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変わっていく僕
しおりを挟む毎晩フルコースのディナーを楽しみながらシアターでのショーを楽しむ。
船で移動するので疲れはない。
夜の間に移動して朝には違う街についている。
船自体がリゾートホテルのような豪華客船。
海を移動しているのにプールで泳ぐという贅沢仕様。
そんな毎日を過ごしていた。
僕達は新婚旅行の最中。
地中海を移動する豪華クルーズのツアーの最中。
唯一不満があるとすれば明らかに時期を間違えているという事。
まあ、翼が喜んでいるからいいけどね。
僕が心配なのは僕達の何の恨みがあるのか知らない策者の事だから、またとんでもない事を企んでいるのではないかと思った事。
例えば氷山にぶつかって沈没するとか平気でやりかねない策者。
質が悪いのはそれを面白がってやっている事。
当事者の僕達としてはいい迷惑だよ。
何日かするとやはり飽きてくるようだ。
食事を終えると翼とデッキに出ていた。
地中海の夜空も綺麗だ。
少し寒いけど。
この空を渡って僕達は日本からやって来たんだね。
あまり長居はできそうにないので翼と船内に戻ろうとした。
すると声が聞こえた。
英語だ。
ちょっと物騒な話。
放っておけなかったのか単なる興味があったのか知らないけど翼は声がする方に向かった。
すると船から海に飛び込もうとする女性とそれを止める男性。
名前は聞くときっと後悔するから止めとく。
「私の人生なんて終わったも同然。だから放っておいて」
「君を放って飛び込ませたら僕が罪に問われる。たとえ問われなくても僕は自分を許せない。だから僕も同行させてほしい」
そう言って男性は靴を脱いで飛び込もうとすると女性は観念してデッキに戻る。
話を聞いてみた。
女性は資産家のご子息と無理矢理結婚を決められて、そして将来を悲観して飛び降りようとした。
それをたまたま見つけた男性が止めた。
本当にこの船氷山に突っ込むんじゃないだろうか?
ここは地中海だと分かっているのだろうか?
やがてその資産家のご子息とやらが現れる。
2人の関係を疑われるが僕達が証人を買って出る。
「ありがとう。じゃあこれ」
そう言ってユーロの紙幣を男に渡す。
「私の命はそれっぽっちの価値しかないの?」
女性が言うと男は次の言葉が出ない。
「良かったら明日のディナーにでもお誘いしたらどう?」
翼が言う。
ご子息はそれを受け入れざるを得なかった。
2人が行った後男に翼が言う。
「ディナーに出席する服にお困りじゃないの?明日の昼過ぎに私達と落ち合いましょう。善明と背丈は一緒みたいだし」
翼は僕に「いいよね?」と聞いてきたので「いいよ」と答えた。
僕は男よりもあのご子息の将来が気になったね。
どう見ても死神が待ち構えていそうだ。
そう言えば僕の父さんの別名も「死神」だったそうだ。
大地の父さん「ヘッジホッグ」と2人で先陣切って戦っていたらしい。
それでも翼の父さんの戦闘能力が圧倒していたそうだけど。
片桐家は皆チートなんじゃないのかい?
タイトルを「片桐家がチートな件」に変更することを提案するよ。
で翌日のディナーに彼は現れた。
僕の服が見事にあったようだ。
クルーズの途中で知り合った夫人と会場に現れる。
そしてディナーを楽しんだ。
フルコースの最後はコーヒー。
酒を飲んだ後にコーヒーってどうなんだろうとか考えていると、ご子息たちは株の話や経済の話を始める。
そういう話の流れはいよいよもってやばいよ。
僕は今すぐ下船したい思いだね。
ご子息は男に向かって「ごめん、君には難しい話だったね」と嘲笑う。
それが美希の逆鱗に触れたらしい。
「ええ、とても退屈な話。楽しいディナーの時間まで仕事の話をしないといけない雑魚と夕食なんてつまらない」
明らかに翼は男を挑発していた。
「お嬢さんはどこの家のものだい?」
翼にそういう話の持っていきかたは自殺願望の塊だよ?
「ただの大学生です。貴方に名乗るほどの名前はない」
酒井家は黒いノートを持っているんじゃないかと思うくらい人生を追い込むのが好きなんだよ。
ハネムーンで死人は見たくないから名乗るのは止めておくれ。
そんな願いは虚しく男は名乗ってしまった。
終わった。
「よく覚えておきます。私日本人だからヨーロッパの事情には疎いので」
「東洋のサルには難しいかもしれないな」
「自分達を中心でしか見れない、グローバルな視野の無い方の物いいですね、やっぱり程度が知れてる。私達から見たらあなたこそ陽が沈む方角の隅っこの雑魚じゃない」
「礼儀と言うのを習わないのか?日本のサルは」
「無礼な雑魚にはそれなりのあしらい方があると教わるの」
完全に挑発してる翼。
江口家は世界に喧嘩を売る気だよ。
翌朝事件が起こった。
僕達は無神論者だったのだけど何故か朝の賛美歌に出席していた。
そして男が来るとご子息の執事らしい男がはした金で追い払おうとしていた。
運が悪い事にそれを翼が見つけてしまった。
「あなたの家は高貴だと聞いたけど、やっぱり大したこと無いようね。主人の嫁の命の恩人にそれっぽっちですませるの?」
「昨日の件で礼は十分したはずだ。これ以上はただの揺すりではないか」
執事が言うと翼はやれやれと首を振った。
そして女性を呼び出す。
「あなたはあの雑魚とこの人どっちを選ぶの?身分なんて関係ない。愛に地位も名誉もお金も関係ない。貴方の意志で決めるべき」
「でも私はあの男と一緒にならないと母さんに迷惑がかかる」
「だったらなおの事この男を選んでおいた方がいいよ。あの男の未来は破滅しかないのだから」
やっぱり翼はやる気だった。
SHはついに大陸を飛び越えていた。
大陸間弾道弾と言ったところか。
女性は少し考えて、そして泣き出す。
「私はこの人が良い……」
男は女性を抱きしめる。
「じゃあ、行きなさい。ここは私達に任せて」
翼が言うと2人は立ち去る。
追いかけようとする執事とご子息の前に立ちふさがるのが僕の役目。
「同じ立場の人間として言わせてもらうとあなたのやり方には品がない。思いやりもない。あれじゃいくら金持ちでも女性の心は買えない」
「サルが引っ込んでろ!」
ご子息がそう言うと執事が前に出る。
普通に投げつける。
「暴力に訴えるなら構いませんよ。ここは日本じゃない。それなりの物は準備してありますから」
「お前達も絶対後悔させてやる。覚えておけ」
心配しなくても翼が覚えてるよ。
売られた喧嘩は喜んで飛びつくのが酒井家。
2人は無事に結婚してアメリカで幸せに暮らしているらしい。
その一方で、ハネムーンから帰国して数日たった後ヨーロッパの貴族の一人が破産したらしい。
ご子息は多大な負債を抱えて、拳銃をこめかみにあてて自殺したそうだ。
きっと友愛されたんだね
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