中条景泰に転生した私。場所は魚津。目の前には織田の大軍。当主も越後に去り、後は死を待つばかり。今日は天正10年の6月2日……ん!?

俣彦

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中条景泰「ここに籠っていても……。」
寺島長資「あぁ。ただ死を待つばかりでしかない。ただ殿は我らに対し……。」

 降伏する事を許された。

寺島長資「ここに居る将全員に、これまでの武勲や忠義を称賛。その上で、今後織田に降ったとしても背信行為とは見做さない。と書状に認めていただいた。」
中条景泰「……はい。」
寺島長資「これを受け城内で協議した。そこには我らの祖父や父も居る。越後に所縁のある方も居れば、加賀や下野等途中から上杉に仕えた方々も居る。ただ皆の気持ちは一致していた。それは……。」

 最期の最期まで戦い続ける。

寺島長資「ここを抜かれれば、今目の前に居る全ての織田軍が越後に雪崩れ込む事になる。信濃と上野からの侵攻。並びに新発田の反乱を押さえるのに手一杯となっている所に斯様な事態に陥ったら越後は持たない。後待っているのは……。」

 裏切りの連鎖と上杉の滅亡。

寺島長資「ただ我らの力では、織田を追い払う事は出来ない。出来ないが、時間を遅らせる事は可能。さすれば何か状況が変わるかも知れぬ。そう信じ……3ヶ月。敵の侵入を阻止して来たのであったのだが……。」
中条景泰「状況は悪化の一途を辿るばかり?」
寺島長資「玉薬の差は如何ともし難いし、人間の体力は無限では無い。今、戦える者は数百に過ぎぬ。これに対し敵は数万。常に新手を送り込む事が出来、我らが持っていない大筒を放り込んで来る。精度は低いが、命中した時の被害は甚大。それに……。」
中条景泰「凄まじい轟音ですね……。」
寺島長資「音で以て休む暇を与えない戦術を採っている。そんな中、お前……。」

 よく眠る事が出来たよな?

寺島長資「お前も覚悟を決めた。と言う事か?」
中条景泰「何を?でありますか?」
寺島長資「……まだ寝ぼけているのか?」
中条景泰「すみません。」
寺島長資「いや、褒めているんだよ。ただ調子に乗るなよ。お前は昔、そうやって命を落とし掛けた事があったんだからな。」
中条景泰「えっ!?」
寺島長資「初陣の時の事、忘れたのか?結果残すため、無謀な突進を試みた事を。亡き御館様が
『このままではまずい。』
と判断されてお前を監禁した事を。」
中条景泰「(そう言う人物なんだ……)……そのような事もありましたね。」
寺島長資「今は立派な将の一人として成長したがな?」
中条景泰「ありがとうございます。ところで……。」
寺島長資「どうした?」
中条景泰「先程から気になっている事が?」
寺島長資「なんだ?言ってみよ。」
中条景泰「あの……。」

 木の板に書かれている文字と、耳に穴を開けようとしている理由を教えて下さい。
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