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放課後の図書室は、テスト前でもなければだいたい無人だが、ぼくは帰りに時々寄る。運が良ければ好きな子に会える。これは、本当に運任せで決してストーカーまがいのことをしているわけじゃない。
会えるといっても一方的に姿を見ているだけで、それ以上のことは、何にもないんだけど。
今日は、運が悪かったのかもしれない・・・。
「ねぇ、図書室に行くんでしょう?」
別館になっている図書室へ続く中庭を突っ切る通路で、1組のカップルに足止めされた。
ギャル系美人の高山マミと、その彼氏の今井ユウトはK-POPアイドルのようなピンク色の髪をしていて、学年では知らない者はいないぐらいだ。
この派手なカップルは目立つので僕みたいな、大人しく平穏にすごしている一般的な生徒でも知っている。
「そうだけど・・・」
「今、図書室、佐伯さんしかいないよ。」
今井くんが僕の顔を覗き込むようして言ってくる。
この人、髪色だけじゃない・・・顔もアイドル並みだ。男なのに、良い匂いがする・・・。
「チャンスよ。」
「なっ、何が?」
「告白しなさい。」
高山さんは、美人だけど大人びた少しキツめの顔立ちをしている。ばっちり化粧された目元で、睨むように言われて僕は少し寒気がした。
「えっ!?」
確かに、僕は佐伯リコさんに憧れている。けれど、この二人が知ってるわけがない。
下心があって図書室に通っている事がばれたのか?
けれど、なんの理由があって告白を強制されなければならないのだろう。
「いや、何で?」
「告白すれば佐伯さんと両思いになれるんだよ?何か不満なの?」
今井君が、当たり前のことをいうような感じで、絶対そうじゃないこと言う。
いや、告白したって両思いにはなれないでしょ。振られるに決まってるし。
「いやいやいや、例え僕が告白したって両思いにはなれないよね!?」
「なれるわ。だから告白しなさい、今から。」
「ちゃんと入口で邪魔が入らないよう見張ってるから、安心していいよ。」
そもそも、この二人って佐伯さんとどんな関係なの?友達?
佐伯さんだって可愛いから学年で知らない人はいないだろうけど、この二人とはタイプが違う。佐伯さんは、少しお嬢様ぽい雰囲気の正統派美少女といった感じで、アイドルグループに一人はいそうなタイプ。
僕は、まったく二人の話が理解出来ないのに、気迫というか空気に飲まれて、ジリジリと図書室に近づいて行ってしまっている。
「分かってると思うけど・・・間違っても、告白させられたなんて言うんじゃないわよ。」
背の高い高山さんは、僕とさほど目線が変わらない。美人だから気が強いのか、気の強さが彼女をより美人に見せるのか・・・僕をチラリと見た彼女の目力は、決してアイメイクのせいだけではないはずだ。
「ほら、早く行っておいで。」
とうとう図書室の入口まで来てしまった僕は、今井くんに押し込むように背中を押され中に入らざるえなかった。
今井君は、高山さんに比べ話し方や言葉は柔らかいのに強引だ。そういう所は、圧倒的スクールカースト上位者だ。
僕は、これ、もしかしてイジメじゃないか?と学校生活に絶望しかかった。
あの日、高山さんと今井君の二人に図書室での告白を強要され、僕はヤケクソで佐伯さんに告白した。
すると、信じられないことにOKが貰えたのだ。
「私の読まないジャンルの棚にいつもいるのに、一回だけ私の読んだことのある本を返却してるのを見かけて、たったそれだけのことが頭から離れなくて、気がついたら好きになってた・・・だから、すごく嬉しい・・・」
僕は、その一冊の本に心当たりがあった。佐伯さんが読んでいたのを知っていて借りた。わざと同じ本を借りるという変態じみた行為に罪悪感を感じ、一回だけで辞めた。
両思いになった今も、これは伝えていない。
ちなみに、あのカップルは告白が終わって佐伯さんと二人で図書室を出たら、どこにもいなかった。
見張ってるとか言ったけれど、図書室は元々ほとんど人がこないから、その約束が果たされたのかどうかは不明だ。
「佐伯さんって、高山さんと今井君と仲良いの?」
両思いになって数日後、僕はとうとう佐伯さんに聞いた。
「マミちゃんと今井君?」
「えっ!!やっぱり友達なの?」
「うん!マミちゃんは、入学した次の日に違うクラスなのに話しかけてくれて、それから仲良くなったんだよね。今井君は、マミちゃんの彼氏だから・・・二人とも女の子アイドルとか少女漫画とか好きなの、ちょっと意外で可愛いって思っちゃった!!」
「あの二人、アイドルとか少女漫画好きなの!?」
意外過ぎるんだけど!!
いや、だから佐伯さんに構っているのか?
それなら、すごく分かる。図書室に通う美少女なんて少女漫画の王道ヒロインだし。佐伯さんのルックスも、きっと好みなんだろう。
「よくオススメの漫画も借りてるんだけど、いつも面白くてハズレがないんだよ!!あっ、二人とも好きな漫画が同じでジ○リ映画の原作で、少し古い作品なんだけど・・・えっとぉ」
「もしかして、『耳を〇ませば』?」
「そう!!」
ヒロインの相手、僕と同じ名前だ・・・。僕は少女漫画ファンでもジ〇リファンでもないが、有名な作品だから見たことはある。
「好きな人ができたってマミちゃん達に相談した時に、貸してくれた漫画なの!!」
「へぇ・・・。」
「名前も同じセイジ君でビックリしちゃった!!」
少し顔を赤くして恥ずかしそうな佐伯さんが可愛い。すごく可愛い。
けど、あの派手なカップルに対する情報が渋滞している。
「二人とも、絶対、両思いになれるから大丈夫ってよく励ましてくれて、だから、セイジ君と両思いになれたの二人のおかげかも・・・」
「そうなんだ・・・良い友達だね。」
正直、僕の知ってる情報だけで良い友達かどうかの判定は難しいが、佐伯さんは何にも知らないだろうし・・・。
あの二人が純粋に友人の恋の手助けをしたのか、好きな少女漫画に影響されていたのかは分からない。
まぁ、佐伯さんと両思いになった今、それはもういい。
あの二人が強引にお膳立てしてくれなければ、僕は告白しようなんて思わなかった。
「今度、四人で遊びに行こうって言ってたよ。」
それは、もう少し待ってほしい・・・。
なんか、怖い・・・。
会えるといっても一方的に姿を見ているだけで、それ以上のことは、何にもないんだけど。
今日は、運が悪かったのかもしれない・・・。
「ねぇ、図書室に行くんでしょう?」
別館になっている図書室へ続く中庭を突っ切る通路で、1組のカップルに足止めされた。
ギャル系美人の高山マミと、その彼氏の今井ユウトはK-POPアイドルのようなピンク色の髪をしていて、学年では知らない者はいないぐらいだ。
この派手なカップルは目立つので僕みたいな、大人しく平穏にすごしている一般的な生徒でも知っている。
「そうだけど・・・」
「今、図書室、佐伯さんしかいないよ。」
今井くんが僕の顔を覗き込むようして言ってくる。
この人、髪色だけじゃない・・・顔もアイドル並みだ。男なのに、良い匂いがする・・・。
「チャンスよ。」
「なっ、何が?」
「告白しなさい。」
高山さんは、美人だけど大人びた少しキツめの顔立ちをしている。ばっちり化粧された目元で、睨むように言われて僕は少し寒気がした。
「えっ!?」
確かに、僕は佐伯リコさんに憧れている。けれど、この二人が知ってるわけがない。
下心があって図書室に通っている事がばれたのか?
けれど、なんの理由があって告白を強制されなければならないのだろう。
「いや、何で?」
「告白すれば佐伯さんと両思いになれるんだよ?何か不満なの?」
今井君が、当たり前のことをいうような感じで、絶対そうじゃないこと言う。
いや、告白したって両思いにはなれないでしょ。振られるに決まってるし。
「いやいやいや、例え僕が告白したって両思いにはなれないよね!?」
「なれるわ。だから告白しなさい、今から。」
「ちゃんと入口で邪魔が入らないよう見張ってるから、安心していいよ。」
そもそも、この二人って佐伯さんとどんな関係なの?友達?
佐伯さんだって可愛いから学年で知らない人はいないだろうけど、この二人とはタイプが違う。佐伯さんは、少しお嬢様ぽい雰囲気の正統派美少女といった感じで、アイドルグループに一人はいそうなタイプ。
僕は、まったく二人の話が理解出来ないのに、気迫というか空気に飲まれて、ジリジリと図書室に近づいて行ってしまっている。
「分かってると思うけど・・・間違っても、告白させられたなんて言うんじゃないわよ。」
背の高い高山さんは、僕とさほど目線が変わらない。美人だから気が強いのか、気の強さが彼女をより美人に見せるのか・・・僕をチラリと見た彼女の目力は、決してアイメイクのせいだけではないはずだ。
「ほら、早く行っておいで。」
とうとう図書室の入口まで来てしまった僕は、今井くんに押し込むように背中を押され中に入らざるえなかった。
今井君は、高山さんに比べ話し方や言葉は柔らかいのに強引だ。そういう所は、圧倒的スクールカースト上位者だ。
僕は、これ、もしかしてイジメじゃないか?と学校生活に絶望しかかった。
あの日、高山さんと今井君の二人に図書室での告白を強要され、僕はヤケクソで佐伯さんに告白した。
すると、信じられないことにOKが貰えたのだ。
「私の読まないジャンルの棚にいつもいるのに、一回だけ私の読んだことのある本を返却してるのを見かけて、たったそれだけのことが頭から離れなくて、気がついたら好きになってた・・・だから、すごく嬉しい・・・」
僕は、その一冊の本に心当たりがあった。佐伯さんが読んでいたのを知っていて借りた。わざと同じ本を借りるという変態じみた行為に罪悪感を感じ、一回だけで辞めた。
両思いになった今も、これは伝えていない。
ちなみに、あのカップルは告白が終わって佐伯さんと二人で図書室を出たら、どこにもいなかった。
見張ってるとか言ったけれど、図書室は元々ほとんど人がこないから、その約束が果たされたのかどうかは不明だ。
「佐伯さんって、高山さんと今井君と仲良いの?」
両思いになって数日後、僕はとうとう佐伯さんに聞いた。
「マミちゃんと今井君?」
「えっ!!やっぱり友達なの?」
「うん!マミちゃんは、入学した次の日に違うクラスなのに話しかけてくれて、それから仲良くなったんだよね。今井君は、マミちゃんの彼氏だから・・・二人とも女の子アイドルとか少女漫画とか好きなの、ちょっと意外で可愛いって思っちゃった!!」
「あの二人、アイドルとか少女漫画好きなの!?」
意外過ぎるんだけど!!
いや、だから佐伯さんに構っているのか?
それなら、すごく分かる。図書室に通う美少女なんて少女漫画の王道ヒロインだし。佐伯さんのルックスも、きっと好みなんだろう。
「よくオススメの漫画も借りてるんだけど、いつも面白くてハズレがないんだよ!!あっ、二人とも好きな漫画が同じでジ○リ映画の原作で、少し古い作品なんだけど・・・えっとぉ」
「もしかして、『耳を〇ませば』?」
「そう!!」
ヒロインの相手、僕と同じ名前だ・・・。僕は少女漫画ファンでもジ〇リファンでもないが、有名な作品だから見たことはある。
「好きな人ができたってマミちゃん達に相談した時に、貸してくれた漫画なの!!」
「へぇ・・・。」
「名前も同じセイジ君でビックリしちゃった!!」
少し顔を赤くして恥ずかしそうな佐伯さんが可愛い。すごく可愛い。
けど、あの派手なカップルに対する情報が渋滞している。
「二人とも、絶対、両思いになれるから大丈夫ってよく励ましてくれて、だから、セイジ君と両思いになれたの二人のおかげかも・・・」
「そうなんだ・・・良い友達だね。」
正直、僕の知ってる情報だけで良い友達かどうかの判定は難しいが、佐伯さんは何にも知らないだろうし・・・。
あの二人が純粋に友人の恋の手助けをしたのか、好きな少女漫画に影響されていたのかは分からない。
まぁ、佐伯さんと両思いになった今、それはもういい。
あの二人が強引にお膳立てしてくれなければ、僕は告白しようなんて思わなかった。
「今度、四人で遊びに行こうって言ってたよ。」
それは、もう少し待ってほしい・・・。
なんか、怖い・・・。
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