旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

俣彦

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絶望

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 板垣信方らが山内上杉の援軍を破った翌日。水の手が断たれる中、10日にも及ぶ武田晴信の城攻めに耐えて来た志賀城の兵は、援兵の到来を今か今かと待っていました。やがて東の空が白み始め。かがり火が無くとも周りを視認できるようになった城兵たちはそこで。前日までには無かった。城の外の光景を目にするのでありました。

『あれはなんだ!?』

城兵らが見つけたのは整然と並べられた無数の円い物体。信越国境に阻まれ、なかなか姿を見せなかったお日様が徐々に徐々に顔を出し始め、これまで黒一色であった円い物体に様々なコントラストが映し出されるようになったその時、彼らが目にしたもの。それは数千にも及ぶ人の首。板垣信方らが小田井原に留まった理由。それは……。



真田幸隆「討ち取った山内上杉の兵の首を刈り取るためでありました。」



 最初。あまりに現実離れした光景に何が何だかわからなかった城内でありましたが。武田晴信による包囲は続いている。と言うことは、ここに並べられた首は武田方の兵ではない。……となるとここに並べられた幾千にも及ぶ首の持ち主は……。



私(村上義清)「援軍として向かうはずであった山内上杉の兵。」



 1944年ナチスドイツにより収容されたユダヤ人の中で、1つの噂が流れました。

『クリスマスになれば解放される。』

これを頼みに日々を生きていくもクリスマスには解放されず。その後どうなったのか。ここから新年を迎えるまでの一週間の間に、これまでには無かった数のかたがたがお亡くなりになられた。病気が流行ったわけでもなければ、いつも以上に刑の執行が行われたわけでもない……。

『クリスマスには戻れる。その日までは……。』

と言う希望を抱いてしまったがため、その希望が絶たれたことが原因と言われています。



真田幸隆「全ての望みが絶たれた城兵の士気は著しく低下。3日後。武田晴信は総攻撃を仕掛け、翌日。城主笠原清繁と先に城に入っていた山内上杉家臣高田憲頼が討ち取られ、志賀城は落城しました。武田の勢いは収まらず晴信は碓氷峠を越え、上野へと兵を進めます。」 

私(村上義清)「憲政は北条と武田に挟み撃ちされる格好になった……。」

真田幸隆「見方を変えれば我らと山内上杉とで武田を挟むことになったとも言えますが。」

私(村上義清)「本気で言ってるのか。」

真田幸隆「山内上杉次第ですね……。」

私(村上義清)「お前が先陣となって武田晴信に突っ込むか?」

真田幸隆「うちは専守防衛を国是にしております故。」

私(村上義清)「前。お前に『甲斐を奪え』と言われたように思うのであるが……。このままだと憲政は持ちこたえることは出来ないぞ。」

真田幸隆「はい。ただ晴信もさすがに指し過ぎでありました。上野まで主力を進めてしまいましたため、本国である甲斐との距離が離れ過ぎてしまいました。その隙を狙うものがおりまして……。」

私(村上義清)「同盟関係にある北条と今川は無いとなると……。諏訪を狙う高遠?」

真田幸隆「担がれる神輿は彼になりますが、主力となったのは小笠原。この報を受けた晴信は急ぎ上野から兵を引き、諏訪へと向かったのでありました。」
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