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第一章 芦堂高校
第7話 芦堂の番長③
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「ぐっ……!」
なんっていうスピードだ……!
何とかギリギリで
「次だ」
「っ!?」
後ろ回し蹴りか!? やばい、これは防げな……!
「ぐっ!」
もろに顔面にもらってしまった。口のなかに血の味が広がった。くそっ! なんだこいつの速さは!
俺は咄嗟に距離を取り、口のなかに溜まった血をペッと吐き出した。
「……? もろに入ったはずだが、よく立っていられるな」
間宮は怪訝そうな表情を浮かべている。
まあ普通の奴なら一発だろうな、これは。コイツは、ガチでやべえ奴だ。今の俺に勝ち目はない。
だが……。
「お喋りとは随分余裕だな。お前の攻撃は、もろに入ってもこの程度ってことだ」
「なるほど……。真田やったってのは本当らしいな」
間宮の纏っていた殺気が、さらに冷たいものに変わった気がした。
またさっきみたいな蹴りをもらえば、恐らく俺は気を失ってしまうだろう。いくら痛みを感じないとはいえ、体が限界を超えればお陀仏だ。
「次は本気だ」
「……………………」
後には引けない。あの男を捕らえるためには、コイツをどうにかしないといけないんだ。
「間宮!!」
その時、聞き慣れない男の声が後ろから聞こえた。咄嗟に振り返ると、そこには芦堂の制服を着た男が立っていた。清潔感が感じられる短い頭髪に、シルバーフレームの丸眼鏡をかけている。
なんだ、この男は?
「新庄……。てめえ何しにきた」
間宮は、新庄とその男を呼んだ。新庄という男の周りには、同じように芦堂の制服を着ている奴が十数名いた。そいつらは全員坊主頭。
「何って、こっちで騒ぎが起きてるって聞いたから駆けつけたんだ!」
「てめえには関係ねえ。コイツには俺がケジメを取らせる」
「コイツって……この人が騒ぎの原因なのか? 君は一体、何者なんだ?」
「…………」
これは、絶望的だ。どうする。この新庄という男からも、間宮と同等のヤバさを感じる。こいつも相当強い。ここは階段を上がってすぐの廊下。前方には間宮、後方には新庄とその取り巻き。
勝てるイメージが、湧かない。
「……はあ、はあ」
「!? 真田! どうしたんだその腕!?」
階段から姿を現したのは、さっき俺が腕をへし折って戦闘不能にしたはずの真田だった。折れた右腕を庇いながら、取り巻きと共に階段を昇ってきたようだ。
新庄は心配そうに真田に駆け寄った。
…………化け物かよ。
「新庄さん、すみません。俺が不甲斐ないせいで」
「おい真田……。その腕は?」
「間宮さん……。ソイツにやられました。すんません。でも俺、まだ戦えます!」
「いや、お前は今すぐ病院に行け。コイツは、俺が潰す」
「間宮、お前……。真田のために喧嘩してたのか?」
「うるせえ、お前は引っ込んでろ」
「そうか……。お前が誰かのために喧嘩を…………」
いつの間にか、俺は無数の芦堂生に囲まれていた。しかも相当な手練れが3人。俺が追っている男は、安堵した表情で間宮の後ろに立っていた。
くそ、くそくそくそくそ!!
叔母さんを襲った糞野郎が目の前にいるっていうのに! なんでコイツらは邪魔するんだ! どこまで俺の人生から大切なものを奪えば気が済むんだ!!
ダメだ。さすがに終わりだ。この状況をどうにかする力は俺にはない。いっそのこと、あの男が叔母さんにやったことを話すか?
いや、今更話が通じるはずがない。話すなら、真田と会ったときに話すべきだった。
「覚悟はできてんだよな? おい」
間宮、新庄、真田、そしてその取り巻き達全員が臨戦態勢に入った。俺は静かに目を閉じた。やれることをやろう。気を失うまで戦ってやる。絶対に自分から降参なんてしない。こんな奴らに頭なんか下げない。
俺の大事なものを奪う奴は、もう許さない。
「ぐわっ!」
「おえ!」
「な、なんだコイツ!!?」
「おい、誰かおさえ……うわっ!??」
「………………え?」
声のした方を見ると、取り巻き達が次々と吹っ飛んでいるのが見えた。それは、俺の知っている人物の仕業だった。
「八崎……!」
「おい成瀬! 大丈夫か!? お前一人でこんなとこ乗り込んで何やってんだよ!! 死にてえのか!?」
八崎だ。さっきスーパーで会った、赤髪の青年。なんでって、それはこっちの台詞だ。なんで八崎がこんなところにいるんだ?
「野郎……。仲間がいやがったか!」
と、真田が八崎の方に向かっていった。負傷しているとは思えない速さだ。まずい、いくら八崎でもあいつと戦うのは無傷じゃすまな
「どけ!!」
八崎の目にも止まらぬ速さの蹴りが、真田の顔面を捉えた。真田はそのまま壁に蹴り飛ばされ、今度こそ気を失った。
なんっていうスピードだ……!
何とかギリギリで
「次だ」
「っ!?」
後ろ回し蹴りか!? やばい、これは防げな……!
「ぐっ!」
もろに顔面にもらってしまった。口のなかに血の味が広がった。くそっ! なんだこいつの速さは!
俺は咄嗟に距離を取り、口のなかに溜まった血をペッと吐き出した。
「……? もろに入ったはずだが、よく立っていられるな」
間宮は怪訝そうな表情を浮かべている。
まあ普通の奴なら一発だろうな、これは。コイツは、ガチでやべえ奴だ。今の俺に勝ち目はない。
だが……。
「お喋りとは随分余裕だな。お前の攻撃は、もろに入ってもこの程度ってことだ」
「なるほど……。真田やったってのは本当らしいな」
間宮の纏っていた殺気が、さらに冷たいものに変わった気がした。
またさっきみたいな蹴りをもらえば、恐らく俺は気を失ってしまうだろう。いくら痛みを感じないとはいえ、体が限界を超えればお陀仏だ。
「次は本気だ」
「……………………」
後には引けない。あの男を捕らえるためには、コイツをどうにかしないといけないんだ。
「間宮!!」
その時、聞き慣れない男の声が後ろから聞こえた。咄嗟に振り返ると、そこには芦堂の制服を着た男が立っていた。清潔感が感じられる短い頭髪に、シルバーフレームの丸眼鏡をかけている。
なんだ、この男は?
「新庄……。てめえ何しにきた」
間宮は、新庄とその男を呼んだ。新庄という男の周りには、同じように芦堂の制服を着ている奴が十数名いた。そいつらは全員坊主頭。
「何って、こっちで騒ぎが起きてるって聞いたから駆けつけたんだ!」
「てめえには関係ねえ。コイツには俺がケジメを取らせる」
「コイツって……この人が騒ぎの原因なのか? 君は一体、何者なんだ?」
「…………」
これは、絶望的だ。どうする。この新庄という男からも、間宮と同等のヤバさを感じる。こいつも相当強い。ここは階段を上がってすぐの廊下。前方には間宮、後方には新庄とその取り巻き。
勝てるイメージが、湧かない。
「……はあ、はあ」
「!? 真田! どうしたんだその腕!?」
階段から姿を現したのは、さっき俺が腕をへし折って戦闘不能にしたはずの真田だった。折れた右腕を庇いながら、取り巻きと共に階段を昇ってきたようだ。
新庄は心配そうに真田に駆け寄った。
…………化け物かよ。
「新庄さん、すみません。俺が不甲斐ないせいで」
「おい真田……。その腕は?」
「間宮さん……。ソイツにやられました。すんません。でも俺、まだ戦えます!」
「いや、お前は今すぐ病院に行け。コイツは、俺が潰す」
「間宮、お前……。真田のために喧嘩してたのか?」
「うるせえ、お前は引っ込んでろ」
「そうか……。お前が誰かのために喧嘩を…………」
いつの間にか、俺は無数の芦堂生に囲まれていた。しかも相当な手練れが3人。俺が追っている男は、安堵した表情で間宮の後ろに立っていた。
くそ、くそくそくそくそ!!
叔母さんを襲った糞野郎が目の前にいるっていうのに! なんでコイツらは邪魔するんだ! どこまで俺の人生から大切なものを奪えば気が済むんだ!!
ダメだ。さすがに終わりだ。この状況をどうにかする力は俺にはない。いっそのこと、あの男が叔母さんにやったことを話すか?
いや、今更話が通じるはずがない。話すなら、真田と会ったときに話すべきだった。
「覚悟はできてんだよな? おい」
間宮、新庄、真田、そしてその取り巻き達全員が臨戦態勢に入った。俺は静かに目を閉じた。やれることをやろう。気を失うまで戦ってやる。絶対に自分から降参なんてしない。こんな奴らに頭なんか下げない。
俺の大事なものを奪う奴は、もう許さない。
「ぐわっ!」
「おえ!」
「な、なんだコイツ!!?」
「おい、誰かおさえ……うわっ!??」
「………………え?」
声のした方を見ると、取り巻き達が次々と吹っ飛んでいるのが見えた。それは、俺の知っている人物の仕業だった。
「八崎……!」
「おい成瀬! 大丈夫か!? お前一人でこんなとこ乗り込んで何やってんだよ!! 死にてえのか!?」
八崎だ。さっきスーパーで会った、赤髪の青年。なんでって、それはこっちの台詞だ。なんで八崎がこんなところにいるんだ?
「野郎……。仲間がいやがったか!」
と、真田が八崎の方に向かっていった。負傷しているとは思えない速さだ。まずい、いくら八崎でもあいつと戦うのは無傷じゃすまな
「どけ!!」
八崎の目にも止まらぬ速さの蹴りが、真田の顔面を捉えた。真田はそのまま壁に蹴り飛ばされ、今度こそ気を失った。
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