旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

他人の

真田幸隆「鉢形、滝山両城に限らず。周囲の支城に至るまで、出て来た敵を殿と四郎が徹底的に追い払う。もしくは城に追い込みます。豊富な軍資金を使うのはここからであります。」

私（村上義清）「それまでは？」

真田幸隆「自力で頑張ってください。尤もうちの外いくさにおいて種子島を駆使します。費用が嵩む戦術でありますので、当然資金は投下します。」

私（村上義清）「俺の方にあったか？」

真田幸隆「投下したのは四郎であります。四郎は関東管領の仕事として参陣していますので。」

私（村上義清）「俺は？」

真田幸隆「殿は本来信濃を守るべき立場。そんな殿が関東で戦う事は私戦以外の何者でもありません。当然、その費用は自弁となります。」

私（村上義清）「（納得いかない……。）」

真田幸隆「四郎を帰した理由わかるでしょう？」

私（村上義清）「他人の金で戦っている事を忘れ、戦果を誇っていたからか？」

真田幸隆「仰せの通り。」

私（村上義清）「自弁でいくさをさせるのか？」

真田幸隆「虎綱次第でしょう。彼の事ですからいくさをさせる事は無いでしょう。ただ……。」

私（村上義清）「ただ？」

真田幸隆「現実を突きつける事になるのは確かであります。四郎の管轄である諏訪高遠からの収益で、四郎が関東で行ったいくさと同じ事を再現する事が出来るのか？出来ないのか？仮に出来たとした場合、それを永続する事は可能であるのか？無いのか？もし続けるとした場合、どのような事をしなければならないのか？を実際に掛かった費用を示しながらの指導になると思われます。」

私（村上義清）「『無闇にいくさをするんじゃないぞ。』と……。」

真田幸隆「１つ１つのいくさに強いが故。危険であります。本来であれば負け戦を経験させた方が良いのかもしれませんが、いくさが大規模化しています。１つの負けが致命傷に繋がる恐れがありますので。」

私（村上義清）「それでわかってくれると良いけどな……。」

真田幸隆「こればかりは経験ですから。しかし負けるわけにはいきませんので。」

私（村上義清）「そうだな。ところで？」

真田幸隆「何でしょうか？」

私（村上義清）「掛かった費用は虎綱の所に……。」

真田幸隆「はい。送付しています。」

私（村上義清）「四郎が使った金額だけ？」

真田幸隆「いえ。遠征費用に外いくさで使った玉薬。城取から修復、築城に至るまでの予測であります。そこまでして初めて勝利を収めた事になりますので。」

私（村上義清）「俺にも見せてくれる。」



　一通り目を通して……。



私（村上義清）「越後と喧嘩は出来ないな……。」