった私を見て王妃はぎょっとした顔をした。ヴィクトーリア様が悲痛な表情をする。だけど王太子は更に激昂した。
「泣けば許されるとでも思ってるのか、この悪女め! 可愛い顔をしているからと思ったらとんだ……あうっ!?」
バシッ! と激しい音がしたかと思ったら、ヴィクトーリア様が王太子の頬を扇子で叩いたようだった。
って、えええ? それってやヴぁいのではああああ!?
「貴様……母上にも手を上げられたことのない私にっ……!」
王太子の怒りが今度はヴィクトーリア様に向かった。対するヴィクトーリア様は冷ややかな目で王太子を眺めた。
「……王太子様、ローゼは私の大切な友人ですのよ? その友人に対しての悪口雑言、到底許せるはずがありませんわ!」
「だがっ……!」
「では王太子様はご自身の親友に対して悪口雑言を吐く者がいたとしたらなんとします!?」
「そんなものは手打ちにするに決まっておろう!」
「では私も王太子様を手打ちにしてよろしゅうございますね!?」
「……くっ……」
さすがに王太子も頭が少し冷えたようだった。てか、王太子にも親友っていたんですね。そちらの方がびっくりです。
「ごめんなさいね、ローゼ……」
ヴィクトーリア様がキレイに刺繍をしたハンカチを私に差し出した。
「い、いえ……これは……ヴィクトーリア様がご自身で刺繍された……」
「……本当は、王太子様に差し上げようと思ったのだけどこんな方だったなんて思わなかったわ。どうかローゼが使ってちょうだい」
「でも……」
涙がぼろぼろ溢れて止まらない。
「……言い過ぎた」
王太子がポツリと呟いた。それまで固まっていた王妃がやっとぎくしゃくと動き出した。
「ヴィ、ヴィクトーリア! アルノルトを叩くなんて、なんてことっ!」
今頃かよ、と思ってしまった。
「母上、それはもう終わりました。確かに友人を侮辱されたと思えば手が出るのも致し方ありません……」
「ゆ、友人といったって、男爵家の庶子ではないの!」
あー……と思った。おかげで涙が止まらない。こんなに泣いたら脱水症状でも起こしそうだ。
「母上! その男爵家の庶子に恋をしたのは私です! ローゼに文句を言っていいのは私だけです!」
王太子が毅然として言った。いや、王太子も文句は言わないでほしい。文句言いたいのはこっちだし。
「ア、アルノルト……」
王妃は信じられない物を見るような目で王太子を見た。
ヴィクトーリア様がため息をついた。
「謝罪は求めませんが、ローゼに恋をしたのはヴィクトールの方からです。ローゼは今回のことは全く知りません。ですが、大事な友人には幸せになってほしいと思ったのでこの話を進めました」
「……私ではローゼを幸せにはさせられないと?」
射殺さんばかりに王太子がヴィクトーリア様を睨んだ。
「……ローゼに男爵家の庶子と蔑まれろというのですか? 我が公爵家にはそのようなことを言及する者は一人としておりませんよ?」
「……そうか」
そこでやっと冷静になったのか、王太子の拘束は解けた。
「母上、貴女とはしっかり話し合いをする必要がありそうだ」
「アルノルト……」
どうやら王太子の矛先は王妃に向かったようだ。私はやっと止まった涙を拭い、ヴィクトーリア様と共に庭園を辞した。
なんていうかもう、ジェットコースターに乗ったような気分だった。
ーーーーー
困った親子です。。。
12
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
大人になったオフェーリア。
ぽんぽこ狸
恋愛
婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。
生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。
けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。
それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。
その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。
その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
(R18)灰かぶり姫の公爵夫人の華麗なる変身
青空一夏
恋愛
Hotランキング16位までいった作品です。
レイラは灰色の髪と目の痩せぎすな背ばかり高い少女だった。
13歳になった日に、レイモンド公爵から突然、プロポーズされた。
その理由は奇妙なものだった。
幼い頃に飼っていたシャム猫に似ているから‥‥
レイラは社交界でもばかにされ、不釣り合いだと噂された。
せめて、旦那様に人間としてみてほしい!
レイラは隣国にある寄宿舎付きの貴族学校に留学し、洗練された淑女を目指すのだった。
☆マーク性描写あり、苦手な方はとばしてくださいませ。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる