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第1話 ロリ美少女に夕飯を作らせるだけの話

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「おかえりなさい! 九十九つくもさん!」

「……おう」

 目の前には黒髪ロングの美少女(小学5年生)が俺の帰りを出迎えているという何ともまあ不思議な光景が広がっていた。

 俺は九十九 一歩つくも はじめ。今年で43歳。彼女はいない。ていうかできたことがない。
性欲は人一倍強いが、それを発散する術を知らない。あっ、恋人ならいるわ。
マイ ライト ハンド。イエス フォーリンラブ。


 そんな俺だが、ある日美少女を手に入れてしまった。いやホントに。マジで急展開だったんだって。なんか知らんが、夜公園を散歩してたら段ボールに女の子が捨てられていた。

 それがこの超絶美少女こと、中田 小春なかた こはる。年は11歳。
艶やかな黒髪を肩くらいまで伸ばし、俗に言うボブカットというやつか? そして可愛らしいクリっとした目にスッキリ通った鼻筋、ぷっくりとほどよく膨らんだ唇。いやマジで可愛いなこの子。

「九十九さん。お風呂にします?ご飯にします?それとも……」

そう言う小春は、なぜか裸にエプロンという出で立ち。なぜ?Howai?

「そんなものはいい……」

 誰が頼んだわけでもないのにその年で裸エプロンだと!?天性の小魔。魔性にもほどがある。一体これまでに何人の男を誘惑してきたんだ!???

 これはもう襲ってくださいってことだよな!?その薄っぺらいエプロンを引きちぎって、まだ膨らみかけのてぃてぃ袋を鷲掴み、野生の雄の欲をぶち撒けてほしいってことだよね!?んんんんん!?

「はぁはぁ……」

 こりゃもうたまらん。俺の息子もこんにちわ……じゃなくてこんばんわしてるぞ。おいって。いいのかいって。やっちゃうよ!?オラもう止まんないよ!???


 ……っと、その時。
小春の指先に視線がいった。絆創膏がいくつも貼ってある。これは、慣れない料理で指を切ってしまったのか?

 そういえば、家に入ってから何だか焦げた臭いがするな。廊下にあるキッチンへ目をやると、明らかに失敗した感じのやーつが三角コーナーに捨ててあるのが見えた。なるほど。


「……夕飯の準備だ」

「……はい」

 俺は素早く靴を脱ぎ、手を洗い、アルコール消毒し、上着をクローゼットに直し、靴下を脱いで足を洗い、キッチンに立った。

 冷蔵庫に余っていた野菜を取り出し、適当な大きさに刻んでいく。その間にレンジで鶏胸肉を解凍しておく。野菜が切れたら、一部はスープにするため鍋にぶち込む。残りは野菜炒めにでもしよう。

 軽く野菜を炒め塩コショウなどで味を整えたらとりあえず一品完成。その後空いたフライパンに油を少し大目に入れておく。そこで鶏胸肉が解凍し終わった。

 取り出した胸肉をスティック状に切り、片栗粉をまぶす。油を入れたフライパンに投入し揚げ焼きにしていく。頃合いを見て取り出す。

 後はご飯と漬物を適当に見繕って、それぞれの品を食器に盛り付けていく。

「小春。テーブルにランチョンマットと箸の用意を頼めるか?」

「は、はい!今すぐに!」

 テーブルの用意が終わったタイミングで、俺は料理を運ぶ。湯気と共に何とも食欲をそそるいい匂いが鼻孔をくすぐる。さあ、夕飯の時間だ!

「いただきます」
「いただきます!」

 あーうめえ。我ながら上手くできたな。次は鶏胸肉にカレーをまぶしてスパイシーにしてもいいかもしれん。メモしておくか。


 ……って、あれ?なんで俺料理してんの?小春に作らせるはずじゃなかった?
なんなら料理の前に小春襲ったろとか考えてたのにこの展開なに?急にオッサンが料理し始めたんやけど?

 こわっ。しかもなんで妙に手慣れとるん?オッサンが料理してる様子読まされて何がおもろいねん。


「九十九さん。ごめんなさい」

「へ? なにが?」

「私、料理すらまともにできなくて。住まわせてもらっている立場なのに、食材も無駄にしちゃって」

 小春の目には涙が。相当悔しかったのだろう。唇も軽く、というかめちゃくちゃ噛み締めながら自分への憤りを露わにする小春。


「……気にするな。慣れればこのくらいは誰でも作れる」

「でも私、これまで料理もしたことなくて。というか、こうやって誰かにご飯を作ってもらうっていうのも九十九さんが初めてで……」

「……」

 ふーん?つまり、俺が小春の初めてを奪ったってこと?そういうことだよね?なるほどなるほど。俺が小春の初めての男って訳か。いいじゃん、それ。気分上がるね。

 それじゃあついでに、もっと重要な初めても奪っちゃおうかな?もちろん下の意味で。下中の下。ド下。エモいならぬシモい。やけどね。いいかな?うーん????



「……じゃあ、明日は一緒に作るか?」

「えっ……!?」

「まずは簡単なやつから。カレーならいけるだろ」

「え、えっと。ご迷惑じゃなければ」

「明日は金曜日で帰るのも少し早いから、買い出しも一緒に行くか?」

「はい!行きたいです!」

 あれー?何かホンワカ展開になってるけどいいのか。いいか。いいよね。1人の雄としては間違えたかもしれないけど、人としては正しいよね。お母ちゃんもそう言ってる気がする。

 その後、ご飯を食べ終わるまで終始ニヤニヤしている小春を見ながら、俺はギンギンにいきりたつ息子を宥めることに必死になっていた。

「私、誰かと一緒に買い物行くのなんて初めてです」

「え……?」

 俺は、この子のことを名前くらいしか知らない(それとスリーサイズ)。
会話もほとんど飯のこととか家事のこととか。あれやっといてこれやっといて的な。

 公園に捨てられてたってことは、恐らく親から相当な扱いを受けていたことは間違いない。
そして、この子は親に捨てられたのだろう。

 ……あれ、俺やっぱりヤバいことに首を突っ込んでるよな?
もうかれこれ1週間くらいこの子飼ってるけど、そろそろ警察も動いてるよな?いやでも、本当に親に捨てられたんだったら、捜索願は出されてないのか?

 うーん。まあ普通に考えたら、俺の方からそろそろ警察に電話したほうが……。

「明日、楽しみだなあ。フフッ」

「…………」


 ま、いっか!
可愛いし! こんな可愛い◯学生をみすみす手放すなんて考えられん! それに、これだけ飯を食わしてやって、寝床も提供してやってるんだから、一回くらいは◯いてもらわんと割にあわん!

「……なんだか、眠くなってきちゃった」

 と、俺がクソキモい妄想に浸っている間に、小春はご飯を食べ終わっていた。食器も既に片付け終わり、ちょこんと俺の隣に座る。

「小春?」

「ふわあ……。ちょっとだけ……」

「うわっ! っちょ!」

 小春は急な眠気に襲われたようで、俺に膝枕されるような形で頭を乗せてきた。そしてそのまま目を閉じ、スヤスヤと寝息を立てている。

 え? 眠気の後には俺に襲われたいのか……!!? なるほど。そういうことなら俺も一肌脱ごうじゃないか。フフフ。まあ俺は未だに◯茎だが。小春が相手をしてくれるんだったら、そっちも剥けちゃうかもねえ!


「…………お父さん」

「…………」

 俺はそっと小春の頭に手を乗せる。気持ちよさそうに俺の手に頬を擦り寄せる小春。起きる気配はない。

 ……まあ、もうしばらくは家にいてもらうわけだし、今日じゃなくてもいいか。俺も仕事で疲れてるし、今日のところは勘弁してやろう。



 そんなこんなで、俺と小春の奇妙な同棲生活が始まったわけだが。

 今思えば、この時に素直に警察に自首しておくべきだった。
まさかあんなことになってしまうなんて……。

 この時、あまりにもムラムラしすぎて小春をベットに移動させた後お風呂で1人で5回も◯いて疲れ果てた俺は、知る由もなかった。
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