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波乱の学園生活
受け入れられない現実
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※第三者視点です。
それを見た彼女は動揺を隠せなかった。
この世界に転生し、元の持ち主から体を奪ったと認識した彼女は元の彼女の記憶から極力疑われないように彼女を演じた。
この国の生活は衣類や住居はともかく食事は幸い耐えられないようなものではなかったためどうにか我慢できた。
それが彼女の知らぬところで改善された事もその4年後に転生してきた彼女は知りもしない。
もう少し彼女が過去の自分を受け入れていれば違和感を感じただろうが、彼女の意識はそれほどまでに転生してきた彼女に寄ってしまっていた。
何度も画面越しに見た学園の校門を自分の目で見た時は彼女も感動した。
しかしその後に見せられた光景にひどく混乱した。
(なんであんなにブランシュ様とあの女が親しそうにしてるの?)
彼女の知っている世界では彼らには明らかな距離があったはずだ。
(どうしてブランシュ様とジョーンヌ様とブル様が一緒にいるの?)
彼らは別々の攻略対象でそれぞれは疎んでいても親しくなどしているはずがなかった。
何かがおかしい。しかし彼女はそれを認める事が出来なかった。
彼女は心底信じていた。ゲームの通り行動すれば自分は意中の人と結ばれて幸せになれると。
だから入学式も彼女には受け入れがたいものだった。
何を話しているか彼女にはわからなかったが、彼らの浮かべているような表情は彼女の知るゲームには存在しなかった。
(違う、違う。そんなはずはない。この世界はルミファンの中の世界のはずだ。そして私は主人公のリゲルなんだ。)
自分に言い聞かせるように彼女は心の中でそう何度も呟く。
(そうじゃなきゃ駄目なのよ。そうじゃなきゃ意味がないのよ。
あんな辛い思いをして生まれ変わったのに幸せになれないじゃない!)
彼女にはその辛い思いの内容は思い出せないが辛かったということは覚えている。
転生のショックによって忘れたんだろうと思っている。どうせ辛い記憶なんだから忘れても困らない。そう思っていた。
自分の記憶を信じて記憶に従って中庭の噴水に向かう。そこでゲームのプロローグ同様にイベントが発生するはずと信じて。
しかし、彼女の想いは叶わなかった。いるはずの場所に彼はいなかった。
見渡すと噴水の前ではなく近くの木陰で噴水を見ているのを見つける。
(大丈夫。いるのならまだどうにかなるはず。)
そう自分に言い聞かせて彼女は真っ直ぐ彼に向かう。
「わぁ、すごく綺麗な噴水。」
ゲームで何度も聞いたセリフを呟きながら彼に向かって歩く。ぼんやり噴水を見つめる彼は自分に気付かずぶつかるはずだ。しかし、
「何か、私に御用かな?お嬢さん。」
彼は噴水なんて見ていなかった。近付いてくる自分を真っ直ぐ見据え、訝しげな表情を浮かべていた。
「あ・・・あの、すみません!つい噴水に見惚れてしまって・・・」
それでも信じて彼女はゲーム内の彼女を演じ続ける。
彼はそんな彼女を推し量るように見据えるだけだ。
「あら、またお会いしましたねブランシュ様。・・・あら?そちらは?」
そんな彼らに第三者が声をかける。
(やっぱり大丈夫だ。少し記憶と合わないけど流れは同じだ。きっと転生のショックでうろ覚えになっているんだ。)
そう自分に言い聞かせて彼女は次の展開を期待する。2人には壁があって彼女に謂れのない厳しい言葉を言った後、彼が彼女を優しくフォローしてくれる。
しかし、
「なんでも噴水に見惚れたらしいよ。木陰で休んでいた私にそれを伝えに来てくださった。」
彼女がきつい言葉を浴びせる前に彼がこちらに興味がないと言った様子で彼女にそう説明した。
それに対して彼女はリゲルの出立ちを眺めて小さくため息をつく。
「平民の方かしら?ご存知かもしれませんがそちらの方はこの国の王太子です。
王族や貴族の子弟は既に婚約者のいる方も多くいらっしゃるわ。それに例え学園内といえど女性から男性へ無闇に声をおかけするものではありませんよ?」
諭すようなこちらを心配するような彼女の言葉はリゲルの知るものと同内容だが全く違っていた。
しかしそれを認めたくない彼女はそんな目の前の公爵令嬢に激しく苛立ちを覚える。
「何よ、婚約者に相手にされていない悪役令嬢のくせに。」
思わず心の声が口から漏れた事に彼女は気づいていない。
しかし直後に彼が起こした行動に愕然とする。
目の前で自分の婚約者の腰を抱き寄せ、抗議する彼女を無視しながら身を寄せさせこちらを見据える。
「きつい言い方になって申し訳ない。だが彼女の言うことは間違っていないよ。これは君のためでもある。
学園内では身分差はないと言っても婚約者などは学園の外に関わる話だ。特に貴族や王族は家と家を繋ぐ手段でもある。
まぁ私の想いはそんなこととは関係なく彼女に向いているんだが。」
その拒絶と牽制の含まれた言葉と態度に彼女は何も言えなかった。
「もう!お戯れはその辺にしてください!」
顔を真っ赤にして怒る彼女に微笑みながら謝る彼の姿はリゲルの知っている孤独の王子とはまるで違っていた。
(ありえない。ありえない。私は間違ってなかったはず。そうよ、ルートが違うのよ・・・)
現実を受け入れられない彼女はぶつぶつと呟きながらその場を後にした。
それを見た彼女は動揺を隠せなかった。
この世界に転生し、元の持ち主から体を奪ったと認識した彼女は元の彼女の記憶から極力疑われないように彼女を演じた。
この国の生活は衣類や住居はともかく食事は幸い耐えられないようなものではなかったためどうにか我慢できた。
それが彼女の知らぬところで改善された事もその4年後に転生してきた彼女は知りもしない。
もう少し彼女が過去の自分を受け入れていれば違和感を感じただろうが、彼女の意識はそれほどまでに転生してきた彼女に寄ってしまっていた。
何度も画面越しに見た学園の校門を自分の目で見た時は彼女も感動した。
しかしその後に見せられた光景にひどく混乱した。
(なんであんなにブランシュ様とあの女が親しそうにしてるの?)
彼女の知っている世界では彼らには明らかな距離があったはずだ。
(どうしてブランシュ様とジョーンヌ様とブル様が一緒にいるの?)
彼らは別々の攻略対象でそれぞれは疎んでいても親しくなどしているはずがなかった。
何かがおかしい。しかし彼女はそれを認める事が出来なかった。
彼女は心底信じていた。ゲームの通り行動すれば自分は意中の人と結ばれて幸せになれると。
だから入学式も彼女には受け入れがたいものだった。
何を話しているか彼女にはわからなかったが、彼らの浮かべているような表情は彼女の知るゲームには存在しなかった。
(違う、違う。そんなはずはない。この世界はルミファンの中の世界のはずだ。そして私は主人公のリゲルなんだ。)
自分に言い聞かせるように彼女は心の中でそう何度も呟く。
(そうじゃなきゃ駄目なのよ。そうじゃなきゃ意味がないのよ。
あんな辛い思いをして生まれ変わったのに幸せになれないじゃない!)
彼女にはその辛い思いの内容は思い出せないが辛かったということは覚えている。
転生のショックによって忘れたんだろうと思っている。どうせ辛い記憶なんだから忘れても困らない。そう思っていた。
自分の記憶を信じて記憶に従って中庭の噴水に向かう。そこでゲームのプロローグ同様にイベントが発生するはずと信じて。
しかし、彼女の想いは叶わなかった。いるはずの場所に彼はいなかった。
見渡すと噴水の前ではなく近くの木陰で噴水を見ているのを見つける。
(大丈夫。いるのならまだどうにかなるはず。)
そう自分に言い聞かせて彼女は真っ直ぐ彼に向かう。
「わぁ、すごく綺麗な噴水。」
ゲームで何度も聞いたセリフを呟きながら彼に向かって歩く。ぼんやり噴水を見つめる彼は自分に気付かずぶつかるはずだ。しかし、
「何か、私に御用かな?お嬢さん。」
彼は噴水なんて見ていなかった。近付いてくる自分を真っ直ぐ見据え、訝しげな表情を浮かべていた。
「あ・・・あの、すみません!つい噴水に見惚れてしまって・・・」
それでも信じて彼女はゲーム内の彼女を演じ続ける。
彼はそんな彼女を推し量るように見据えるだけだ。
「あら、またお会いしましたねブランシュ様。・・・あら?そちらは?」
そんな彼らに第三者が声をかける。
(やっぱり大丈夫だ。少し記憶と合わないけど流れは同じだ。きっと転生のショックでうろ覚えになっているんだ。)
そう自分に言い聞かせて彼女は次の展開を期待する。2人には壁があって彼女に謂れのない厳しい言葉を言った後、彼が彼女を優しくフォローしてくれる。
しかし、
「なんでも噴水に見惚れたらしいよ。木陰で休んでいた私にそれを伝えに来てくださった。」
彼女がきつい言葉を浴びせる前に彼がこちらに興味がないと言った様子で彼女にそう説明した。
それに対して彼女はリゲルの出立ちを眺めて小さくため息をつく。
「平民の方かしら?ご存知かもしれませんがそちらの方はこの国の王太子です。
王族や貴族の子弟は既に婚約者のいる方も多くいらっしゃるわ。それに例え学園内といえど女性から男性へ無闇に声をおかけするものではありませんよ?」
諭すようなこちらを心配するような彼女の言葉はリゲルの知るものと同内容だが全く違っていた。
しかしそれを認めたくない彼女はそんな目の前の公爵令嬢に激しく苛立ちを覚える。
「何よ、婚約者に相手にされていない悪役令嬢のくせに。」
思わず心の声が口から漏れた事に彼女は気づいていない。
しかし直後に彼が起こした行動に愕然とする。
目の前で自分の婚約者の腰を抱き寄せ、抗議する彼女を無視しながら身を寄せさせこちらを見据える。
「きつい言い方になって申し訳ない。だが彼女の言うことは間違っていないよ。これは君のためでもある。
学園内では身分差はないと言っても婚約者などは学園の外に関わる話だ。特に貴族や王族は家と家を繋ぐ手段でもある。
まぁ私の想いはそんなこととは関係なく彼女に向いているんだが。」
その拒絶と牽制の含まれた言葉と態度に彼女は何も言えなかった。
「もう!お戯れはその辺にしてください!」
顔を真っ赤にして怒る彼女に微笑みながら謝る彼の姿はリゲルの知っている孤独の王子とはまるで違っていた。
(ありえない。ありえない。私は間違ってなかったはず。そうよ、ルートが違うのよ・・・)
現実を受け入れられない彼女はぶつぶつと呟きながらその場を後にした。
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