189 / 625
瓦解
しおりを挟む
今川氏真が松平元康らによる三河の反乱の鎮圧に乗り出していた丁度その頃関東にも動きが……。
私(村上義清)「そうか。輝虎は唐沢山を落とすことが出来なかったのか……。」
真田幸隆「はい。」
3月。昨年末落とすことが出来なかった下野唐沢山城を攻略すべく再度兵を出した上杉輝虎でありましたが城の堅牢さに手を焼き撤退。
私(村上義清)「(関東公方が居る)古河城との連絡はどうなっている?」
真田幸隆「輝虎が2月に舘林城を攻め落としていますので人と物資の行き来に問題は生じておりません。」
私(村上義清)「(唐沢山の)佐野のほうはどうだ?」
真田幸隆「あの城があって初めて輝虎の攻撃を防ぐことが出来ているのが実状であります故、彼(佐野昌綱)が外に兵を繰り出すことはあり得ません。」
私(村上義清)「氏康はどうしている?」
真田幸隆「唐沢山の後詰のために兵を動かしてはいますが、(関東に)輝虎が居ますので本気で戦おうとしているとは思えませぬ。」
私(村上義清)「とりあえず古河城は安泰。」
真田幸隆「……なら良いのでありますが……。」
私(村上義清)「何か起こっているのか?」
真田幸隆「公方(足利藤氏)様が騒いでいます。」
私(村上義清)「似たようなことが少し前にあったような気がするのだが。」
真田幸隆「はい。その時は『輝虎が戻ってくれば治まるから。』と関白様や憲政が説き伏せたのでありましたが、その輝虎が唐沢山を攻略することが出来ませんでしたので。」
私(村上義清)「『お前らが言っていた輝虎はいったいなんだ!あんな小城1つ落とすことが出来ないのか!!北条がこっちに向かっているのだぞ!!!もし私の身に何かあったらお前らはどう責任を取るつもりなのか!!!!』とでも(藤氏は)言っているのかな?」
真田幸隆「ほぼ間違いないかと思われます。」
私(村上義清)「で。輝虎はどうしようとしているのだ?」
真田幸隆「古河城に居る関白様と憲政を引き取るとのことであります。」
私(村上義清)「厩橋城にか?」
真田幸隆「一時的にはそうなりますが。」
私(村上義清)「違うのか?」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「どこへ引き取るのだ?」
真田幸隆「越後です。」
私(村上義清)「関東を棄てるのか?」
真田幸隆「関東を棄てることはありません。輝虎は残りますし、兵の駐屯も続けます。ただ公方様につきましては……。」
私(村上義清)「古河城に置いておく。」
真田幸隆「関白様の強い御意向が反映されての措置であります。」
私(村上義清)「それを聞いて藤氏は?」
真田幸隆「関白様との同道を拒絶されてしまった以上、(古河城に)残らざるを得ないでしょうね。」
私(村上義清)「そうか。輝虎は唐沢山を落とすことが出来なかったのか……。」
真田幸隆「はい。」
3月。昨年末落とすことが出来なかった下野唐沢山城を攻略すべく再度兵を出した上杉輝虎でありましたが城の堅牢さに手を焼き撤退。
私(村上義清)「(関東公方が居る)古河城との連絡はどうなっている?」
真田幸隆「輝虎が2月に舘林城を攻め落としていますので人と物資の行き来に問題は生じておりません。」
私(村上義清)「(唐沢山の)佐野のほうはどうだ?」
真田幸隆「あの城があって初めて輝虎の攻撃を防ぐことが出来ているのが実状であります故、彼(佐野昌綱)が外に兵を繰り出すことはあり得ません。」
私(村上義清)「氏康はどうしている?」
真田幸隆「唐沢山の後詰のために兵を動かしてはいますが、(関東に)輝虎が居ますので本気で戦おうとしているとは思えませぬ。」
私(村上義清)「とりあえず古河城は安泰。」
真田幸隆「……なら良いのでありますが……。」
私(村上義清)「何か起こっているのか?」
真田幸隆「公方(足利藤氏)様が騒いでいます。」
私(村上義清)「似たようなことが少し前にあったような気がするのだが。」
真田幸隆「はい。その時は『輝虎が戻ってくれば治まるから。』と関白様や憲政が説き伏せたのでありましたが、その輝虎が唐沢山を攻略することが出来ませんでしたので。」
私(村上義清)「『お前らが言っていた輝虎はいったいなんだ!あんな小城1つ落とすことが出来ないのか!!北条がこっちに向かっているのだぞ!!!もし私の身に何かあったらお前らはどう責任を取るつもりなのか!!!!』とでも(藤氏は)言っているのかな?」
真田幸隆「ほぼ間違いないかと思われます。」
私(村上義清)「で。輝虎はどうしようとしているのだ?」
真田幸隆「古河城に居る関白様と憲政を引き取るとのことであります。」
私(村上義清)「厩橋城にか?」
真田幸隆「一時的にはそうなりますが。」
私(村上義清)「違うのか?」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「どこへ引き取るのだ?」
真田幸隆「越後です。」
私(村上義清)「関東を棄てるのか?」
真田幸隆「関東を棄てることはありません。輝虎は残りますし、兵の駐屯も続けます。ただ公方様につきましては……。」
私(村上義清)「古河城に置いておく。」
真田幸隆「関白様の強い御意向が反映されての措置であります。」
私(村上義清)「それを聞いて藤氏は?」
真田幸隆「関白様との同道を拒絶されてしまった以上、(古河城に)残らざるを得ないでしょうね。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
転生 上杉謙信の弟 兄に殺されたくないので全力を尽くします!
克全
ファンタジー
上杉謙信の弟に転生したウェブ仮想戦記作家は、四兄の上杉謙信や長兄の長尾晴景に殺されないように動く。特に黒滝城主の黒田秀忠の叛乱によって次兄や三兄と一緒に殺されないように知恵を絞る。一切の自重をせすに前世の知識を使って農業改革に産業改革、軍事改革を行って日本を統一にまい進する。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる