15 / 32
「俺が聞きたいのは、そんな言葉じゃない!」
しおりを挟む
事故の記憶は残っていないが、直前の記憶は覚えている。
その日は、鷲尾とその妹で女子剣道部のゆかりと一緒に下校していた。
夕方なのにうだるような暑い日だった。
「お兄ちゃん。練習で疲れているのは分かるけど、早く帰ろうよ。お父さん、久しぶりに帰ってくるんだから」
兄によく似ている顔立ちのゆかりが、くたくたになっている鷲尾の腕を引っ張って、無理矢理急がせていた。
鷲尾は「分かってるって」と言いながらゆったりとした歩調を変えない。
俺は二人の父親が海外に単身赴任していて、約一年ぶりの再会だと知っていた。
「……あ、やべ。倉庫の鍵閉めるの忘れた」
鷲尾がばつの悪い顔をして、足を止めた。
ゆかりは「ええ? 先生に怒られちゃうよ!」と喚いた。
「学校に戻る。お前は先に帰ってくれ」
「お父さん、明日には帰っちゃうんだよ!」
「でも、閉めないと不味いだろ」
兄妹が言い合う中、俺が「じゃあ俺が閉めてくる」と提案した。
そう、提案したのは俺だった。
「そうか? 悪いな。後で埋め合わせするよ」
「なんか奢ってくれるのか? それでいいぜ」
鷲尾は「頼んだぜ」と託した。
ゆかりは「ありがとう」と礼を言った。
それは厚意からだった。
だから気に病む必要はないのに。
青信号で俺は横断歩道を渡った。
だけど、トラックが突っ込んできた。
おそらく避けることができなかったのだろう。
推測しかできないのは、直後の記憶がないから。
そしてあの日以来、俺は鷲尾と話していない――
◆◇◆◇
目の前の親友は一年ほど前とだいぶ変わっていた。
端整な顔立ちは変わらないが、身体が引き締まった印象を受ける。
頭は坊さんのようにつるつると剃っている。以前は短髪だったのに。
鷲尾は俺に久しぶりと言ったきり、何も話さなかった。
俺も返答した後、何も言えなかった。
「……おい、高橋。誰だよそいつ。知り合いみたいだが」
怪訝に思ったであろう飛田先輩が俺に訊ねる。
他の部員も俺の反応に戸惑っているらしい。
「……中学の同級生で、剣道部だった鷲尾です」
俺が鷲尾から目を切らずに紹介すると、金井がひどく驚いた声で「鷲尾ですか!?」と言った。
「全中で活躍した、あの鷲尾翔ですか!?」
「……強いのか? そいつは」
香田先輩の不思議そうな声に「そりゃ、強いですよ!」と金井がさらに説明しようとして――
「……やめてくれ。高橋の前で、そんなこと言わないでくれ」
まるで痛みを堪えているような、とても耐えられそうになさそうな、苦しみに満ちた声に、金井は口をつぐんだ。
鷲尾は今にも泣きそうで、その場から逃げ出したそうだった。
「俺は、そいつの前で……何も言われたくない」
「鷲尾……」
俺は何か声をかけようとして――何もかけられないことに気づいた。
お前のせいじゃないって言いたいけど、鷲尾にとって、そんな言葉は何の意味を持たない。
「三村先生。どうしてここに俺を連れてきたんですか?」
三村さんを責める口調で鷲尾は言った。
それだけは三村さんのせいだと言っているようだった。
「さっきも言いましたけど、悪趣味にも程があります」
「……入学してから、稽古に身が入ってないと思ってね」
三村さんはあくまでもクールに言った。
子供に責められても、何も感じないという態度だった。
「だから会わせたんだ。今でも剣道をしている、高橋くんにね」
「…………」
「彼に言いたいことがあるなら、今言いなさい」
三村さんは突き放した。
精神的に突き飛ばしたのだ。
鷲尾は下を向いて、何も言えずにいた。
俺もなんて言えばいいのか、分からなかった。
「……三村。もういいだろう。その子を連れて帰れ」
板崎さんが俺たちの様子を見かねて言った。
三村さんは「先生がおっしゃるなら、帰ります」とあっさり引き下がった。
まるで俺たちが話せないと分かっていたようだった。
「でも、これだけは言っておく。鷲尾くん、あなたは向き合わないといけない」
三村さんは教師だ。
だから生徒を導くのが仕事だ。
「あなたのため、そして高橋くんのためにもなるの」
「……三村先生の言っていることは分かります」
鷲尾は覚悟を決めたように、俺に言った。
「お前、そんな身体で剣道できるのかよ」
「……できていると思う」
「ふざけんな。左腕があったときのほうが強いだろう」
堰を切ったように鷲尾は俺に言う。
「どうして俺を責めない? どうして他の部員に理由を言わなかった?」
「…………」
「どうして――俺たちから離れたんだよ?」
それは――申し訳なかったからだ。
鷲尾は個人で全中に行けたけど、他のみんなは準決勝で敗れて、行けなかった。
もし俺が大会を欠場しなかったら――
もし俺が左腕を欠損しなかったら――
「なあ。答えてくれよ……」
鷲尾の目から涙が零れた。
俺は――
「……すまなかった」
謝ることしかできなかった。
「俺が聞きたいのは、そんな言葉じゃない!」
鷲尾の悲鳴のような怒りの声。
結局、俺は――変われなかった。
◆◇◆◇
「この前は大変だったねえ」
月曜日、放課後。
屋上で鈴木が俺のことを笑っていた。
あれから鷲尾は、何も言わずに帰ってしまった。
他の剣道部員は、何がなんだか分からないようだったけど、俺と鷲尾に何かしらの因縁があることは分かったらしい。
角谷先輩は俺に深く同情した。
飛田先輩は俺に説明を求めた。
香田先輩は興味なさそうだったし、金井はよく分かっていないようだった。
三村さんは帰り際、俺に言った。
「交流試合には鷲尾も出すよ。そしてあなたと戦わせる」
俺は「どうしてそこまで俺に――俺たちに構うんですか?」と質問した。
三村さんははにかんだ表情で言う。
「なんていうかな。見ていられないんだよ。若くて将来有望な子が、悩んでいる姿が」
「それは――おせっかいじゃないんですか?」
「迷惑だったかな? でも私は続けるよ、おせっかいを」
今思えばはぐらかされていたけど、そのときは余裕が無くて、気づけなかった。
「それでさ。高橋くんはどうするの?」
鈴木の言葉で現実に戻される。
目を背けたくなるような、現実に。
「高橋くん、戦うんでしょ」
「……そのつもりで稽古してきたけどな」
俺は鷲尾と戦うつもりで稽古に励んでいた。
でも実際会うと、ちっぽけな覚悟は消し飛んでしまった。
「はっきり言えば、戦いたくない」
「…………」
「逃げ出したい気持ちだ」
鈴木に本音を言うと「そんなの許されないって分かるよね」と笑われた。
「剣道部を引っ掻き回して試合に臨ませた。それなのに逃げるなんて。しかも鷲尾くんにしこりを残すような真似だもんね」
「……分かっているよ」
「分かっていない。だからそんなこと言えるんだよ」
いつになく厳しいことを鈴木は言う。
いや、俺が情けないだけか。
中学の剣道部のみんなから逃げて、今もまた逃げ出したなら。
俺は過去の反省から何も学んでいないことになる。
本当に――だせえ話だ。
「しょうがないなあ、高橋くんは」
鈴木は俺に近づいてきた。
その顔は笑っていた。
こんな状況で、笑っていた。
「今の高橋くん、格好悪いよ」
「分かっているよ」
「分かっているなら、無理矢理でも格好つけてよ」
鈴木は笑いながら言う。
俺は笑えない。
「虚勢でもいいから、格好良くならないと」
「どうすればいいのか、分からないんだよ」
俺は弱音を吐いた。
目の前の鈴木に向かって、弱い心を晒した。
「俺は戦えない。覚悟が無くなった、決心も鈍った。もうどうしていいのか、分からないんだよ」
屋上に薫風が漂った。
鈴木はふうっと溜息をついて。
「ねえ、高橋くん――」
「なんだよ?」
俺に――質問した。
「生きるってどういうことだろうね?」
その日は、鷲尾とその妹で女子剣道部のゆかりと一緒に下校していた。
夕方なのにうだるような暑い日だった。
「お兄ちゃん。練習で疲れているのは分かるけど、早く帰ろうよ。お父さん、久しぶりに帰ってくるんだから」
兄によく似ている顔立ちのゆかりが、くたくたになっている鷲尾の腕を引っ張って、無理矢理急がせていた。
鷲尾は「分かってるって」と言いながらゆったりとした歩調を変えない。
俺は二人の父親が海外に単身赴任していて、約一年ぶりの再会だと知っていた。
「……あ、やべ。倉庫の鍵閉めるの忘れた」
鷲尾がばつの悪い顔をして、足を止めた。
ゆかりは「ええ? 先生に怒られちゃうよ!」と喚いた。
「学校に戻る。お前は先に帰ってくれ」
「お父さん、明日には帰っちゃうんだよ!」
「でも、閉めないと不味いだろ」
兄妹が言い合う中、俺が「じゃあ俺が閉めてくる」と提案した。
そう、提案したのは俺だった。
「そうか? 悪いな。後で埋め合わせするよ」
「なんか奢ってくれるのか? それでいいぜ」
鷲尾は「頼んだぜ」と託した。
ゆかりは「ありがとう」と礼を言った。
それは厚意からだった。
だから気に病む必要はないのに。
青信号で俺は横断歩道を渡った。
だけど、トラックが突っ込んできた。
おそらく避けることができなかったのだろう。
推測しかできないのは、直後の記憶がないから。
そしてあの日以来、俺は鷲尾と話していない――
◆◇◆◇
目の前の親友は一年ほど前とだいぶ変わっていた。
端整な顔立ちは変わらないが、身体が引き締まった印象を受ける。
頭は坊さんのようにつるつると剃っている。以前は短髪だったのに。
鷲尾は俺に久しぶりと言ったきり、何も話さなかった。
俺も返答した後、何も言えなかった。
「……おい、高橋。誰だよそいつ。知り合いみたいだが」
怪訝に思ったであろう飛田先輩が俺に訊ねる。
他の部員も俺の反応に戸惑っているらしい。
「……中学の同級生で、剣道部だった鷲尾です」
俺が鷲尾から目を切らずに紹介すると、金井がひどく驚いた声で「鷲尾ですか!?」と言った。
「全中で活躍した、あの鷲尾翔ですか!?」
「……強いのか? そいつは」
香田先輩の不思議そうな声に「そりゃ、強いですよ!」と金井がさらに説明しようとして――
「……やめてくれ。高橋の前で、そんなこと言わないでくれ」
まるで痛みを堪えているような、とても耐えられそうになさそうな、苦しみに満ちた声に、金井は口をつぐんだ。
鷲尾は今にも泣きそうで、その場から逃げ出したそうだった。
「俺は、そいつの前で……何も言われたくない」
「鷲尾……」
俺は何か声をかけようとして――何もかけられないことに気づいた。
お前のせいじゃないって言いたいけど、鷲尾にとって、そんな言葉は何の意味を持たない。
「三村先生。どうしてここに俺を連れてきたんですか?」
三村さんを責める口調で鷲尾は言った。
それだけは三村さんのせいだと言っているようだった。
「さっきも言いましたけど、悪趣味にも程があります」
「……入学してから、稽古に身が入ってないと思ってね」
三村さんはあくまでもクールに言った。
子供に責められても、何も感じないという態度だった。
「だから会わせたんだ。今でも剣道をしている、高橋くんにね」
「…………」
「彼に言いたいことがあるなら、今言いなさい」
三村さんは突き放した。
精神的に突き飛ばしたのだ。
鷲尾は下を向いて、何も言えずにいた。
俺もなんて言えばいいのか、分からなかった。
「……三村。もういいだろう。その子を連れて帰れ」
板崎さんが俺たちの様子を見かねて言った。
三村さんは「先生がおっしゃるなら、帰ります」とあっさり引き下がった。
まるで俺たちが話せないと分かっていたようだった。
「でも、これだけは言っておく。鷲尾くん、あなたは向き合わないといけない」
三村さんは教師だ。
だから生徒を導くのが仕事だ。
「あなたのため、そして高橋くんのためにもなるの」
「……三村先生の言っていることは分かります」
鷲尾は覚悟を決めたように、俺に言った。
「お前、そんな身体で剣道できるのかよ」
「……できていると思う」
「ふざけんな。左腕があったときのほうが強いだろう」
堰を切ったように鷲尾は俺に言う。
「どうして俺を責めない? どうして他の部員に理由を言わなかった?」
「…………」
「どうして――俺たちから離れたんだよ?」
それは――申し訳なかったからだ。
鷲尾は個人で全中に行けたけど、他のみんなは準決勝で敗れて、行けなかった。
もし俺が大会を欠場しなかったら――
もし俺が左腕を欠損しなかったら――
「なあ。答えてくれよ……」
鷲尾の目から涙が零れた。
俺は――
「……すまなかった」
謝ることしかできなかった。
「俺が聞きたいのは、そんな言葉じゃない!」
鷲尾の悲鳴のような怒りの声。
結局、俺は――変われなかった。
◆◇◆◇
「この前は大変だったねえ」
月曜日、放課後。
屋上で鈴木が俺のことを笑っていた。
あれから鷲尾は、何も言わずに帰ってしまった。
他の剣道部員は、何がなんだか分からないようだったけど、俺と鷲尾に何かしらの因縁があることは分かったらしい。
角谷先輩は俺に深く同情した。
飛田先輩は俺に説明を求めた。
香田先輩は興味なさそうだったし、金井はよく分かっていないようだった。
三村さんは帰り際、俺に言った。
「交流試合には鷲尾も出すよ。そしてあなたと戦わせる」
俺は「どうしてそこまで俺に――俺たちに構うんですか?」と質問した。
三村さんははにかんだ表情で言う。
「なんていうかな。見ていられないんだよ。若くて将来有望な子が、悩んでいる姿が」
「それは――おせっかいじゃないんですか?」
「迷惑だったかな? でも私は続けるよ、おせっかいを」
今思えばはぐらかされていたけど、そのときは余裕が無くて、気づけなかった。
「それでさ。高橋くんはどうするの?」
鈴木の言葉で現実に戻される。
目を背けたくなるような、現実に。
「高橋くん、戦うんでしょ」
「……そのつもりで稽古してきたけどな」
俺は鷲尾と戦うつもりで稽古に励んでいた。
でも実際会うと、ちっぽけな覚悟は消し飛んでしまった。
「はっきり言えば、戦いたくない」
「…………」
「逃げ出したい気持ちだ」
鈴木に本音を言うと「そんなの許されないって分かるよね」と笑われた。
「剣道部を引っ掻き回して試合に臨ませた。それなのに逃げるなんて。しかも鷲尾くんにしこりを残すような真似だもんね」
「……分かっているよ」
「分かっていない。だからそんなこと言えるんだよ」
いつになく厳しいことを鈴木は言う。
いや、俺が情けないだけか。
中学の剣道部のみんなから逃げて、今もまた逃げ出したなら。
俺は過去の反省から何も学んでいないことになる。
本当に――だせえ話だ。
「しょうがないなあ、高橋くんは」
鈴木は俺に近づいてきた。
その顔は笑っていた。
こんな状況で、笑っていた。
「今の高橋くん、格好悪いよ」
「分かっているよ」
「分かっているなら、無理矢理でも格好つけてよ」
鈴木は笑いながら言う。
俺は笑えない。
「虚勢でもいいから、格好良くならないと」
「どうすればいいのか、分からないんだよ」
俺は弱音を吐いた。
目の前の鈴木に向かって、弱い心を晒した。
「俺は戦えない。覚悟が無くなった、決心も鈍った。もうどうしていいのか、分からないんだよ」
屋上に薫風が漂った。
鈴木はふうっと溜息をついて。
「ねえ、高橋くん――」
「なんだよ?」
俺に――質問した。
「生きるってどういうことだろうね?」
1
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
夜の声
神崎
恋愛
r15にしてありますが、濡れ場のシーンはわずかにあります。
読まなくても物語はわかるので、あるところはタイトルの数字を#で囲んでます。
小さな喫茶店でアルバイトをしている高校生の「桜」は、ある日、喫茶店の店主「葵」より、彼の友人である「柊」を紹介される。
柊の声は彼女が聴いている夜の声によく似ていた。
そこから彼女は柊に急速に惹かれていく。しかし彼は彼女に決して語らない事があった。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる