中条景泰に転生した私。場所は魚津。目の前には織田の大軍。当主も越後に去り、後は死を待つばかり。今日は天正10年の6月2日……ん!?

俣彦

文字の大きさ
25 / 66

誘致

しおりを挟む
 出浦盛清の言を受けた直江兼続は、今居る長沼城を島津忠直に。木曽義昌との境に位置する牧之島城を芋川親正に託し、自らは北信濃の拠点である海津に入城。そこで北信濃の国衆に対し、所領安堵と引き換えに新発田重家に備える事を指示したのでありました。そんな中……。

直江兼続「中条殿。」
中条景泰「如何為されましたか?」
直江兼続「出浦殿に聞いて欲しい事があるのだが。」
中条景泰「構いません。一体どのような?」

出浦盛清「深志の連中が木曽から離れたいと?」
中条景泰「はい。深志には小笠原氏が治めていた頃からの方々が多いと聞いています。」
出浦盛清「信玄公が入られて以降も当地で活躍され、今もそれは変わっていません。その彼らが?」
中条景泰「はい。木曽の事を快く思っていないとの事。先程も申しましたが、彼らは元々小笠原の家臣。そして上杉には……。」

 小笠原の血を受け継ぐ人物が居ます。

出浦盛清「『主家再興に手を貸してください。』
と言った所でありますか?」
中条景泰「はい。」
出浦盛清「これを私に尋ねて来た。と言う事は……。」

 海津城。

中条景泰「直江様の懸念。間違っていませんでした。小笠原の旧臣は、織田の信濃入りに合わせ深志城を攻撃。所領安堵を得ています。その後、当地に入った木曽義昌に従い活動をしています。その間わずか3ヶ月。」
直江兼続「火事場泥棒を働こうと画策している?」
中条景泰「しかも彼らは以前……。」

 武田信玄の深志攻めにも呼応しています。

中条景泰「『奴らは裏切りの常習犯。状況が変われば平気で前言を翻す連中であります。斯様な者共に無駄な労力を割く必要はありません。』
との事であります。」
直江兼続「深志は魅力的な場所であり、木曽領を分断する事も出来る。ただそこに居る連中を?」
中条景泰「信用する事は出来ません。加えて彼らを別の場所に移す事は?」
直江兼続「小笠原家再興が目的である以上難しい。」
中条景泰「となると芋川様を牧之島から別の前線に移す事も?」
直江兼続「これも難しい……。ただ断るのも勿体ない……。」
中条景泰「直江様。」
直江兼続「如何為されましたか?」
中条景泰「『上杉は海津に入ったのは森長可様の要請に因ってであります。森様は織田の家臣。織田家の求めに応じ動いたのであります。一方、深志を治めているのは木曽義昌様。こちらも織田の家臣。その木曽様からの求めが無い限り、上杉は動く事は出来ません。』
これで宜しいのでは無いでしょうか?」
直江兼続「……そうだな。それに彼らは上杉と縁があるわけでは無いからな……。」
中条景泰「はい。加えて出浦様は、別の懸念も示しています。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。 半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。 だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。凛人はその命令を、拒否する。 彼は、大地の女神により創造された星骸と呼ばれる伝説の六英雄の一人を従者とし、世界を知るため、そして残りの星骸を探すため旅に出る。 しかし一つ選択を誤れば世界が滅びる危うい存在…… 女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。 これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。 現代では中世近世史を研究する大学講師。 史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。 ならば変える。 剣でも戦でもない。 政治と制度、国家設計によって。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、 戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。 これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。 戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。 (2月15日記) 連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。 一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (当面、月、水、金、土、日の更新)

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった

雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。 天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。 だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。 鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。 一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。 朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。 悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。 目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。

処理中です...