旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦

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三瀬の変

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 小浜景隆より急使が到着。



武藤喜兵衛「此度は?」

私(武田勝頼)「北畠具教が……織田信雄に討たれた……。」



 織田信雄は北畠一族の誅殺を指示。意を受けた3名が兵を潜ませ北畠の当主具教の御所に赴き面会。その席で抜刀。内通者により刀に細工が施されていた具教は敢え無く討ち死に。具教の四男五男も討たれる等殉死も含め50名近い者がその場で命を絶たれたのでありました。

 時を同じくして織田信雄は拠点の田丸城に北畠の一門を呼び寄せた挙句殺害。粛清から逃れた者は多岐の要害に籠るも信雄は即座に兵を展開。10日持たずで陥落の憂き目を見たのでありました。



武藤喜兵衛「小浜様は無念でありましょう。」

私(武田勝頼)「うちとしても痛いな……。」



 北畠具教は武田信玄の西上作戦の際、船を出すなどの協力を買って出てくれた人物。



私(武田勝頼)「小浜の話だと、その事は信雄も把握していたそうな。熊野を攻めたのもその一環。具教に近い人物を排除するためだった。しかし失敗に終わってしまった事が此度の北畠家一掃に結び付いてしまったそうな。」

武藤喜兵衛「そうでありましたか……。そうなりますと信雄の目的は権力基盤の強化にありますね。」

私(武田勝頼)「間違いない。」



 このいくさの結果、北畠の権益であった南伊勢5郡はそのまま織田信雄の家臣に分け与えられたのでありました。



武藤喜兵衛「問題はこの後、信雄が兵を向ける先であります。」

私(武田勝頼)「そうだな。」

武藤喜兵衛「織田家中の者共が望んでいるのは石山でありましょう。」

私(武田勝頼)「間違いない。」

武藤喜兵衛「南伊勢の者を石山に投入する事により、佐久間の負担を減らす事が出来ます。その分を……。」

私(武田勝頼)「苦境に立たされている信康の救援。つまりうちとのいくさに回す危険性があるな。」

武藤喜兵衛「はい。しかしどうでしょう。果たして信雄は石山攻略に本腰を入れる事になるのでしょうか?」

私(武田勝頼)「どうしてそう思う?」

武藤喜兵衛「対石山を考えた場合、織田にとって脅威となっていますのは陸では無く海。毛利の水軍であります。現状、織田は毛利の動きを止める術を持っていません。これを打破するためには、志摩の水軍。九鬼を石山に回さなければなりません。そのためには通り道となります熊野は押さえて置きたい場所であります。」

私(武田勝頼)「そうだな。」

武藤喜兵衛「その事に信雄が気付いていたのであれば、先の熊野であのような中途半端ないくさはしません。対北畠規模の徹底した作戦を決行していたはずであります。それをしなかったと言う事は……。」

私(武田勝頼)「信雄は別の所を見ている?」

武藤喜兵衛「可能性はあります。」
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