56 / 182
憤怒と尊敬と感謝
しおりを挟む
「母上には悪いと思いますが、私は当主の座を諦めるわけにはいきません」
清洲城に赴き、柴田や林と共に謀反の罪を不問とされた信行であったが、母親の土田御前と二人きりになると、叛意を打ち明けた。
土田御前が部屋の外の小姓を気にする素振りを見せると「下がらせましたよ」と信行は笑った。
「私はどうやら諦めきれないようですね。当主の座を」
「信行……私は、こたびの戦で、もう……」
信長には勝てないと土田御前は言いかけたが、信行の蒼白な顔に言葉を止めた。
「何を言っているんですか? 私が当主になることを望んだのは、母上でしょう?」
「そ、それは……」
信行は険しい顔になって、土田御前の両肩を握った。
「い、痛いです……」
「あなたが毎日毎日、当主になれと言い続けていたではありませんか。その教えのとおり、私は今まで頑張って来たじゃないですか!」
「の、信行……!」
「あなたがそう望んだから! 私はそうやって生きてきたじゃないですか!」
大声で怒鳴って、自分の母親を突き飛ばした信行。
二人の呼吸は荒く、互いに自分が興奮しているのは分かった。
「母上も母上ですよ。いくらでも兄上を殺す機会があったはずです」
「…………」
「ふん。可愛がっていないとはいえ、自分の息子だからですか?」
土田御前は愕然とした思いで信行を見つめた。
幼少期はあれだけ優しかった子が、こんな風になるなんて。
今まで抑えていたものが、一気に噴き出したようだった。
「あなたが罵倒してきた、うつけに頭を下げた気持ちが、分かりますか? あんなうつけに負けた屈辱が、分かりますか?」
「わ、分かり――」
「分からないでしょうが! 今まで生きてきて、こんなに怒りを感じたことはありませんよ!」
信行は壁の掛け軸を手に取って、びりびりに破く。
それに飽き足らず、刀を抜いてそこら中の物を壊した。
「や、やめなさい! 信行!」
「そのやめるというのは、謀叛のことですか?」
狂気に満ちた目で土田御前を見つめる信行。
ごくりと唾を飲んで、土田御前は「も、物を壊すことです……」と言う。
「……そうですよねえ。安心しました」
信行は笑顔になって――土田御前は戦慄した――刀を仕舞った。
それから「これからも協力してもらいますよ、母上」と言う。
「そもそも、早く生まれただけで当主になれただけのうつけに、尾張国を任せることはできませんしね」
「…………」
「私だって、尾張の虎の血を引いているのですから」
土田御前は極限状態に追い込まれていた。
信長に敵わないと分かった今、最愛の息子を死にに行かせることはしたくなかった。
どうすれば、信行は謀叛を諦めてくれるのだろうか――
そこまで考えたとき、土田御前は思い当たった。
自分の抱えている秘密を言えば、諦めてくれるだろうと考えた。
それは愚考であったが、追い詰められた彼女には選択肢などなかった。
「信行、よく聞いてください」
土田御前の真剣な表情に、信行の表情が固まる。
加えて、予感もした。
今まで信じていたものが崩れ去るような感覚。
「あなたには黙っていましたが、実は――」
◆◇◆◇
葬儀を終えた利家が清洲城に戻ると、柴田勝家が馬屋にいた。
髷は無く僧侶のようにつるんつるんな頭だった。
「柴田様! どうなさったんですか!?」
驚いた利家が柴田に話しかける。
柴田は最初、険しい顔をしていたが、声をかけたのが利家だと気づくと表情を和らげた。
「おお、利家か。信行様の件で謝罪しに来たのだ」
「信行様の……」
「いち早くお帰りになったが、わしは信長様と話を少ししていた」
利家は「事情は分かりましたが、その頭は?」と気になっていたことを訊ねる。
「これは反省の証として、頭を丸めただけだ。僧になったわけではない」
「なるほど……」
利家はほっとした気持ちになったが、それがどうしてだが分からない。
考えてみれば、実兄の仇でもあるのに――
「利家。お前こそ、顔どうしたんだ? 怪我をしているようだが」
柴田が触れてほしくないことを話題にした。
利家は「戦で負った傷です」と正直に答えた。
「……ああ、そうか。すまなかったな」
「いえ。傷はすぐに治りますから」
「――わしは信行様を当主にしたかった」
いきなり、自分の心情を吐露した柴田。
利家は「分かっております」と応じた。
彼もまた、信長を尾張一国の大名にするべく奮闘しているからだ。
「だが、こたびの戦で思い知らされた。信長様は器が違う」
「器、ですか?」
「謀叛をした者を許す度量の深さ。あれは信行様にはない」
利家は「では殿の家臣になりますか?」と期待を込めて言う。
柴田は「それはないな」と首を横に振った。
「信行様に生涯仕えると決めている。亡き先代にも誓った」
「頑固ですね。そんなに信行様が良いんですか?」
「良し悪しの問題ではない。信行さまは、わしの――」
言いかけた柴田だったが「いや、不遜な言い方だったな」と首を振った。
利家はきっと息子のように思っているんだろうなと考えた。
「というわけだ。これからも末森城で信行様に仕える。清洲城に来るのは時々になるな」
「そうですか。残念ですね」
「そんなに淋しがるな。たまに武芸の稽古をしてやる」
柴田の優しげな言葉に「本当ですか!?」と両手を挙げて喜びを示す利家。
柴田は利家の胸に拳を置いて「ああ、約束だ」と笑った。
「それでは、さらばだ」
馬にまたがった柴田は、そのまま清洲城を出て行った。
背中が小さくなって見えなくなると、利家は一礼してから、城内へ向かおうとする――
「どういう気持ちで、見送ったんだ?」
馬屋の物陰から出てきたのは、成政だった。
利家は「なんだ、見ていたのか」と特に何の反応も見せなかった。
「どういう気持ちって言われてもな。尊敬しかねえよ」
「お前の兄を殺した仇じゃないのか?」
さっき考えていたことを言い当てられた利家。
成政を静かに見つめ返すと「俺もよく分からねえ」と答えた。
「仇なのはそうなんだが、不思議と憎しみとか怒りは湧かねえ」
「兄と仲が悪かったわけではないのだろう?」
「むしろ仲は良かったな。俺は利玄兄が苦手だったけど、好きだった」
成政は「だったらどうしてだ?」とさらに訊ねる。
「恨んでいないのか?」
「……自分の気持ちが分からないときって、お前あるか?」
「たまにある」
「なんか知らねえけど、柴田様を恨もうとか、利玄兄の仇を討とうなんて、思わなかった」
成政には理解できなかった。
まあ利家自身理解できなかったのだ。
他人が理解できる問題ではないのかもしれない。
「それによ。利玄兄は復讐とか望んでいない気がするんだ」
「私はその方の人柄は知らん。だがそうなのか?」
「なんつーか、飄々としている性格で、すぐに熱くなる俺とは真逆だったんだよ」
「お前の兄とは思えないな」
「うるせえ。それにこれから味方になるんだろ? だったらそれでいいぜ」
成政は「味方になる、か」と呟いた。
未来知識を持つ彼にはこの後の展開は分かっていた。
凄惨な事件が起こることも知っていた。
「そんなことより、お前どうしてここにいたんだよ?」
「殿の命令で、お前の様子を見に行こうとしただけだ」
「なんだ。心配してくれていたのか」
「殿はお前を気に入っているからな」
成政の返しに「いや、違えよ」と利家は笑った。
「お前も心配してくれていたのか」
「……何言っているんだ?」
「殿の命令でも、他の奴に任せることもできるだろう?」
成政の顔が次第に赤くなる。
利家は「結構、良いところあるじゃねえか」と追撃した。
「――っ! 殿の命令だからだっ!」
成政は鼻息荒く、肩を怒らせて振り返り、利家を置いて城内へと向かう。
利家は「おいおい、恥ずかしがるなよ」とその後を追った。
「恥ずかしがってない!」
「あはは。そうだな……成政」
「今度はなんだ!」
「……ありがとうな」
利家のさりげない礼に、成政は一瞬、足を止めかけた。
しかし振り返ることなく「……うるさい」とだけ言った。
「別に心配などしていない。勘違いするな」
清洲城に赴き、柴田や林と共に謀反の罪を不問とされた信行であったが、母親の土田御前と二人きりになると、叛意を打ち明けた。
土田御前が部屋の外の小姓を気にする素振りを見せると「下がらせましたよ」と信行は笑った。
「私はどうやら諦めきれないようですね。当主の座を」
「信行……私は、こたびの戦で、もう……」
信長には勝てないと土田御前は言いかけたが、信行の蒼白な顔に言葉を止めた。
「何を言っているんですか? 私が当主になることを望んだのは、母上でしょう?」
「そ、それは……」
信行は険しい顔になって、土田御前の両肩を握った。
「い、痛いです……」
「あなたが毎日毎日、当主になれと言い続けていたではありませんか。その教えのとおり、私は今まで頑張って来たじゃないですか!」
「の、信行……!」
「あなたがそう望んだから! 私はそうやって生きてきたじゃないですか!」
大声で怒鳴って、自分の母親を突き飛ばした信行。
二人の呼吸は荒く、互いに自分が興奮しているのは分かった。
「母上も母上ですよ。いくらでも兄上を殺す機会があったはずです」
「…………」
「ふん。可愛がっていないとはいえ、自分の息子だからですか?」
土田御前は愕然とした思いで信行を見つめた。
幼少期はあれだけ優しかった子が、こんな風になるなんて。
今まで抑えていたものが、一気に噴き出したようだった。
「あなたが罵倒してきた、うつけに頭を下げた気持ちが、分かりますか? あんなうつけに負けた屈辱が、分かりますか?」
「わ、分かり――」
「分からないでしょうが! 今まで生きてきて、こんなに怒りを感じたことはありませんよ!」
信行は壁の掛け軸を手に取って、びりびりに破く。
それに飽き足らず、刀を抜いてそこら中の物を壊した。
「や、やめなさい! 信行!」
「そのやめるというのは、謀叛のことですか?」
狂気に満ちた目で土田御前を見つめる信行。
ごくりと唾を飲んで、土田御前は「も、物を壊すことです……」と言う。
「……そうですよねえ。安心しました」
信行は笑顔になって――土田御前は戦慄した――刀を仕舞った。
それから「これからも協力してもらいますよ、母上」と言う。
「そもそも、早く生まれただけで当主になれただけのうつけに、尾張国を任せることはできませんしね」
「…………」
「私だって、尾張の虎の血を引いているのですから」
土田御前は極限状態に追い込まれていた。
信長に敵わないと分かった今、最愛の息子を死にに行かせることはしたくなかった。
どうすれば、信行は謀叛を諦めてくれるのだろうか――
そこまで考えたとき、土田御前は思い当たった。
自分の抱えている秘密を言えば、諦めてくれるだろうと考えた。
それは愚考であったが、追い詰められた彼女には選択肢などなかった。
「信行、よく聞いてください」
土田御前の真剣な表情に、信行の表情が固まる。
加えて、予感もした。
今まで信じていたものが崩れ去るような感覚。
「あなたには黙っていましたが、実は――」
◆◇◆◇
葬儀を終えた利家が清洲城に戻ると、柴田勝家が馬屋にいた。
髷は無く僧侶のようにつるんつるんな頭だった。
「柴田様! どうなさったんですか!?」
驚いた利家が柴田に話しかける。
柴田は最初、険しい顔をしていたが、声をかけたのが利家だと気づくと表情を和らげた。
「おお、利家か。信行様の件で謝罪しに来たのだ」
「信行様の……」
「いち早くお帰りになったが、わしは信長様と話を少ししていた」
利家は「事情は分かりましたが、その頭は?」と気になっていたことを訊ねる。
「これは反省の証として、頭を丸めただけだ。僧になったわけではない」
「なるほど……」
利家はほっとした気持ちになったが、それがどうしてだが分からない。
考えてみれば、実兄の仇でもあるのに――
「利家。お前こそ、顔どうしたんだ? 怪我をしているようだが」
柴田が触れてほしくないことを話題にした。
利家は「戦で負った傷です」と正直に答えた。
「……ああ、そうか。すまなかったな」
「いえ。傷はすぐに治りますから」
「――わしは信行様を当主にしたかった」
いきなり、自分の心情を吐露した柴田。
利家は「分かっております」と応じた。
彼もまた、信長を尾張一国の大名にするべく奮闘しているからだ。
「だが、こたびの戦で思い知らされた。信長様は器が違う」
「器、ですか?」
「謀叛をした者を許す度量の深さ。あれは信行様にはない」
利家は「では殿の家臣になりますか?」と期待を込めて言う。
柴田は「それはないな」と首を横に振った。
「信行様に生涯仕えると決めている。亡き先代にも誓った」
「頑固ですね。そんなに信行様が良いんですか?」
「良し悪しの問題ではない。信行さまは、わしの――」
言いかけた柴田だったが「いや、不遜な言い方だったな」と首を振った。
利家はきっと息子のように思っているんだろうなと考えた。
「というわけだ。これからも末森城で信行様に仕える。清洲城に来るのは時々になるな」
「そうですか。残念ですね」
「そんなに淋しがるな。たまに武芸の稽古をしてやる」
柴田の優しげな言葉に「本当ですか!?」と両手を挙げて喜びを示す利家。
柴田は利家の胸に拳を置いて「ああ、約束だ」と笑った。
「それでは、さらばだ」
馬にまたがった柴田は、そのまま清洲城を出て行った。
背中が小さくなって見えなくなると、利家は一礼してから、城内へ向かおうとする――
「どういう気持ちで、見送ったんだ?」
馬屋の物陰から出てきたのは、成政だった。
利家は「なんだ、見ていたのか」と特に何の反応も見せなかった。
「どういう気持ちって言われてもな。尊敬しかねえよ」
「お前の兄を殺した仇じゃないのか?」
さっき考えていたことを言い当てられた利家。
成政を静かに見つめ返すと「俺もよく分からねえ」と答えた。
「仇なのはそうなんだが、不思議と憎しみとか怒りは湧かねえ」
「兄と仲が悪かったわけではないのだろう?」
「むしろ仲は良かったな。俺は利玄兄が苦手だったけど、好きだった」
成政は「だったらどうしてだ?」とさらに訊ねる。
「恨んでいないのか?」
「……自分の気持ちが分からないときって、お前あるか?」
「たまにある」
「なんか知らねえけど、柴田様を恨もうとか、利玄兄の仇を討とうなんて、思わなかった」
成政には理解できなかった。
まあ利家自身理解できなかったのだ。
他人が理解できる問題ではないのかもしれない。
「それによ。利玄兄は復讐とか望んでいない気がするんだ」
「私はその方の人柄は知らん。だがそうなのか?」
「なんつーか、飄々としている性格で、すぐに熱くなる俺とは真逆だったんだよ」
「お前の兄とは思えないな」
「うるせえ。それにこれから味方になるんだろ? だったらそれでいいぜ」
成政は「味方になる、か」と呟いた。
未来知識を持つ彼にはこの後の展開は分かっていた。
凄惨な事件が起こることも知っていた。
「そんなことより、お前どうしてここにいたんだよ?」
「殿の命令で、お前の様子を見に行こうとしただけだ」
「なんだ。心配してくれていたのか」
「殿はお前を気に入っているからな」
成政の返しに「いや、違えよ」と利家は笑った。
「お前も心配してくれていたのか」
「……何言っているんだ?」
「殿の命令でも、他の奴に任せることもできるだろう?」
成政の顔が次第に赤くなる。
利家は「結構、良いところあるじゃねえか」と追撃した。
「――っ! 殿の命令だからだっ!」
成政は鼻息荒く、肩を怒らせて振り返り、利家を置いて城内へと向かう。
利家は「おいおい、恥ずかしがるなよ」とその後を追った。
「恥ずかしがってない!」
「あはは。そうだな……成政」
「今度はなんだ!」
「……ありがとうな」
利家のさりげない礼に、成政は一瞬、足を止めかけた。
しかし振り返ることなく「……うるさい」とだけ言った。
「別に心配などしていない。勘違いするな」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる