能覚人

ミライ164

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〜第六章〜

本当の

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 「あとは、任せて。その間に・・・」

 「おう!」

 「次は、あなたが相手ですか?」

 「そうよ、私はあいつと違って手は抜かないから。」

 見た感じ、今まで戦ってきたやつとは全然違う。だから、こっちも全力で行く。

 無の空間。昴は、それより強くなることで壁を超えた。だが、私にはそんなことはできない。だから・・・

 相手の意識を逸らして、無の空間を意識させなくする。

 私は、周りにありったけの温度炎と大量の水を出した。前に使った、水蒸気爆発だ。

 そんなことをしたら、ここに存在が知れ渡ってしまう。そうは、したくないだろう。

 これでいつまで持つか・・・昴、早くしてね。

 今は、小春が時間を稼いでくれている。その間に・・・はっ!!

 周りの能素を、一気に取り込む。小春の邪魔を、しない程度に。

 くっ、そろそろきつい。

 !?

 ここは、どこだ?

 俺は、謎の空間に閉じ込められていた。

 「ここは、君の精神世界さ。」

 「お前は、神王の子?」

 「そう、僕はもう一度悪魔の子と融合したことで、また人格が変わったみたい。」

 「昔に戻ったのか?」

 「そうかもね。でも、そうなると悪魔の子はまた悪事を働くようになっているかもしれない。」

 「そうだとすれば・・・、今はかなりまずい状況だ。あのまま能力を使い続ければ、いずれ必ず暴走してしまう。」

 「そうだね。そうしないためにも、君をここで鍛え上げる。と言っても、あくまでここは精神世界。どれだけ頑張ろうと、現実に戻ったら何も変わらない。だから、君に問おう。君の能力は、一体なんだ?」

 なんだ?その問いは。答えは、決まっているじゃないか。

 「身体強化。」

 「残念。その回答は、不正解だ。身体強化はあくまで、副産物。前に聞かなかったか?昴は、遺伝子実験によって僕と引き剥がされたことを。その時に、君の本当の能力が目覚めたんだ。僕の能力は、能力の名前と効力を知らないと使えない。でも、君の能力『瞬使模倣しゅんしもほう』なら、一度見た能力は使える。それが、神王から引き継がれてきた、本来の能力だ。」

 「そうう・・・なのか。」

 これが、本来の力なら勝てるかもしれない。

 「ただ、それを目覚めさせるには僕を越えるしかない。暴走じゃダメだ。だったら・・・」

 「覚醒・・・か。」

 「そうだ。昴はすでに、覚醒の条件を満たしている。ただ、あとは勇気が必要だ。暴走を支配する。それこそが、覚醒の条件。」

 「暴走を、支配・・・。」

 出来るのだろうか。簡単にいうが、暴走するリスクはでかい。俺の場合、人格が変わ・・・今は大丈夫か。

 「暴走してこそ、本来の力が使える。あぁ、安心して。僕は消えない。君が呼べば、いつでも出てくるから。」

 「そうか。ありがとう。」

 俺は、自身の体に能素を取り込んだ。さっき以上に。

 「そうだ。それが君にとっての能覚人。本来の力を目めさせた。それが君だ。」

 俺は、目を開けた。

 成功したのか?体が、軽い。身体強化はできる。じゃぁ・・・

 「範間停止」

 あっ、この能力は俺だけじゃわからないか。だったら・・・

 「元素操作」

 おっ、できる。ということは、覚醒は成功したのか。これが本来の能力。

 神王は、この能力より強力なものを使うのだろう。

 まぁ、あいつに勝てるならそれでいいか。

 俺は急いで、戦場へ向かうのだった。
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