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1 天空烈弾

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今回は小説の本編に入る前に解説をしたいと思います

皆さんは「気」や「チャクラ」のことを知っていますか?

よく、ゲームやアニメなどで使われているから、名前は知っていると思います

この小説の作者であるまろうどは、少年ジャンプの漫画家達に気やチャクラについてレクチャーしたことがあるんです

ずいぶん昔の話です
確か、ナルトが連載されるちょっと前の頃だったと思います

その頃よりもいろいろなことが分かってきたので、ここに最新版の解説を載せておきますので、参考にしてください

チャクラについて定番な説明が、肉体には7つのチャクラがあり、それを気を高めて回す事で....

って内容だと思いますが、それ、実は間違いなんです

肉体にチャクラはありません

チャクラは幽体にあるんです

人間は「幽体」「肉体」「霊体」の3体から成り立っています

もちろん、肉体が人の本体です

自分の意識は肉体にあるので、幽体や霊体の存在に気付くことはないと思います

ところで、幽体って知ってますか?

幽体は肉体の近くに漂っていて、勝手に行動しています

肉体よりも高位な存在で、人格もあります

幽体は、人並みな存在から神レベルの存在までいろいろいます

本体である肉体に興味関心のある者から、まったく気にしていない者、積極的に手助けしようとする者もいます

細い糸みたいなので、肉体と幽体はつながっています

ほとんどの人は、幽体を見ることはできません

たまに見えると、守護霊や妖精、天使などに間違われます

ごく稀に、肉体の意識が幽体に乗ることがあります
それが、幽体離脱ですね

まぁ、だいたいあんな風にぷかぷか浮いてる存在が幽体です

もう一つ、霊体があります

ほんの少し意識がありますが、何も考えず、何も感じません

肉体→霊体の一方通行で、心がつながっています

霊体は、本体である肉体の心のゴミ箱です

嫌な思い出などを捨てる場所が霊体です

ですが、肉体の負の感情が高まると、霊体と相互通行ができるようになります

これが鬱ってヤツです

一度ゴミ袋にまとめて集積所に捨てたはずなのに、気がついたら部屋の中に山のようにゴミが返って来ていたら、誰でも鬱になりますよね

そんな感じで、霊体から嫌な思い出が溢れ出て来るんです

霊体を肉体から意識的に分離することで、鬱から脱出できるでしょう

さて、本題の気とチャクラの説明に戻ります

チャクラを回して気のパワーを使うには、肉体と幽体を重ね合わせることが必要です

最初にこれができないと、チャクラはぜんぜん回りません

ですが、幽体が普通の人レベルの場合、人+人=人なので、特に能力の向上はありません

皆さんもご存知の7つのチャクラ以外にも、チャクラは幾つもあるんです

頭頂のチャクラのさらに上に『天(雷)のチャクラ』

左右の手のひらに『空(風)のチャクラ』

左右の足首に『地(震)のチャクラ』

心臓のチャクラの後方に『月のチャクラ』
月輪観(がちりんかん)は月のチャクラを回す技法のようです

月のチャクラのさらに後方に『日のチャクラ』

これ以外にも、まだ未知のチャクラがあると、まろうどは考えています

人によって得意とするチャクラが違います

この小説の主人公『ブライド』アリスは天のチャクラから雷を受けて地のチャクラから雷撃として撃ち出します

弟の『バルキリー』ルカは地のチャクラから振動を受けて、空のチャクラから衝撃波や振動として撃ち出します

ちなみにですが、肉体が死ねば土に帰ります

その時、幽体は任務終了となり精霊や天使になります

天狗や神の使いは幽体だけの存在です
肉体がないので生まれた時から大人の姿をしています

九尾の狐は元々が神獣なので、幽体の存在です
肉体がないから姿を変化できるんです

肉体が土に帰れば霊体は消えるはずですが、稀に自我を持つと妖怪化します
これも肉体がないので、本当の意味では死にません

肉体の意識が成仏しなかったのが幽霊です
成仏を先延ばしにして現世を旅している幽霊もいれば、すぐにあの世に連れて行かれる幽霊もいます

何故こんなことを知ってるかって?

それは簡単なことです

作者のまろうどが、臨死体験のプロフェッショナルだからです

自分の死亡診断書を2回も見たことがあります

もちろん、見せてもらえなかった診断書の方が多いです

何度も経験すれば、いろいろ分かるようになります

それでは、そろそろ小説を始めますか....


1  天空烈弾

背の低い雑草が地面を覆っている

除草剤を撒いているのか、雑草の勢いはそれほどないようだ

遠くで虫が鳴いている

小動物の気配もする

生き物は、人が思う以上に環境に適合しているらしい

手入れがされている土地ではないが、車が通れるくらいの道はあるようだ

とぼとぼと、アリスが男の後ろを歩いている

珍しく厚底のショートブーツを履いているのは、草地を歩くからだろう

フリフリのフレアスカートが草に触れると、アリスはちょっと不機嫌そうな顔をした

前を行くのは九郎のようだ

顔は見えないが、黒い革ジャンを着ているから間違いないだろう

死人のアイアンクロウは、夏でも革ジャンで過ごすらしい

1番後ろから、ジーンズにTシャツのルカが着いて行く

ルカは身軽に、気軽に歩いている

3人の行先に、建設途中で放棄され廃墟となったビルがある

6階建の建物は、完成すれば巨大なショッピングモールと立体駐車場になっていたはずだ

度重なる首都直下型地震の影響で躯体が損傷したために、やむなく建設放棄されたようだ

近日中に解体が決まっている

九郎とアリスとルカが、廃墟となった建物のところまで来た

たまもに2人の修行を頼まれたことから、九郎がアリスとルカに技の種類と威力の違いを見せるつもりらしい

「そろそろ2人にも、気を撃ち出す技を覚えてもらいたい

素手の格闘が基本だからな」

うんうんと頷くアリスだが、時々お腹に手を当てている

(どうしたの、うさぎちゃん❓)

うさぎとはアリスの苗字、宇佐妓のことだ

(なんでもないよ、kameちゃん)

kameちゃんは、アリスの電脳をコントロールするサポートAIの名前だ

「うさぎとかめ」にちなみkameちゃんと名付けられている

弟の宇佐妓ルカのサポートAIはwaniくんと呼ばれている

「因幡の白兎」からwaniくんと名付けられている

(もしかすると....
あれですか?)

(黙ってて)

アリスとkameちゃんは頭の中で会話しているので、周囲の人がその会話を聞くことはない

建物から10メートルくらい離れた所に九郎は立った

「技の基本は風、雷、烈の3種類だ

俺とルカは烈の技が得意だが、アリスは雷の技をマスターすればいい

見本は全部、俺の得意な烈で行くぞ」

九郎の場合、空のチャクラから気を吸収して、空のチャクラから衝撃波として撃ち出す

この時、ルカのように振動として放つことはできない

気やチャクラの使い方に、絶対的な決まり事はないようだ

九郎が中指の指先に小さく気を溜める

「これが指弾
1番攻撃範囲が狭く、威力も小さい

気の溜め方、撃ち出し方で、威力や攻撃範囲が変わることを覚えてほしい」

指を弾くように気を撃ち出すと、コンクリートの壁が小さく爆ぜた

(このくらいなら、うさぎもできます)

(そうだね)

「次が烈弾」

指弾の時よりも多めに気を集めている

拳に気を溜めて、正拳突きのように気を撃ち出す

さっきよりも大きくコンクリートが爆ぜた

烈弾は実戦でも使いやすい技だ

「次が烈破」

手のひらに気を溜めて、掌底で気を撃ち出す

気の量は同じだが、烈弾よりも広範囲に衝撃が広がった分、威力は弱まっていた

烈弾では捉えられない相手や、牽制に使う技だ

「1番広範囲に衝撃波を撃ち出すのが烈爆だ」

(聞いたことない技ですね)

(ぼくも知らないよ
どんな技なんだろう)

人差し指と中指を立てて気を溜める

それを、足元の地面に向けて放つ

(.....おや?
何も無い....)
と、思った瞬間、地の底から衝撃波が襲う

「ひゃっ❗️」

驚いたアリスがお腹を庇った

(やっぱりうさぎちゃんは、おしがまをして楽しんでいるんだね)

(kameちゃん、内緒ですよ)

おしがまとは、おしっこ我慢の略だ

女性だけが楽しめる性の遊びのひとつらしい

女性はおしっこを溜めて我慢することで、小さな快感を得ることができる人もいる

アリスはおしがまが好きなので、今日も楽しんでいたらしい

(でも、びっくりするとおしっこをチビるから、この先が心配なんだけど...)

(うさぎはおしっこチビったりしません)

ルカはアリスのおしがまには気付いていないようだ

九郎の技を真似て気を溜めたり、手を動かしたりしている

「ここまでが攻撃範囲の違いだ

次からは威力を上げていく」

気を使った技は筋肉で殴るのとはずいぶん違いがある

肉体にダメージを与えること以外に、精神や幽体にダメージを与えることもできる

相手の心をぶっ飛ばせるのが気の特徴だ

とは言え、気をそのまま撃ち出しても殺気になるだけなので、気の質を変える必要がある

1番簡単なのが気を風に変える方法だ

その上位に衝撃や雷撃に変換する技法がある

なので、気を使った技は「風」「烈」「雷」の3種類に大別される

それらを撃ち出す範囲によって「弾」「破」「爆」と分けている

なので技名はこの2つの組み合わせが基本となる

「風弾」「風破」「風爆」
「烈弾」「烈破」「烈爆」
「雷弾」「雷破」「雷爆」

この9種が基本となるが、威力を上げることで名前が変わる

「指弾」はおまけみたいなものだが、上記以外に「刃断」などの独立した技もある

「威力を大幅に上げるから、もっと離れてくれ」

九郎の言葉に後ろに下がる2人

九郎が気を高める

コンクリートの壁の前に立つ

拳が届く間合いだ

烈弾の上位の技《気功烈弾》を放つ

拳に圧縮した気を纏い、インパクトの瞬間に任意の方向に気を撃ち出す技だ

実際には、拳が壁に当たってはいない

爆音と共に鉄筋コンクリートの壁が打ち砕かれる

アリスを救助に行った時に使った技だ

コンクリートは砕けて飛び散り、鉄筋は寸断され捻じ曲がっている

まるでロケット弾が直撃したように見える

言葉も無く目を見開く2人

(.....スゴいです)

(こんなに威力があるんだね)

初めて見たアリスは、お腹を押さえることも忘れている

九郎が、アリスとルカにさらに離れるように言う

少し変な歩き方で移動するアリスは、ちょっとチビったのかもしれない

(パンツ冷たくない?)

(ないです)

アリスは強がりを言った

「さらに威力の高い技を撃つ

心して見ろ」

九郎の気が爆発的に跳ね上がる

アリスを庇うようにルカが前に立つ

気功烈弾の上位の技《天空烈弾》を九郎が放つ

肉体に同化させた幽体の腕の中に超高圧に収束した気を一気に爆発させて拳から撃ち出す技だ

まるで戦艦大和の46センチ3連装主砲を拳から撃ち出したような威力だ

気は一点に威力を集中することもできるが、対象物に均等に威力を分散させることもできる

「ひっ💦」

悲鳴を上げる暇もない

凄まじい衝撃が2人を襲う

粉塵が暴れ狂う

衝撃や粉塵をルカが気で押し留める

粉塵の向こうで、大きな質量のモノが動いてる気配がする

粉塵の中から九郎が歩いて来た

どんな事がおこっているのか想像もできない

少しずつ粉塵が収まってきた

「解体完了だ」

そこにあった巨大なビルが崩壊して吹き飛ばされていた

「じゅ~っ💦」

(でちゃったよ💦
どうしようkameちゃん)

おしっこをちびるアリス

(必死に堪えるしかないね)

(kameちゃんは冷たいです)

(冷たいのはうさぎちゃんのパンツでしょ)

ギリギリ決壊は免れたようだが、ふとももをおしっこが伝っている

(今はまだ暖かいです)

今すぐに股間を押さえたい気持ちを抑えて、アリスは両手で口を押さえた

「.....ぁあ....,」

(恥ずかしいです)

アリスの頬の色が、少し赤味が強くなっていた

九郎がアリスの前に立った

「アリスはどうして手技を使わない❓」

九郎がアリスに問う

(真面目に答えるんだよ
うさぎちゃん)

「犯罪者は汚いから、靴底以外で触りたくないです」

思いがけない返答に、九郎が笑った

(ぜんぜん真面目な答えじゃないじゃん)

「技の習得のためには、手技も覚えてほしい」

(いつも真面目です)

アリスが小さく拳を握った

「.....頑張ります」

アリスは少し、照れたような表情を見せた

そして
アリスは《天空雷弾》
ルカは《天空烈弾》
をマスターすることが目標になった
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