34 / 88
(4-2)
しおりを挟む
二人きりになって静かになったリビングで蒼也は翠と向かい合った。
「やっと二人になれたな」
「そんな、邪魔者みたいに言ったら申し訳ないですよ」
カウンターの上には、悠輝が作った料理が置いてある。
「今日は何を作ったんですか?」
「フライパンで作る豆腐とコーンのふんわり揚げだってさ。めんつゆにつけて食べるんだってよ」
「へえ、おいしそうですね」
「せっかくだから、夕飯にしようか。あいつ、気をきかせたのか、米を炊いておいてくれたぞ」
「ちゃんとお礼を言いましたか」
「まあ、いちおう」
ばつが悪そうに視線をそらす蒼也の脇腹をツンとつつくと、オウッと体をよじりながらカウンターの反対側に隠れる。
「分かったよ。後でちゃんとメッセージ入れておくよ」
うんうん、とうなずきながら翠はエプロンをかぶった。
「じゃあ、お味噌汁を作りますね」
「俺は惣菜を温めておくよ」
「はい、お願いします」
支度をしながら、翠は今朝のことを訪ねた。
「どうしてソファで寝てたんですか?」
「ミーティングが明け方近くまでかかってしまったからな。ベッドで熟睡してるところを邪魔しちゃ悪いと思ってさ」
「でも、蒼也さんが眠れないじゃないですか。窮屈そうでしたよ。」
「いや、そうでもないよ。これでいいんだ。ほら、いつもラグの上に座ってて、ソファを背もたれとしてしか使ってなかっただろ。よく悠輝に『ソファの本来の使い方知ってる?』ってからかわれてたけど、ちゃんとした使い道ができたってものさ」
――いやいや、ソファは座るためのもので、寝るためのものではないでしょうに。
「やっぱり、ちゃんとベッドで寝てくださいよ。なんだったら、私の方がソファで寝ますよ」
「いや、大丈夫だよ。昨夜はたまたまそうだっただけだ」
「なら、いいんですけど」
激務なのは分かっている。
だからこそ、体も頭もゆっくり休めてほしい。
用意ができた食事をテーブルに並べてラグの上に腰掛ける。
「この体勢、結構落ち着きますよね」
「だろ」と、蒼也は嬉しそうだ。
「だけど、ソファで寝るのは禁止です」
「厳しいなあ。でも、そうやって気づかってくれるのはうれしいよ」
悠輝のおかずも加えて和やかに夕食を終えたものの、その夜はやっぱり蒼也は、仕事があるからとリビングに残り、ベッドでは眠らなかった。
風呂上がりに、買ってきた下着を着けていた翠は広すぎるベッドで、横向きになって眠りについた。
「やっと二人になれたな」
「そんな、邪魔者みたいに言ったら申し訳ないですよ」
カウンターの上には、悠輝が作った料理が置いてある。
「今日は何を作ったんですか?」
「フライパンで作る豆腐とコーンのふんわり揚げだってさ。めんつゆにつけて食べるんだってよ」
「へえ、おいしそうですね」
「せっかくだから、夕飯にしようか。あいつ、気をきかせたのか、米を炊いておいてくれたぞ」
「ちゃんとお礼を言いましたか」
「まあ、いちおう」
ばつが悪そうに視線をそらす蒼也の脇腹をツンとつつくと、オウッと体をよじりながらカウンターの反対側に隠れる。
「分かったよ。後でちゃんとメッセージ入れておくよ」
うんうん、とうなずきながら翠はエプロンをかぶった。
「じゃあ、お味噌汁を作りますね」
「俺は惣菜を温めておくよ」
「はい、お願いします」
支度をしながら、翠は今朝のことを訪ねた。
「どうしてソファで寝てたんですか?」
「ミーティングが明け方近くまでかかってしまったからな。ベッドで熟睡してるところを邪魔しちゃ悪いと思ってさ」
「でも、蒼也さんが眠れないじゃないですか。窮屈そうでしたよ。」
「いや、そうでもないよ。これでいいんだ。ほら、いつもラグの上に座ってて、ソファを背もたれとしてしか使ってなかっただろ。よく悠輝に『ソファの本来の使い方知ってる?』ってからかわれてたけど、ちゃんとした使い道ができたってものさ」
――いやいや、ソファは座るためのもので、寝るためのものではないでしょうに。
「やっぱり、ちゃんとベッドで寝てくださいよ。なんだったら、私の方がソファで寝ますよ」
「いや、大丈夫だよ。昨夜はたまたまそうだっただけだ」
「なら、いいんですけど」
激務なのは分かっている。
だからこそ、体も頭もゆっくり休めてほしい。
用意ができた食事をテーブルに並べてラグの上に腰掛ける。
「この体勢、結構落ち着きますよね」
「だろ」と、蒼也は嬉しそうだ。
「だけど、ソファで寝るのは禁止です」
「厳しいなあ。でも、そうやって気づかってくれるのはうれしいよ」
悠輝のおかずも加えて和やかに夕食を終えたものの、その夜はやっぱり蒼也は、仕事があるからとリビングに残り、ベッドでは眠らなかった。
風呂上がりに、買ってきた下着を着けていた翠は広すぎるベッドで、横向きになって眠りについた。
10
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
愛してやまないこの想いを
さとう涼
恋愛
ある日、恋人でない男性から結婚を申し込まれてしまった。
「覚悟して。断られても何度でもプロポーズするよ」
その日から、わたしの毎日は甘くとろけていく。
ライティングデザイン会社勤務の平凡なOLと建設会社勤務のやり手の設計課長のあまあまなストーリーです。
再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです
星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。
2024年4月21日 公開
2024年4月21日 完結
☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。
フローライト
藤谷 郁
恋愛
彩子(さいこ)は恋愛経験のない24歳。
ある日、友人の婚約話をきっかけに自分の未来を考えるようになる。
結婚するのか、それとも独身で過ごすのか?
「……そもそも私に、恋愛なんてできるのかな」
そんな時、伯母が見合い話を持ってきた。
写真を見れば、スーツを着た青年が、穏やかに微笑んでいる。
「趣味はこうぶつ?」
釣書を見ながら迷う彩子だが、不思議と、その青年には会いたいと思うのだった…
※他サイトにも掲載
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
先輩、お久しぶりです
吉生伊織
恋愛
若宮千春 大手不動産会社
秘書課
×
藤井昂良 大手不動産会社
経営企画本部
『陵介とデキてたんなら俺も邪魔してたよな。
もうこれからは誘わないし、誘ってこないでくれ』
大学生の時に起きたちょっとした誤解で、先輩への片想いはあっけなく終わってしまった。
誤解を解きたくて探し回っていたが見つけられず、そのまま音信不通に。
もう会うことは叶わないと思っていた数年後、社会人になってから偶然再会。
――それも同じ会社で働いていた!?
音信不通になるほど嫌われていたはずなのに、徐々に距離が縮む二人。
打ち解けあっていくうちに、先輩は徐々に甘くなっていき……
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
芙月みひろ
恋愛
保険会社の事務職として勤務する
早瀬佳奈26才。
友達に頼み込まれて行った飲み会で
腹立たしいほど無愛想な高原宗輔30才と出会う。
あまりの不愉快さに
二度と会いたくないと思っていたにも関わらず
再び仕事で顔を合わせることになる。
上司のパワハラめいた嫌がらせに悩まされていた中
ふと見せる彼の優しい一面に触れて
佳奈は次第に高原に心を傾け出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる