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前編
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「ユウ、君との婚約を白紙にしてほしい。」
「はあ…?」
私は、ユウ=シューウ。ハニーピンクの髪に青い瞳の侯爵令嬢ですわ。
今日は婚約者であるトウガ王子との定期交流ですの。
いつものようにお茶の席について、まさか、開口一番に婚約を白紙にしてほしいなどと、言われるとは思いませんでした。
私の婚約者は、我がナスカ国の王子であるトウガ=ラッシー殿下です。赤い髪が特徴的ですの。
私と王子殿下の婚約は、身分と年齢が釣り合い、それでいて、血が近すぎず、丁度良いと結ばれたものです。政略的な意味はそれ程ありません。
私が婚約者となった理由は、私とトウガ王子が同じ歳で幼馴染だからでしょう。そうでなければ、婚約者に選ばれてませんわ。王子の婚約者に相応しいご令嬢は他にもいらっしゃいますもの。
「トウガ様、婚約を白紙にしたいと聞こえましたが、お間違いないでしょうか」
私は優雅に微笑みます。
「あ、ああ。…好きな人ができたんだ、それで…婚約を白紙にしたい」
トウガ王子はこちらを伺うようにおっしゃいます。
なるほど、好きな人の為ですか。もしかして、最近よく一緒にいるアイナ=ド=ナーイさんのことかしら。
トウガ王子に訊ねると、そうだと頷きました。アイナさんは、よくある茶髪に茶瞳ですが、可憐な容姿に蠱惑的な身体の持ち主です。そこが魅力的だそうです。
出会いは学園で、平民の特待生で学費が免除されるくらい優秀だとか。話題も豊富で話していて飽きないそうです。
アイナさんと結ばれる事が出来るか分かりませんが、婚約白紙に了承しました。拒否して、最近流行りの小説のようにパーティで婚約破棄を宣言されては困りますもの。
馬車での帰り道、私はトウガ王子の事を思い浮かべました。思い返せば、手紙も贈り物もお茶会の話題さえも無難なものばかり。それも必要最低限で、愛など芽生えませんでした。見え透いた義務としての気持ちに、情も湧いてきません。
私は帰宅後すぐに、父である侯爵に、トウガ王子から婚約の白紙を要求された事、それを了承した事を報告いたしました。
「はあ…?」
私は、ユウ=シューウ。ハニーピンクの髪に青い瞳の侯爵令嬢ですわ。
今日は婚約者であるトウガ王子との定期交流ですの。
いつものようにお茶の席について、まさか、開口一番に婚約を白紙にしてほしいなどと、言われるとは思いませんでした。
私の婚約者は、我がナスカ国の王子であるトウガ=ラッシー殿下です。赤い髪が特徴的ですの。
私と王子殿下の婚約は、身分と年齢が釣り合い、それでいて、血が近すぎず、丁度良いと結ばれたものです。政略的な意味はそれ程ありません。
私が婚約者となった理由は、私とトウガ王子が同じ歳で幼馴染だからでしょう。そうでなければ、婚約者に選ばれてませんわ。王子の婚約者に相応しいご令嬢は他にもいらっしゃいますもの。
「トウガ様、婚約を白紙にしたいと聞こえましたが、お間違いないでしょうか」
私は優雅に微笑みます。
「あ、ああ。…好きな人ができたんだ、それで…婚約を白紙にしたい」
トウガ王子はこちらを伺うようにおっしゃいます。
なるほど、好きな人の為ですか。もしかして、最近よく一緒にいるアイナ=ド=ナーイさんのことかしら。
トウガ王子に訊ねると、そうだと頷きました。アイナさんは、よくある茶髪に茶瞳ですが、可憐な容姿に蠱惑的な身体の持ち主です。そこが魅力的だそうです。
出会いは学園で、平民の特待生で学費が免除されるくらい優秀だとか。話題も豊富で話していて飽きないそうです。
アイナさんと結ばれる事が出来るか分かりませんが、婚約白紙に了承しました。拒否して、最近流行りの小説のようにパーティで婚約破棄を宣言されては困りますもの。
馬車での帰り道、私はトウガ王子の事を思い浮かべました。思い返せば、手紙も贈り物もお茶会の話題さえも無難なものばかり。それも必要最低限で、愛など芽生えませんでした。見え透いた義務としての気持ちに、情も湧いてきません。
私は帰宅後すぐに、父である侯爵に、トウガ王子から婚約の白紙を要求された事、それを了承した事を報告いたしました。
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