能覚人

ミライ164

文字の大きさ
88 / 101
〜第六章〜

延長戦

しおりを挟む
 「終わったぞ。」

 見た感じ、時間は稼げているようだ。この作戦は、一見してただの時間稼ぎかも知れない。でも、それは違う。強い力には、代償がつきものだ。心眼の加護で覗いた限り、彼女にはタイムリミットがある。

 「さぁ、第二ラウンドだ!」

 さっきと同じことを、繰り返す。取り込み、生み出し、取り込む。

 そして、小春と交代し、その間に俺は能素を放出する。

 後、30分。

 この作業は、一周に5分かかる。後6回やれば、俺たちは勝つことができる。

 4回目のことだ。

 「どうした?さっき目でと違って、焦ってるようじゃないか?」

 「ここまでか・・・。」

 !?

 俺は、膝から崩れ落ちた。体が動かない。

 「昴!!何したの!魅崋!」

 「仕方がない、どうせこの島は消えるのだ。早いか遅いかの違いだ。」

 「私、早苗から聞いたわよ。貴方のお兄さんが、こう言ってたって。他力本願は駄目だと。だから、自分から率先してやるように頑張っていると。それがどう?今の貴方は、他力本願。」

 「どういうことだ?この手で、やったのだぞ?」

 「いいや、違う。貴方は、言霊に頼った。」

 「だったら、貴様らは能力に頼っているじゃないか。」

 「いや、全然違う。言霊の仕組みは分からないけど、能力は人の努力で天才をも超えれる。それは、自力であって他力ではない。」

 「くっ、」

 動揺している。言い返せなくなっているんだ。このまま行けば・・・、

 「死ね。」

 「人とは、あっけないものだ。どれだけ努力しようと、この一言、この一瞬で全て無に帰すのだから。さて、私にはもう時間がない。儀式に取り掛かるとしy。」

 「おいおい、誰が死んだって?」

 「そうよ、勝手に殺さないでくれる?」

 「何!?なぜ生きている!?」

 「簡単な話さ。言霊の正体は、能素を変化させたもの。つまり、俺の体内にある能素を毒にでも変えようとしたようだが、残念だったな。俺は、言霊が届く瞬間に、能素を全て排出した。」

 「私もよ。」

 「馬・・・馬鹿な。ありえない。あり得るはずg・・・。」

 気絶させた。これで、危機はさった・・・訳ではない。目を覚ました後、暴走し出したら元も子もない。

 「彼女を、助けたいのか?」

 !?

 俺は、咄嗟に身構えた。

 「誰だ!!」

 「俺は、土山地先代ボス、久良岐 忠親くらき ただちかだ。」

 先代ボス・・・

 「目標は、何だったんだ?」

 「言霊の真相を探ることだ。」

 言霊の、真相?

 「俺たちは、神王教だ。一説によれば、言霊は神王が与えたものになっている。だから、それを解明するのを目標にした。そして、魅崋が解明してみせた。だから、ボスの座を譲ったのだ。」

 「一体なんなんだ?」

 「それは・・・」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私は逃げ出すことにした

頭フェアリータイプ
ファンタジー
天涯孤独の身の上の少女は嫌いな男から逃げ出した。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

聖女の力は使いたくありません!

三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。 ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの? 昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに! どうしてこうなったのか、誰か教えて! ※アルファポリスのみの公開です。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

処理中です...