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生い立ち
しおりを挟む私の名前は桃原 姫。
花の女子高生、ぴちぴちの16歳だ。
中学までは実家暮らしだったから近くの学校に通っていたけど、今年からは隣県の稲荷野高校に通うことになった。
そうなると実家から通うのは大変だから、学校の寮で生活することになる。
じゃあ、そもそも何故地元から離れた高校を選んだのか?
それにはちゃんと訳がある。
私は小さい頃からこの名前の所為で揶揄われて来た。
『姫って名前お前には似合わない』
『姫なんて名前ならもっとお淑やかにしろ』
『姫なのに可愛くない』
…そんな心無い事を言われ続けてきた。
その言葉が、私をどれ程傷つけていたか、辛い思いをしてきたか…。
それでも私は仕方がないのかもしれないとずっと耐えてきた。
そうやって中学まで過ごしてきたけど…
今年からは恋多き花の女子高生なんだ。
私だって女の子。例えガサツと言われようと、男女と言われようと、恋っていうのをしてみたいし、憧れてもいた。
そんな夢見る高校生活を、あんな奴らと過ごさなきゃならないなんて、絶対にいや!もったいない!
だから、私は地元から離れたこの高校を選んだの。
ちなみにこの「姫」って名前はお母さんが付けてくれたみたいなんだけど…
『え、名前?
そんなの可愛いからに決まってるじゃな~い。
かっこいい男の子に『姫。』(←低音ボイス)って呼んでもらえるのよ~!羨ましいわぁ~。』
って!!
「姫なんて名前、素直に受け入れられるかーい!!」
そもそもかっこいい男に出会えるかも分からないじゃん!?
モブ男に『姫。』って低音ボイスで呼ばれても嬉しくねーよ!
「っ!びっくりしたぁっ!どうしたの姫ちゃん!」
…いけないいけない。ちょっと興奮しちゃった。少しは女の子らしくしなくちゃ。
彼女は私の1番の友達、岸本 香奈。
小さい頃から親しくしていて、所謂幼馴染ってやつだ。
っていうか姫って名前で喜ぶ女の子なんて、相当自分に自信が無いと受け入れられないでしょ。そりゃ、誰もが羨むような絶世の美女なら文句は無いが。
…お母さんには悪いけど、私はこの名前が自分に似合っているなんて思っていなかった。
物語で読むような可愛くて可憐で、慎ましやかなお姫様だなんてお世辞にも言えないから。
でも、それを他の奴らに言われるのは腹立つの!
せっかくお母さんが付けてくれた名前だもん。
この名前を好きになりたいし、名前で呼んでほしいと思える男の人に出会いたい。
だから、綺麗な女の子になるために自分磨きをしようと思った。そして誰にも文句は言わせない。
そう思い立ったのが13歳の時。それから家事だってするようになったし、お弁当も自分で作ってる。
ダイエットもして、今は160㎝にして42㌔よ。
そうやって必死に自分を磨いてきた。そのおかげで今現在、家事全般はこなせるし、見た目もだいぶ可愛く綺麗になったと思う。
でも、今でも1つだけ変われないものがあった。
…それは性格。これだけはどうにもならないの。自分でも自覚してるけど、男勝りで勝気。
周りは性格も可愛かったらなんて言うけど、
そこまで自分を否定したくなかった。
私は今までこんなに頑張って自分を磨いてきたんだから、
後はもう、この性格の私を好きになってくれる人を探したっていいじゃない?…なんて思ってる。
そしてイイ男を捕まえて、散々揶揄ってきた奴らの前でイチャイチャしてやるの!
美男美女の前ではモテないモブ野郎共なんて手も足も出ない事を教えてやる。
この私を笑ったこと、絶対に後悔させてやるんだから!
「もー、突然大きな声出すからびっくりしたよー。」
「ごめんごめん、ちょっと色々と回想してた。」
「ほらもう行かなきゃ!体育遅れちゃうよ!」
私はこれから素敵な出会いが待っている事を期待している。
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