ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に

犬上義彦

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 二人きりになって静かになったリビングで蒼也は翠と向かい合った。

「やっと二人になれたな」

「そんな、邪魔者みたいに言ったら申し訳ないですよ」

 カウンターの上には、悠輝が作った料理が置いてある。

「今日は何を作ったんですか?」

「フライパンで作る豆腐とコーンのふんわり揚げだってさ。めんつゆにつけて食べるんだってよ」

「へえ、おいしそうですね」

「せっかくだから、夕飯にしようか。あいつ、気をきかせたのか、米を炊いておいてくれたぞ」

「ちゃんとお礼を言いましたか」

「まあ、いちおう」

 ばつが悪そうに視線をそらす蒼也の脇腹をツンとつつくと、オウッと体をよじりながらカウンターの反対側に隠れる。

「分かったよ。後でちゃんとメッセージ入れておくよ」

 うんうん、とうなずきながら翠はエプロンをかぶった。

「じゃあ、お味噌汁を作りますね」

「俺は惣菜を温めておくよ」

「はい、お願いします」

 支度をしながら、翠は今朝のことを訪ねた。

「どうしてソファで寝てたんですか?」

「ミーティングが明け方近くまでかかってしまったからな。ベッドで熟睡してるところを邪魔しちゃ悪いと思ってさ」

「でも、蒼也さんが眠れないじゃないですか。窮屈そうでしたよ。」

「いや、そうでもないよ。これでいいんだ。ほら、いつもラグの上に座ってて、ソファを背もたれとしてしか使ってなかっただろ。よく悠輝に『ソファの本来の使い方知ってる?』ってからかわれてたけど、ちゃんとした使い道ができたってものさ」

 ――いやいや、ソファは座るためのもので、寝るためのものではないでしょうに。

「やっぱり、ちゃんとベッドで寝てくださいよ。なんだったら、私の方がソファで寝ますよ」

「いや、大丈夫だよ。昨夜はたまたまそうだっただけだ」

「なら、いいんですけど」

 激務なのは分かっている。

 だからこそ、体も頭もゆっくり休めてほしい。

 用意ができた食事をテーブルに並べてラグの上に腰掛ける。

「この体勢、結構落ち着きますよね」

「だろ」と、蒼也は嬉しそうだ。

「だけど、ソファで寝るのは禁止です」

「厳しいなあ。でも、そうやって気づかってくれるのはうれしいよ」

 悠輝のおかずも加えて和やかに夕食を終えたものの、その夜はやっぱり蒼也は、仕事があるからとリビングに残り、ベッドでは眠らなかった。

 風呂上がりに、買ってきた下着を着けていた翠は広すぎるベッドで、横向きになって眠りについた。

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