21 / 182
葬儀の場で
しおりを挟む
「お屋形様――いえ、先代の葬儀は萬松寺で、三日後に行なわれます」
「……で、あるか」
那古野城。庭に面した小部屋で、外につながる障子を大きく開けさせて、月を見ていた信長。実父の葬儀の日取りと場所を報告した、背後に控えている内蔵助に彼は問う。
「お前は――いずれ竹千代の家臣として仕えることになる」
「はい。そのつもりでございます」
「だが、親父の死に目にお前を紹介した理由は、分かっているな」
内蔵助は少しだけ考えて「私がまだ、若様の家臣だからでしょうか?」と答える。すると信長は「違う」と短く否定した。
「おそらく松平家の譜代の者は、お前を織田家の間者と見なすだろう」
「……覚悟の上です」
「もしも松平家に馴染めなければ、織田家に戻ってこい」
内蔵助は驚きのあまり息を飲んだ。月を眺めている信長の顔は見えなかったが、声音からは優しさのようなものが感じられる。身内に優しい男ではあるが、離反行為と解釈されてもおかしくない松平家への出仕をここまで快く受け入れてくれるとは思わなかった。
「……若様はお優しい。しかし私にも意地というものがありますゆえ」
「お前といい、犬千代といい。俺の家臣は頑固者が多いな」
犬千代と同列にされたのは腹立たしいが、事実ではあるので甘んじて受け入れた。
信長は「一つ、お前の知恵を借りたい」とふいに信長は訊ねた。
「家督を継ぐにあたって、俺は家中の敵味方をはっきりとさせたい」
「それは――そうですね。敵を見定めることは重要ですから」
「何か良い方法はあるか?」
内蔵助は自身の前世の記憶を辿る。そして突然閃いた。その逸話を提案すれば、はっきりと敵味方が分かる。
しかし身内に甘い信長はその提案に乗るだろうか?
「若様。策を思いつきました」
「ほう。どんな策だ? 言ってみろ」
「しかしながら、先代に対して非常に無礼となりますが……」
恐る恐る言った内蔵助であったが、信長から返事はなかった。戸惑う彼は主君が何か言うのを待ったが、はたと気づいた。既に信長は『言ってみろ』と命じていた。つまり、これは信長なりの無言の催促もしくは叱責だったのだ。
「申し上げます。若様はまず萬松寺に――」
内蔵助の言葉を黙って聞いている信長。
煌々と光っていた月が次第に雲に隠れていく――
◆◇◆◇
「お、奥方様! 若様はいずこですか!」
「わ、分かりませぬ……朝起きたときには、もう……」
三日後、萬松寺。先代当主の信秀の葬儀で喪主であるのにも関わらず、信長は刻限近くとなってもその場に現れなかった。おろおろしている家老の平手政秀と正室の帰蝶。その様子を冷やかに見ている者は多かった。
「やはりうつけか……このような大事な日に遅れるとは……」
「織田弾正忠家の当主に相応しくない……」
「まったく、先代や平手殿はどんな教育をしたのだ」
参列者からはそんな声が広がる。このままでは家中の信頼を得られない。平手はますます困り果てた。
「あら。信長はまだ来ていないのですか?」
平手の顔色が青を通り越して真っ白になった。嫌味を最大限込めたその声の主は、信長の実母である土田御前だった。傍らには幼いながらも利発そうな顔をした美少年、信行がいた。
「織田家当主がこのようなことでは困りますね。そうでしょう? 信行」
「え、ええ。まあそうですね……」
「先代に対して敬意がありません。跡継ぎとして失格ですね。そうでしょう? 信行」
「そうとも言えますね……」
土田御前の一言を曖昧に返す幼い信行。母親の言っていることに辟易している様子だった。一方で否定しないのは、僅かながらもそう思っているふしを感じられた。
「すみませぬ! 私の責任です!」
平手は土田御前に対して平伏し謝った。土田御前は「あなたが謝ることではありません」とにこやかに言う。しかし顔は笑っていても、目は決して笑っていない。
「あなたも、信行が後継者に相応しいと内心思っているのでしょう。そう言葉にしてくだされば良いのですよ」
同じく平伏していた帰蝶は恐ろしいと感じていた。これだけの参列者が集まっている中、家老の平手を追い詰めることで、自分が愛している信行のほうが当主に相応しいと印象付けようとしている。
帰蝶は平手の返答次第では信長に誰も着いていかないと感じていた。もしそうなったら――
「――いえ。恐れながら、当主は若様、織田三郎信長様が相応しいと思います」
その返答に土田御前の顔が引きつった。
周りの参列者と織田家家臣はざわめく。
「私は、若様の器量は信行様よりも上だと確信しております」
顔をあげて、そう言った平手の顔は自信に満ちていた。帰蝶はほっと胸を撫で下ろした。
しかし、次第に土田御前の怒気が高まっているのに気づいたのは、息子の信行だけだった。思わず身構える――
「――ふざけるな」
「……は?」
「ふざけたこと言っているじゃあないわよ! 脳なしくそじじい!」
般若のように顔を怒らせて、嫌っている信長のように大声で、土田御前は――喚き散らした。
「信行が馬鹿息子より劣っている!? 戯けたこと言わないでよ! あんた馬鹿じゃない! どこからどう見たらそう思えるのよ! 尾張のうつけって呼ばれるほどの屑に織田家任せたら滅びるに決まっているじゃない! ねえ、なんで分からないのよ! だったら私に似て礼儀正しくて優しくて賢くて可愛い信行に任せたほうが全て上手くいくじゃない! どうして家老のくせにそんなことも分からないの!? あなた信長に毒されているの!? だったらこの場で死になさいよ! 自害しなさいよ! 無能の家老なんて要らないわ! さっさとその脇差で腹掻っ捌いて死になさい! それが嫌なら信行を当主にしなさい! 今すぐ誓いなさい! 私の大事で大切な可愛い信行を当主にすると、先代の墓前の前で誓いなさい! 早く、早く早く、早く早く早く! さっさとやれぇ!」
まるで暴風雨のような激しい罵倒に平手は圧倒されていた。帰蝶も義理の母の変貌に唖然としている。参列者と家臣もあまりのことに後ずさりした。傍らの信行は耳を塞いで目を瞑っている。
「はあ、はあ、はあ……」
「お、奥方様……」
殺意を込めた目で平手を睨む土田御前。まるで蛇に睨まれた蛙のような構図である。
そのとき――
「すまん。遅れた」
葬儀の場にそんな声が通った。
全員がそこに注目する。
「わ、若。その格好は……」
「…………」
平手は先ほどの土田御前の苛烈さとは違う衝撃を受けていた。
信長は袴も穿かず、上着ははだけて半裸、そして刀をわら縄で巻いて提げていた。
あの土田御前もその姿には何も言えず、口を開け閉めしていた。
「なんだ帰蝶。お前も来ていたのか。いや当然の話だな」
「お、お前さま……」
帰蝶は自分の夫の奇行には慣れたつもりだった。しかしここまでとは思っていなかった。
まさに空前絶後、前代未聞の姿だった。
「と、とりあえず、お焼香をお願いします……」
「で、あるか」
僧侶の一人が戸惑いながらそう促す。
信長は何の躊躇もなく、父の位牌の前に立つ。
「…………」
しばらく信長は信秀の位牌をじっと見つめた。参列者は悼む気持ちがあるのだと少し感心していた。しかし普段の信長を知っている平手と帰蝶はとても嫌な予感がした。
信長は内心、思っていた。
父の信秀は強く賢く逞しい男だった。死の間際、とんびが鷹を産んだと言っていたが、それは間違いだ。実際、尾張の虎と評されるほど、立派な人物だった。
しかしそんな男でも、尾張国の統一は成らなかった。何故か?
答えは簡単。大義名分を大事にしすぎたからだ。
守護の斯波家、守護代の織田大和守家や織田伊勢守家などの上役など、葬ろうとすればできたはずだ。
それができず、他国との争いで身体を傷つけ、心を病み、挙句の果てには若くして死んでしまった。
信長は抹香を片手一杯に掴んだ。
平手は止めようとするが、遅すぎた。
「この――大馬鹿野郎が!」
片手一杯の抹香を信長は偉大な父であり、大好きだった信秀の位牌に向かって、投げつけた――
「……で、あるか」
那古野城。庭に面した小部屋で、外につながる障子を大きく開けさせて、月を見ていた信長。実父の葬儀の日取りと場所を報告した、背後に控えている内蔵助に彼は問う。
「お前は――いずれ竹千代の家臣として仕えることになる」
「はい。そのつもりでございます」
「だが、親父の死に目にお前を紹介した理由は、分かっているな」
内蔵助は少しだけ考えて「私がまだ、若様の家臣だからでしょうか?」と答える。すると信長は「違う」と短く否定した。
「おそらく松平家の譜代の者は、お前を織田家の間者と見なすだろう」
「……覚悟の上です」
「もしも松平家に馴染めなければ、織田家に戻ってこい」
内蔵助は驚きのあまり息を飲んだ。月を眺めている信長の顔は見えなかったが、声音からは優しさのようなものが感じられる。身内に優しい男ではあるが、離反行為と解釈されてもおかしくない松平家への出仕をここまで快く受け入れてくれるとは思わなかった。
「……若様はお優しい。しかし私にも意地というものがありますゆえ」
「お前といい、犬千代といい。俺の家臣は頑固者が多いな」
犬千代と同列にされたのは腹立たしいが、事実ではあるので甘んじて受け入れた。
信長は「一つ、お前の知恵を借りたい」とふいに信長は訊ねた。
「家督を継ぐにあたって、俺は家中の敵味方をはっきりとさせたい」
「それは――そうですね。敵を見定めることは重要ですから」
「何か良い方法はあるか?」
内蔵助は自身の前世の記憶を辿る。そして突然閃いた。その逸話を提案すれば、はっきりと敵味方が分かる。
しかし身内に甘い信長はその提案に乗るだろうか?
「若様。策を思いつきました」
「ほう。どんな策だ? 言ってみろ」
「しかしながら、先代に対して非常に無礼となりますが……」
恐る恐る言った内蔵助であったが、信長から返事はなかった。戸惑う彼は主君が何か言うのを待ったが、はたと気づいた。既に信長は『言ってみろ』と命じていた。つまり、これは信長なりの無言の催促もしくは叱責だったのだ。
「申し上げます。若様はまず萬松寺に――」
内蔵助の言葉を黙って聞いている信長。
煌々と光っていた月が次第に雲に隠れていく――
◆◇◆◇
「お、奥方様! 若様はいずこですか!」
「わ、分かりませぬ……朝起きたときには、もう……」
三日後、萬松寺。先代当主の信秀の葬儀で喪主であるのにも関わらず、信長は刻限近くとなってもその場に現れなかった。おろおろしている家老の平手政秀と正室の帰蝶。その様子を冷やかに見ている者は多かった。
「やはりうつけか……このような大事な日に遅れるとは……」
「織田弾正忠家の当主に相応しくない……」
「まったく、先代や平手殿はどんな教育をしたのだ」
参列者からはそんな声が広がる。このままでは家中の信頼を得られない。平手はますます困り果てた。
「あら。信長はまだ来ていないのですか?」
平手の顔色が青を通り越して真っ白になった。嫌味を最大限込めたその声の主は、信長の実母である土田御前だった。傍らには幼いながらも利発そうな顔をした美少年、信行がいた。
「織田家当主がこのようなことでは困りますね。そうでしょう? 信行」
「え、ええ。まあそうですね……」
「先代に対して敬意がありません。跡継ぎとして失格ですね。そうでしょう? 信行」
「そうとも言えますね……」
土田御前の一言を曖昧に返す幼い信行。母親の言っていることに辟易している様子だった。一方で否定しないのは、僅かながらもそう思っているふしを感じられた。
「すみませぬ! 私の責任です!」
平手は土田御前に対して平伏し謝った。土田御前は「あなたが謝ることではありません」とにこやかに言う。しかし顔は笑っていても、目は決して笑っていない。
「あなたも、信行が後継者に相応しいと内心思っているのでしょう。そう言葉にしてくだされば良いのですよ」
同じく平伏していた帰蝶は恐ろしいと感じていた。これだけの参列者が集まっている中、家老の平手を追い詰めることで、自分が愛している信行のほうが当主に相応しいと印象付けようとしている。
帰蝶は平手の返答次第では信長に誰も着いていかないと感じていた。もしそうなったら――
「――いえ。恐れながら、当主は若様、織田三郎信長様が相応しいと思います」
その返答に土田御前の顔が引きつった。
周りの参列者と織田家家臣はざわめく。
「私は、若様の器量は信行様よりも上だと確信しております」
顔をあげて、そう言った平手の顔は自信に満ちていた。帰蝶はほっと胸を撫で下ろした。
しかし、次第に土田御前の怒気が高まっているのに気づいたのは、息子の信行だけだった。思わず身構える――
「――ふざけるな」
「……は?」
「ふざけたこと言っているじゃあないわよ! 脳なしくそじじい!」
般若のように顔を怒らせて、嫌っている信長のように大声で、土田御前は――喚き散らした。
「信行が馬鹿息子より劣っている!? 戯けたこと言わないでよ! あんた馬鹿じゃない! どこからどう見たらそう思えるのよ! 尾張のうつけって呼ばれるほどの屑に織田家任せたら滅びるに決まっているじゃない! ねえ、なんで分からないのよ! だったら私に似て礼儀正しくて優しくて賢くて可愛い信行に任せたほうが全て上手くいくじゃない! どうして家老のくせにそんなことも分からないの!? あなた信長に毒されているの!? だったらこの場で死になさいよ! 自害しなさいよ! 無能の家老なんて要らないわ! さっさとその脇差で腹掻っ捌いて死になさい! それが嫌なら信行を当主にしなさい! 今すぐ誓いなさい! 私の大事で大切な可愛い信行を当主にすると、先代の墓前の前で誓いなさい! 早く、早く早く、早く早く早く! さっさとやれぇ!」
まるで暴風雨のような激しい罵倒に平手は圧倒されていた。帰蝶も義理の母の変貌に唖然としている。参列者と家臣もあまりのことに後ずさりした。傍らの信行は耳を塞いで目を瞑っている。
「はあ、はあ、はあ……」
「お、奥方様……」
殺意を込めた目で平手を睨む土田御前。まるで蛇に睨まれた蛙のような構図である。
そのとき――
「すまん。遅れた」
葬儀の場にそんな声が通った。
全員がそこに注目する。
「わ、若。その格好は……」
「…………」
平手は先ほどの土田御前の苛烈さとは違う衝撃を受けていた。
信長は袴も穿かず、上着ははだけて半裸、そして刀をわら縄で巻いて提げていた。
あの土田御前もその姿には何も言えず、口を開け閉めしていた。
「なんだ帰蝶。お前も来ていたのか。いや当然の話だな」
「お、お前さま……」
帰蝶は自分の夫の奇行には慣れたつもりだった。しかしここまでとは思っていなかった。
まさに空前絶後、前代未聞の姿だった。
「と、とりあえず、お焼香をお願いします……」
「で、あるか」
僧侶の一人が戸惑いながらそう促す。
信長は何の躊躇もなく、父の位牌の前に立つ。
「…………」
しばらく信長は信秀の位牌をじっと見つめた。参列者は悼む気持ちがあるのだと少し感心していた。しかし普段の信長を知っている平手と帰蝶はとても嫌な予感がした。
信長は内心、思っていた。
父の信秀は強く賢く逞しい男だった。死の間際、とんびが鷹を産んだと言っていたが、それは間違いだ。実際、尾張の虎と評されるほど、立派な人物だった。
しかしそんな男でも、尾張国の統一は成らなかった。何故か?
答えは簡単。大義名分を大事にしすぎたからだ。
守護の斯波家、守護代の織田大和守家や織田伊勢守家などの上役など、葬ろうとすればできたはずだ。
それができず、他国との争いで身体を傷つけ、心を病み、挙句の果てには若くして死んでしまった。
信長は抹香を片手一杯に掴んだ。
平手は止めようとするが、遅すぎた。
「この――大馬鹿野郎が!」
片手一杯の抹香を信長は偉大な父であり、大好きだった信秀の位牌に向かって、投げつけた――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる