誓い

咲樹

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私はある噂を聞いた。
それは信じていいのかわからない内容だった。その内容とは……
「5年くらい前から桜の下に男の子がほぼ同じ時間に来て、1時間もしたら帰っていく」
というものだった。初めて聞いた時は耳を疑った。笑いもした。
でも、おしえてくれた悠は少し怒り気味で
「確認してみな!」
と言って、私を桜の所へと向かわせた。
桜の木は歩いて5分くらいした所にひっそりと息を潜めて佇んでいた。
しかし、そこには誰もいなかった。
「やっぱり噂だったのだ」と思い、帰ろうとした時……
強い風が吹いた。堪らず目を閉じて風が収まるのを待った。風はすぐに止まり、
私は目を開けた。
するとそこには、懐かしい「君」が私に背を向けてたっていた。ゆっくりと近づいた。「君」は私に気付かず、1人で寂しそうに歌っていた。まるで、「誰かに自分のことを伝えるかのように」……。
そして、あと一歩のところで誰かが来たことに気がついたようだった。俯いて去ろうとする「君に」、
「ごめんね。あなたのことを考…か…んがえないよう…にしてたの……。」
笑い飛ばすように言おうとしたが、それより先り涙が出てしまった。「君」はギョッとした。けど、直ぐに私に笑いかけて、
「そうだったんだ。でも、気になったから来てくれたんでしょ?まぁ、悠さんあたりが知って急かされてきたんだろうけどね」
そんなことを言われた私は「ドキッ」として涙が止まった。
「でも、いつか来てくれるって信じてた……。」
そこに私は、
「もし……もしだよ。来なかったら、どうしてたの?」
「君」は微笑みながら、
「信じてたから。」
の一言しか言わなかった。しかし、そこには嘘偽りのない自信に満ちた表情しかなかった。そして、「君」は
「一緒に帰ろう?あの頃みたいに。」
と手を出し、
「姉ちゃん、僕の名前を読んで?ね?
それでまた、家族だった頃みたいに色んなところに行こ?」
私は涙が出そうになったが、涙を拭いて、
「陽介(ようすけ)……、帰ろっか!」
と笑顔で頷いた。
私は君に差し出された手をもう二度と離さないようにと心の中で誓い、前を向いて歩き出した。過去を振り切るように……。

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