上 下
11 / 21
第1章 異世界へようこそ

始まりの森

しおりを挟む
「ほら、こっちにも敵きてるよ、早く!」




フレディからの指導を受けてかれこれ1時間。

スライムの群れに遭遇し、只今激戦中です。










「アクアビーム!!」





プシャーーー










「アクアビーム!!」





プシャーーー






あーもうこれいつまでやればいいの!?



精神的に疲れた!!同じ魔法ばっか永遠に出す作業じゃん!!!!!

『水を真っ直ぐ標的にぶつけるイメージ』と言われ、もう何100回以上連続でこの技をやっている。
フレディ曰く、「一つの水属性魔法が使えたら、イメージで後はどうにでもなる」と適当なこと言ってた。
水を大量に作り出すイメージ作業が一番大変らしいので、技の取得はすぐだよ~だとのこと。







フレディの鬼畜教師のせいで、俺の想像していた楽しく、きゃっきゃしながら敵を倒す様子は完全に崩れ去った。



魔法初心者中の初心者にやる仕打ちじゃないだろこんなの!!!!!!!





あのアホ教師・・・



心の中で悪態をつきながら、それを口に出せる余裕も無く、俺は敵を倒し続けた。













「アクアビーム!!」





プシャーーー







やっとラスト一匹を倒した。
達成感からか、足の力が抜け、俺は地面に座り込んだ形となった。






「お疲れ様、上出来じゃん」







フレディは俺に近づいてきて頭を撫でた。




「うっせ、鬼畜アホ教師。人間の心持ってないだろ、バカ。アホ。」




またケラケラ笑っている。



「俺をバカにするのも大概にしろよ、流石に今回は俺だって思うことがたくさんあるんだからな、アホ!!もっと優しく教えろよ!口じゃ説明できないから俺に無理やり教え込もうってか?あんたの能力不足かなぁ~?」





調子乗って罵倒を続けると、フレディの笑っていた表情は、急に無になって俺をじっと見つめてきた。



その雰囲気に少し怖くなって、後ずさりすると、ぐんと引っ張られ、目の前にフレディの顔が・・・







「んっ..... あ、...ふぁ...っ.......」







待って、口に何か入ってきてる。
なにこれ、キス・・・?ちょ、なにが起きてる?


理解が追いつかず、足の力も抜けているので、抵抗もままならず、フレディにされるがままだ。




「....ちょ、ふれ......っ....ん....まっ...て」




慣れない感覚に背筋がゾクゾクしていると、シャツの中に冷たい手がスルッと入ってきた。




「ん!!!ひっ....や.....ん」




いつもと様子が違うフレディに僅かな恐怖を覚えた。


無言の圧力を感じ、怖くて目をギュッと瞑る。




そうすると、シャツに入り込んだ手はいつの間にか引っ込み、キスも止んだ。






「はい、授業料」





そう言い残すと、じゃあ今日はもう帰ろうか。って不自然なほどにこにこしながら言った。


怒らせたのか・・・?でも助かった・・・


有無を言わせないような言い方に怯んでいると




「ほら、早く立ってよ」




そう無理やり手を引っ張られるが、腰が抜けて立てない。



それを察したのか、あ~もう耐性ないなぁ・・・って言いながら、しぶしぶ俺をおんぶしてくれた。

てか元はと言えど、あんたのせいだからな!!!





慣れない恐怖は感じたものの、キスの最中、なぜかふわっと包まれるような感覚になったのを覚えていた。














「バカ教師・・・・」








俺はフレディの背中で、これしか言うことができなかった。








しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】25妹は、私のものを欲しがるので、全部あげます。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,050pt お気に入り:4,869

乙女ゲームに転生したようだが、俺には関係ないはずだよね?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:2,424

処理中です...