異世界転生したオレは女体化しました

水無瀬雨音

文字の大きさ
3 / 115

魔女の呪いでした

しおりを挟む
 そのあとわらわらと家族や使用人が集まり、なんとかオレはアルバート本人であり、連れ込んだ女の子ではないことを説明した。
 もちろんすぐには信用してもらえなかったが、親父が可愛い女の子のいる飲み屋に行ったこと(おふくろに禁止されているが、たまたまオレが出歩いた先で出くわして金貨を握らされて口留めされた)、セシルの初恋が宿屋の息子だということなどなどオレ以外は知りえないことをいくつか言ってなんとか認めてもらえた。
 そのあと親父がおふくろに別室に引きずられていったり、赤面したセシルが部屋を飛び出していったりしたがそれは知らん。
 もちろん美少女がアルバート本人であると判明した後は大騒ぎになり、医者を呼ばれた。産まれる前からうちのかかりつけの医者だ。結構なじーちゃん先生だけど、診察の腕は確かだ。

 簡単に問診され口を開けたりした後、医者が「ううーん」と唸る。
 そりゃ性別が変わるなんて、そうそうないから唸りもするよな。
 現世に産まれて18年たつけど聞いたことねーもん。

「……確かに魔法で性別が変わってしまう、というのは聞いたことがあります」
「え?あるの?」
 だったらもとに戻す方法もあるってことか。
 隣で診察の様子を見ていたおふくろも、ほっとした顔をしている。
 オレはワクワクしながら医者の次の言葉を待った。まだ女の子とキャッキャウフフなことをするという、前世からの野望を果たしていないからな。
 だが医者の顔はなぜか渋いままで、重々しく次の言葉を発した。

「ですが、数百年は前のことでその魔法はほとんどすたれていますし、今では聞いたことがありません」
 すたれてるはずが、現にオレこんな状態になってるんですけど。
 疑問が顔に出ていたのか医者が続けて口を開く。
「アルバート様からはかすかに魔力を感じます。とても強い……四大魔女と同等、あるいは四大魔女の魔力。
 四大魔女ならば性別を変える魔法くらい容易でしょうね」
「四大魔女……?おとぎ話じゃないの?」
 四大魔女とは、歓喜の魔女、激高の魔女、悲哀の魔女、愉楽の魔女のことだ。人間でも魔力を持つ者は魔法を使えるが、四大魔女は人間の比ではない。気分次第で国を一つ滅ぼすことなど容易にできると言われている。
 人の感情を表す喜怒哀楽がその名前の由来だが、歓喜の魔女はいい魔女だとか激高の魔女が怒りっぽいだとかその性格を冠したわけではない。
 本当の名前は誰にも分からず、あだ名のような通り名である。人間ならばさほど関係がないが、妖魔や魔女レベルになると本当の名前というのを敵に知られるとなんだかやばいことになるらしい。もちろん幸いにして今まで会ったことがないので詳しくは知らないが。
 子供のころからよく聞かされているおとぎ話にたびたび登場しており、小さい頃はよく「早く寝ないと四大魔女が来るよ」「悪いことをすると四大魔女に連れていかれるよ」などと脅されたものだった。

「そうそう人間の前に姿を見せませんからね。昨日何か変わったことをしませんでした?もし四大魔女にあったとすれば生きているだけでかなりの幸運ですが」
「昨日?うーん」
 昨日もごく普通の一日だったけどな。
 朝食を食べたら二度寝して、昼食食べて散歩して……。
 あ、花屋のフレーベルが「深い森にある花は珍しいから高く売れるだろうなー。そしたら新しいドレスが買えるし助かるなー(チラッチラ)」と言ってきたので、町はずれにある深い森に行ったんだった。
 深い森は「魔物が出るから行くな」と小さい頃からよく言われていたのだ。小さい男の子なんかは度胸試しでこっそり行ったりしている。あとで大人たちにバレてこっぴどく叱られるまでがワンセットだが。
 オレはビビりだから入り口らへんでささっと花をつんで戻ったけど。
 フレーベル喜んでたなー。頼めばデートくらいしてくれそうだが、いかんせんこの体では無理だ。
 そういえば花を摘むとき赤い髪に赤い目をした女の子にものすごい凝視されたな。美人だったけど怖いくらいに迫力ある美人で、
「ちょっとだけもらうね!」
 と言いながら逃げるように森を後にしたんだった。
 森で人、さらに言えば女の子に会うのはものすごく珍しいのでよく覚えている。
 その話を医者にすると、世界中のありとあらゆる苦い薬草を煎じて煮詰めたものを飲んだような渋面になった。
 おふくろも「ばか息子……」と頭をかかえている。

「それが四大魔女ですね。どの魔女かは分かりませんが」
「え?四大魔女がいたとして今生きてたらかなりの年じゃないの?セシルくらいの子だったよ?」
「魔女は人間と年の取り方が違いますから。年齢や見た目も自由に変えられるでしょうし」
 そういうもんなのか。
 見た目変えられるってうらやましい。
 モテ放題じゃん。

「てかそれが四大魔女の一人だったとして、なんでオレ魔法かけられなきゃいけないの?花つんだだけだよ?」
「運悪く出くわしてしまったから、でしょう。
 四大魔女に出くわして生きている方が稀ですよ」
 「対処方を調べてみるが期待はしないでください」と言いおいて医者は帰ってしまった。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

処理中です...