ラブラブ・コロン

れなれな

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すきっていいたい!

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 あさのどうろは、しょうがくせいたちが、いっぱいとおります。

 みんな、がっこうというところに、いくのです。

 そのひは、ランドセルをせおったおとこのこが、なんにんかの、おんなのこにとりまかれて、とうこうしていました。

「ユウミってかわいいよねー」
「うん、ユウミってやさしいしー」
「ユウミって、だんしにもてるんだってー」

 いっけん、なんてことのない、うわさばなし……にきこえますが、おとこのこはふきげんそう。

 ちゃいろのろうけんに、またがったコロンが、ふとみると、ちょうどそのおとこのこが、みんなのわのなかから、とびだしてくるところでした。

「ばっかやろー。オレはうわさばなしなんか、ききたくないんだよー」
 
 かおをまっかにして、そうさけぶと、がっこうまで、まっしぐら。

 どうしたのでしょう。

 コロンがついていくと、げたばこがあるしょうこうぐちに、たどりつきました。

 おとこのこは、いきをきらせています。

 そこへ、またべつのおんなのこが、くつをげたばこにしまいながら、いいました。

「おはよう、トオヤくん、おうちをなんじにでてきたの? だいぶ、はやいね」

 おとこのこは、こころなしかぎくしゃくとして、もごもごくちごもりました。
 
 おんなのこはしかたなく、クラスへむかいました。

「きょうも、はなせなかった……」

 つぶやくトオヤのうしろから、またおんなのこたちが、あつまってきました。

「トオヤくん、またミアキのことかまってんの?」
「……お、おう」
「あんなの、かおだけじゃん」
「そんなこと……」
「それより、あたしらとメールしない? たのしいよ」
「オレ、スマホもってないから」
「えー、トオヤくんちってびんぼうなのー?」
「うるさいな」

 トオヤは、こころをとざしてしまいました。

 そこへ、ロンロンがやってきて、コロンのほうをみました。

「こんかいは、たすけてあげなくて、いいのか?」

 コロンは、いいました。

『ちょっとトオヤのきもちが、かたくななかんじでしゅ。すこしようすをみるでしゅ』

 ロンロンは、トオヤのきょうしつのまどのしたに、ぺたりとはらをつけました。

 すると……。

「トオヤくん、あのね……」

 きんきんした、おんなのこのこえが、きこえます。

「つきあってくれない? でかけるとか、ようじとかじゃなくて」

 トオヤの、かおをみたくて、ロンロンは、まどにまえあしをのせました。

 コロンも、きょうみはあるみたいです。

「おまえ、だれだっけ?」
「ユウミ」
「ユウミ? ああ、おなじクラスの! でもなんで」
「すきだから」

 そのときトオヤのまぶたのうらに、ミアキのかおが、まざまざとうかびました。

「ごめん、オレ、ミアキのことがすきなんだ」
「ミアキよりわたしのほうが、トオヤをすきだとおもうんだ」
「オレにとって、たいせつなのは、おまえのきもちじゃなくて、オレのきもち。わるいけど、つきあえない」
「ばかにしないでよ!」
「わるい!」

 トオヤは、きょうしつをでていきました。

『いいきなもんでしゅ。トオヤには、はらがたつでしゅ』

 ほっぺたを、プクリとふくらませるコロンに、ロンロンはいいました。

「トオヤはどうするんだろう」

 つぎのひ、トオヤは、ミアキのつくえに、てがみをいれておきました。

『ほうかご、だれもいないときに、きょうしつにきてください』

 そんな、ないようでした。

 てがみをみた、ミアキはほうかご、おそくまでのこって、トオヤをまちました。

「どうなるのかのう」
『し! ロンロンだまって』

 ミアキは、トオヤのきもちをきかされて、おどろきました。

「だって、トオヤっていつも、おんなのこたちにかこまれて、よりどりみどりでしょ? みんなトオヤのこと、すきだっておもっている」
「オレにだって、じぶんのきもちはうらぎれない。オレだってすきなこに、すきっていいたいんだ!」

 トオヤがいいきると、ミアキはうつむいて、はずかしそうにいいました。

「そう、だね。わたしも、トオヤのこと、しりたい。おともだちからはじめましょ?」

 トオヤのかおが、かがやきました。

 コロンには、でばんがありませんでしたが、愛のありかは、こころにチャージされました。

 よかったですね。


 ところが、つぎのにちようび。

 トオヤとミアキは、こっそりふたりででかけたところを、クラスメイトのじょしに、みつかってしまいました。

 じょしのなかには、ユウミもいます。

「なにあれ。トオヤはユウミのきもちを、しってるんだよね?」
「そうよそうよ、あたしたち、あんなにユウミのことおうえんしてたのに」
「トオヤって、しんじらんなーい」

 じょしたちは、くちぐちにいいます。

 ユウミはせをむけて、なにもいいませんでした。

『さあて、どうするでしゅかトオヤ』

「どうれ、ちょっといじわるでもしてみるかな」

 ロンロンはふたりに、おもしろはんぶんに、ほえかかりました。

「うわ、よせよ」
 
 トオヤは、いぬがきらいでした。

 かんぜんにこしがひけて、まえをむくことができません。

「こら! いたずらするなよー!」

 かぼそく、ひめいのようなこえに、クラスメイトのじょしたちが、あざわらいました。

 トオヤはきずついたかお。

 どうしよう、ユウミはおもいましたが、そのときです。

「やめなさい! いやがってるじゃないの」

 ちぢみあがっているトオヤを、ミアキがかばって、いいました。
 
 じぶんだって、こわくてかたをいからせるのが、せいいっぱいのはずなのに。

 ロンロンがうう、とうなります。

「あっちへいきなさい!」

 ミアキは、なきそうになりながらも、ひっしでロンロンを、おいはらおうとします。

「かなわないな。トオヤのことがだいすきっていってるめだ」
『そうとなったら、そく、たいさんでしゅ』

 ミアキが、トオヤをつよくはげまし、たちあがらせました。

 コロンたちはさっていき、まがりかどでふりかえります。

 クラスメイトたちは、いじわるく、にやにやとしていました。

 ユウミは、こうどなりました。

「トオヤくん、かっこわるい……!」

 クラスメイトたちは、わらってさっていきました。

「愛はときにかなしいのう」
『きずつくこともあるのでしゅ。でもロンロン、きょうはいけないこでしゅたね』
「なあに、いまごろトオヤとミアキちゃんは、なかよくやってるさ」
『もう』

 コロンはがんばったミアキに、愛のじゅもんをかけました。

 それは恋のエールです。
 

 そのころ、トオヤとミアキは……。

「だいじょうぶ? トオヤ」
「ああ……」

 こうえんのすいどうでぬらした、ハンカチをミアキがさしだしました。

「だいじょうぶじゃないよね。ごめんね、わたしがあのみちをいかなければ、あんなことにならなかったのに」
「いや……ううん、ぜんぜん、そうじゃないんだ。オレ、かっこわるくてごめん。ミアキのこと、だいすきなのに、よわくて、まもれなくて」
「そんなこと、いわないで」
「……こないだ、オレはユウミに、こくはくされたんだ。そのとき、すきなやつのこと、すきっていうのはたいへんなんだ、っておもいしらされてさ」
「それで、わたしにこくはくしてくれたの?」
「うん。オレ、まえからミアキのこといいなっておもってて」
「トオヤはかっこわるくなんてないよ。わたしのすきなトオヤだもん。かっこいいよ!」
「ミアキ! オレ……オレ……」
「だれにだって、にがてはあるもんね」
「ミアキ……すきだ! まえより、ずっとずっと……だいすきだ!」

 そうして、ふたりはベンチにすわって、ゆうひをみました。

 いつまでも……。

 それをみていたコロンが、トコトコとやってきて、ぺこりとあたまをさげました。

『ロンロンが、ふたりにかわいそうなことをしましゅた。ごめんなさい』

 おわびのことばを、のこして、またトコトコとさります……。

 そうして、コロンたちふたりは、そのまちをとおりすぎたのです。

『みなしゃん、たとえカッコわるいところをみても、なかよくね』

「だれにだって、ふとくいはあるんだからのう」

 
 つぎのひにはみんな、なにごともなかったかのように、とうこうしていましたが、トオヤとミアキのきずなは、ずっとふかくなっていました。

 コロンのエールが、きいたのでしょうか?

『そうだとうれしいでしゅ!』
「ん? コロン、ひとりごとか?」
『なんでもないのでしゅ』
「ときには、よりみちもたのしいのお」

 みんなニコニコ、げんきなこ!

 ふたりのどうちゅうは、つづきます。

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