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太田田んぼ
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どうしても越後に頼らざるを得ない種子島と玉薬は仕方無いにせよ、食糧と燃料は自前で確保しなければ。と考える真田幸隆。そのために是が非でも確保したいと考えている場所。それは……。
真田幸隆「北を流れる荒川を遡った地域一帯。秩父であります。北条が秩父に至るためには、ここ鉢形を攻略しなければなりません。彼の地の周辺は山岳地帯。燃料となる木材が豊富にあります。」
私(村上義清)「食糧は?」
真田幸隆「はい。盆地であり山地でありますので、冬の寒さが厳しいのは信濃と変わりありません。しかし夏は違います。高温であります。故にコメの作付が行われています。とりわけ(地図を指し示しながら)ここ太田には1町歩毎に整然と区画された田んぼが実に40枚あります。どうやら太田は古代に整備されたものがそのまま使われている模様であります。」
私(村上義清)「そのまま使われている。と言う事は、稲の栽培に向いている場所?」
真田幸隆「そう見て間違いありません。」
私(村上義清)「そこの国人は?」
真田幸隆「氏邦に属しています。」
私(村上義清)「攻略は?」
真田幸隆「北条の親族の家臣でありますので待遇は悪くありませんし、氏邦が当地に入ってから10年。内部分裂を謀るのは難しい所があります。」
私(村上義清)「そうなると力攻めか……。」
真田幸隆「ただ稲を扱う以上、耕作従事者は必要でありますし、田を荒らしたくはありません。故に秩父の国人の戦闘従事者を別の場所で叩き、もぬけの殻となった所を狙いたいものであります。」
私(村上義清)「そうなると鉢形……。いやそこは駄目だな。」
真田幸隆「はい。北条の主力への対応で手一杯になってしまいますし、上野との国境に近い場所でのいくさは避けなければなりません。」
私(村上義清)「別の場所で北条が、鉢形と同等。それ以上の価値を見出している地となると……。」
真田幸隆「先だって手に入れました滝山になります。」
私(村上義清)「小田原から近いぞ。」
真田幸隆「承知しています。」
私(村上義清)「まともな退却路も無いぞ。」
真田幸隆「存じ上げています。」
私(村上義清)「それでもやるのか?」
真田幸隆「武田と北条が敵対している今の好機を逃してはなりません。あとは北条にとって城以外の大きな餌が必要であります。」
私(村上義清)「俺だろ?」
真田幸隆「ありがとうございます。」
戻って。
真田幸隆「秩父の国人が氏邦と合流した情報は得ている。その後、(鉢形に駐屯している幸隆嫡男の)信綱が秩父へ兵を動かしている。あとは殿が氏邦を叩いたと言う情報が舞い込めば……。」
真田幸隆「北を流れる荒川を遡った地域一帯。秩父であります。北条が秩父に至るためには、ここ鉢形を攻略しなければなりません。彼の地の周辺は山岳地帯。燃料となる木材が豊富にあります。」
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私(村上義清)「そうなると鉢形……。いやそこは駄目だな。」
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