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私の大学時代の元彼、ユウヤは就職後、私の地元の県に転勤になり、今はこちらに住んでいるとのことだった。
私とユウヤは再会してあっという間によりを戻し、またあっという間に結婚が決まった。
私とユウヤが結婚してすぐ、ユウヤの転勤で別の県に行くことになった。
私は、すぐにカスミに報告し、帰省する時は必ず言うと約束した。
結婚して二年は、忙しくも幸せで瞬く間に過ぎていった。こっちに移ってきてから仕事も始めたこともあり、気付けば私も30を過ぎていて、なかなか波乱万丈だったなぁと自分の人生をふりかえった。
まだ子供が出来ないのは残念ではあったが、そのおかげでフットワークは軽く私は自分の仕事の休みが取れれば、適当に実家に帰ったりもしていた。
もちろん、カスミには必ず会う。
カスミは、私よりずっと美人なのになぜか結婚せず、独身を通していた。
彼氏はいたりいなかったりで、そうこうしている間にカスミよりカスミの五つ下の妹のサヤカちゃんが結婚してしまった。
カスミとサヤカちゃんは、すごく仲の良い姉妹で、大人になってからも二人でよく出掛けているようだった。
そして、カスミは毎回、サヤカちゃんに彼氏ができると本人から報告されるより先に感づく。
私は、カスミのそういうところはお姉ちゃんぽいな、と微笑ましかった。
先に嫁いでいく妹に、カスミ本人は悔しがる様子は一切なく、嬉しそうに妹の幸せを願っていた。余計なお世話かもしれないが、私はカスミ自身の幸せも考えて欲しかった。
きっと何度となく彼女の優しさに支えられた私は、カスミの幸せを願わずにいられないとだと思う。
結婚して3年目になる秋、私が4日ほど連休をとって帰省していた9月に
夫が亡くなった。
私が向こうに帰る予定になっていた日の午前中、夫の会社から、彼の無断欠勤を知らされた。昨日からだという。
そんなことをするような人ではない、おかしいと思い本人に電話するもでない。
胸騒ぎがする・・・
住んでいるのは社宅だったので、様子を見に行って欲しいとお願いして、私も予定を早めて急いで帰った。
戻っている車の運転中に、また夫の会社から電話がかかってきた。
いつ電話がかかって来てもいいようにBluetoothを繋げていたが、いざとなると出るのが怖かった。
夫は家の中で亡くなっていた。心筋梗塞だった。
病気の前兆があったかどうかなんて、私には分からない。ただ平凡で幸せな日常を過ごしていると思っていた。
夫の葬儀には、私の両親と共にカスミも来てくれた。
私は、また彼女に元気づけられることになった。カスミに話かける男性もいたが、カスミはずっと私の傍にいることを優先してくれた。
「サヤカちゃんは元気?結婚してから県外にいるんでしょ?」
私の結婚生活は、突然終わった。サヤカちゃんは、そうであってほしくない。
「サヤカは元気なんだけど、旦那の方が前と同じ病気で、また入院してる。」
サヤカちゃんの旦那は、結婚してすぐ膵炎になって入院した。あれから一年ぐらいたつが、また膵炎で入院していると聞いてビックリした。
確か婚約中にも一度、膵炎で入院している。
私は、サヤカちゃんの旦那に会ったことがないのでなんとも言えないが、カスミが言うには『普段はめっちゃ元気な人』らしい。
普段は風邪ひとつひかないのに、なぜか膵炎にはなるのだとか。
「そうなんだ・・・大事にならないといいんだけど・・・。」
「もう、退院の日取りも決まってるから大丈夫。けどお母さんが様子見がてらのお見舞いでサヤカのところに行ってるの。」
末っ子だからって、サヤカには今でも甘いんだから、とカスミは苦笑いだ。
「お母さんが心配して『子供ができたらどうするの?心配だから近くに住むか帰ってくるかしてくれない?』って、サヤカに文句言ってた。」
「そうなんだ・・・。おばさんもサヤカちゃんが結婚して寂しいんじゃない?」
「うん・・・そうかも。 」
カスミが私に柔らかく微笑む。
細い手首には学生時代に奮発して買った腕時計が、今もなお動いている。
葬儀客の中には、まるで恋に落ちたかのような表情で彼女を見つめる男性もいた。
「ねぇ、あなたは帰ってこないの?」
彼女は、相変わず花が綻ぶように笑う。
私とユウヤは再会してあっという間によりを戻し、またあっという間に結婚が決まった。
私とユウヤが結婚してすぐ、ユウヤの転勤で別の県に行くことになった。
私は、すぐにカスミに報告し、帰省する時は必ず言うと約束した。
結婚して二年は、忙しくも幸せで瞬く間に過ぎていった。こっちに移ってきてから仕事も始めたこともあり、気付けば私も30を過ぎていて、なかなか波乱万丈だったなぁと自分の人生をふりかえった。
まだ子供が出来ないのは残念ではあったが、そのおかげでフットワークは軽く私は自分の仕事の休みが取れれば、適当に実家に帰ったりもしていた。
もちろん、カスミには必ず会う。
カスミは、私よりずっと美人なのになぜか結婚せず、独身を通していた。
彼氏はいたりいなかったりで、そうこうしている間にカスミよりカスミの五つ下の妹のサヤカちゃんが結婚してしまった。
カスミとサヤカちゃんは、すごく仲の良い姉妹で、大人になってからも二人でよく出掛けているようだった。
そして、カスミは毎回、サヤカちゃんに彼氏ができると本人から報告されるより先に感づく。
私は、カスミのそういうところはお姉ちゃんぽいな、と微笑ましかった。
先に嫁いでいく妹に、カスミ本人は悔しがる様子は一切なく、嬉しそうに妹の幸せを願っていた。余計なお世話かもしれないが、私はカスミ自身の幸せも考えて欲しかった。
きっと何度となく彼女の優しさに支えられた私は、カスミの幸せを願わずにいられないとだと思う。
結婚して3年目になる秋、私が4日ほど連休をとって帰省していた9月に
夫が亡くなった。
私が向こうに帰る予定になっていた日の午前中、夫の会社から、彼の無断欠勤を知らされた。昨日からだという。
そんなことをするような人ではない、おかしいと思い本人に電話するもでない。
胸騒ぎがする・・・
住んでいるのは社宅だったので、様子を見に行って欲しいとお願いして、私も予定を早めて急いで帰った。
戻っている車の運転中に、また夫の会社から電話がかかってきた。
いつ電話がかかって来てもいいようにBluetoothを繋げていたが、いざとなると出るのが怖かった。
夫は家の中で亡くなっていた。心筋梗塞だった。
病気の前兆があったかどうかなんて、私には分からない。ただ平凡で幸せな日常を過ごしていると思っていた。
夫の葬儀には、私の両親と共にカスミも来てくれた。
私は、また彼女に元気づけられることになった。カスミに話かける男性もいたが、カスミはずっと私の傍にいることを優先してくれた。
「サヤカちゃんは元気?結婚してから県外にいるんでしょ?」
私の結婚生活は、突然終わった。サヤカちゃんは、そうであってほしくない。
「サヤカは元気なんだけど、旦那の方が前と同じ病気で、また入院してる。」
サヤカちゃんの旦那は、結婚してすぐ膵炎になって入院した。あれから一年ぐらいたつが、また膵炎で入院していると聞いてビックリした。
確か婚約中にも一度、膵炎で入院している。
私は、サヤカちゃんの旦那に会ったことがないのでなんとも言えないが、カスミが言うには『普段はめっちゃ元気な人』らしい。
普段は風邪ひとつひかないのに、なぜか膵炎にはなるのだとか。
「そうなんだ・・・大事にならないといいんだけど・・・。」
「もう、退院の日取りも決まってるから大丈夫。けどお母さんが様子見がてらのお見舞いでサヤカのところに行ってるの。」
末っ子だからって、サヤカには今でも甘いんだから、とカスミは苦笑いだ。
「お母さんが心配して『子供ができたらどうするの?心配だから近くに住むか帰ってくるかしてくれない?』って、サヤカに文句言ってた。」
「そうなんだ・・・。おばさんもサヤカちゃんが結婚して寂しいんじゃない?」
「うん・・・そうかも。 」
カスミが私に柔らかく微笑む。
細い手首には学生時代に奮発して買った腕時計が、今もなお動いている。
葬儀客の中には、まるで恋に落ちたかのような表情で彼女を見つめる男性もいた。
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彼女は、相変わず花が綻ぶように笑う。
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