上 下
4 / 5
ベジ大陸はベジタブルが由来らしい

[控え室]盲目天使と悪魔

しおりを挟む
撮影が終わって、白杖をつきながら、控え室に戻る。

盲目天使の役だったけど、実際の私は、まだ視力が失われていない。

子どもの頃から目が悪かった。

見えない。見えにくい。見えづらい。

私にはそれが普通だった。

だから、他の人がもっと色鮮やかな世界を見ているなんて知らなかった。

初めて眼鏡をかけた時、目に飛び込んでくる情報量の多さに、思わず仰け反ってしまった。

眼鏡を作った時には、かなり視力が低下していて。分厚いレンズが重くて、かけたくなかった。

私の視力は下り坂だ。

気が付いた時には、緑内障だった。

治らない。進行を遅らせることしか出来ない。私はまだ10代なのに。

きっと、いつか視えなくなる。

女優を辞める話しもされた。

なんで?

私のことを私以外の人が決めようとしている。

許せない。たとえ親であっても。

演じる事を諦められない。諦めたくない!弱視を理由にやりたい事を我慢するなんてイヤ!

理解してくれる人なんていらない!



私は家を飛び出して、演技を続けている。

理解者なんて、いらないと思っていたのに。

ローズさんに出逢ったの。

ローズさんは、今回悪魔ピラズィ役として一緒になった人。彼女はMtoF。

優しくて、芯がある強い人。

視力が失われても、演技の仕事がしたい気持ちを受け入れてくれた。

先の未来が視えなくて不安だった。

理解してくれる人がいる。

これだけで安心する。胸の辺りが暖かくなる。

良かった。機会があれば、また共演したいな。











***


[控え室]に出てくる人たちは、全然作者の言う事を聞いてくれません。(°▽°)
全員、勝手に動く…(~_~;)
しおりを挟む

処理中です...