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⑧ー翔真Sideー

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幼い頃の記憶…。

"しょうま!
はやく 、はやく!"

"しょうと、
はしるとあぶないぞ!"

"しょうま。
ぼく、しょうま、だいすき!
ずっと、いっしょ!"

"あぁ。
おれたちは、さいきょうのふたご!
ずっと、いっしょだ!"

公園を走っていた幼い頃の翔斗と翔真。

"翔真。
悪ぃな。
あの頃の約束、果たせない。
オレ達は、一緒に居たらダメだ。
バイバイ……、"

"待って、翔斗…。
俺を1人に、しないで…。"

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「しょ、と……。
まっ、て、
しょうと、翔斗!!」

夢を見た、翔斗が俺の前から消える夢を……

(胸騒ぎがする…。)

俺はすぐに翔斗に電話をかけた。

しかし、電話口から聞こえてきたのはツーツーツーとした規則正しい音だけだった。

(……電源を切ってやがる。)

俺は数日前から翔斗が会いに行っている美久ちゃんに電話をかけた。

《もしもし?》

《美久ちゃん?
俺、石橋翔真。》

《石橋くん。
どうしました?》

《そこに翔斗、居る?》

《いえ、それが目を覚ましたら居なくなっていたんです。
いつもの翔斗くんなら、私よりも起きるのが遅いし、例え、先に起きたとしても私が起きるまで傍にいてくれるのに…。》

《そっか…。
わかった。
もし、翔斗から連絡あったら教えて。》

《はい。
わかりました。》

《ありがとう。》

俺は電話を切り、次は久野さんに電話をしようとした時、

《はい。
もしもし。》

《翔真くん!?
そこに翔斗くん居る?》

久野さんから電話がかかってきた。

《いえ、居ません。
どうかしましたか?》

《実は、翔斗くんから
[キミとボクは光と闇、決して分かちあえない
闇のボクは光のキミと居るのが苦しい
だから、ボクは闇の中に姿を消す。]
ってメールがあって……なんか、嫌な予感したから翔真くんに電話したんだ。》

《………実は俺も夢を見たんです。
翔斗が居なくなる夢を…
だからやな予感がして…。》

《翔真くんもか。
俺、今から翔真くん家に行くから待ってて。
詳しい話は後でしよう?》

《わかりました。》

俺たちは電話を切り、落ち着かない俺は音楽を流し始めた。

数十分後、久野さんが来た。

もしかしたら仕事には来るかもしれないからといつも通り仕事をしようと話した。

しかし、アフレコ現場に翔斗が姿を現す事はなかった。
そのまま、翔斗からの連絡が無いまま1日、1ヶ月、半年と時だけが過ぎて行った。
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