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2章
連れて行かれたクリア
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昨日の興奮が冷めやらないサリアは朝食の席でもクリアや父に昨日自分が体験した出来事を説明していた
サリア「それでね!三角の帽子に杖も持ってたんだよ!」
サリアは目を輝かせ父であるジェームズに言った
ジェームズ「魔法使いかかぁー、まだこの町にもいたんだなぁ
パパがサリアくらいの年のころには少しは町でも見かけたんだけど…」
ジェームズは懐かしそうにそう言うと木苺ジャムをパンにたっぷりと塗り新聞片手に頬張った
サリア「えー!そうなの!?すごいすごーい!でも何で町からいなくなっちゃった
の?」
サリアは椅子から勢いよく立ち上がると身を乗り出して父に聞いた
クリア「サリアちゃん、女の子なんだからもっと上品にね…」
クリアは咳ばらいをしサリアを戒めた
サリア「わかったよー…」
サリアはふて腐れたように椅子に腰を下ろすとパンにジャムを塗って食べ始めた
クリア「昔まだ魔法が生きていた時代、人々のよりどころは魔法だったの
魔法使いさんたちもそのために町に多くの仕事があったわ
薬草を用いる民間療法や明日の天候を読み解く占い、災いを逃れて幸運をも
たらすおまじない…今の科学のもとにもなった鉄くずから黄金を生み出す錬
金術…
人々の生活には魔法が活かされていた
でも時代は変わり科学技術が急速に発展するとともに人々は信ぴょう性のあ
る化学を信じて魔法を忘れてしまったの」
クリアは空いた皿を重ねながら言った
ジェームズ「クリアよく知ってるねー
そう、そして仕事を失った魔法使いたちは科学者に転職する者と、占い
師としてひっそり町で生きていく者、そして世を捨て森で隠者として生
活する者とに別れたんだんだ
以来町では魔法使いを見かけることはなくなってしまったというわけ
さ」
ジェームズはそう言い終えるとコーヒーを飲みながら新聞をめくった
サリア「そうなんだ…昔はラピスみたいな人たちがいっぱいいたんだぁ…」
サリアは考え込むようにオレンジジュースを飲む
その時ジェームズがある記事を見つけ見出しを読み上げた
ジェームズ「廃墟と思われていた城の所有者、マンハイム氏入国…
美人と噂される彼女の素顔とは…ふーん…それなりに名の知れた科学者
みたいだ…
ん?廃墟って丘の上のあのでかい城の事か?
それにしてもマンハイム…どこかで聞いたことがあるようなないよう
な…」
ジェームズが考え込んでいたその時、電話がけたたましく鳴ったのでクリアは食器かたずけを後回しにして電話の方に駆けていった
クリア「はいレイモンド人形制作所です
はい、はい…ただいま店主に代わります…
旦那様、制作依頼のお電話が…」
クリアは受話器を押さえながらジェームズに呼びかけた
ジェームズ「あ、ああ、すまないね」
ジェームズはクリアから済まなそうに受話器を受け取った
クリア「いいえ」
クリアは小さな声でそう言うと食器を片付けるためキッチンに向かった
ジェームズ「あー、いつもお世話になっております
はい、はい…わかりましたそれですと…」
お得意様からの電話にジェームズはペコペコ頭を下げたり手帳を確認したりして対応していた
サリアは空になったコップを流し台に持っていくと友達のライラの家に遊びに行くと言い残し家を出た
しかしライラの家に行ってみると彼女はあいにく風邪で寝込んでいたのでサリアは仕方なくそこら辺をぶらぶら散歩することにした
そして通り掛かった河原で腰を下ろすと向こう岸の森をぼんやりと眺めた
サリア「運が良ければかぁ…」
サリアがそう呟きながら森を眺めていると、何かの悲鳴のような鳴き声とともに鳥たちが一斉に羽ばたき逃げていくのが見えた
サリア「何!?どうしたの?」
サリアは勢いよく立ち上がると河原の岩を飛び越え向こう岸に渡った
そして深呼吸をすると意気込んで森の中に入っていった
サリア「確かこの辺りから…」
サリアは恐る恐る茂みをかきわけながら森の中に入って行った
するとそこには背の高い黒髪の女の人が一人いて右の手に鞭を持ち目の前の茂みに話しかけていた
彼女がその何かに出てくるように命じると茂みががさがさと音をたて得体のしれないそれは姿を現した
サリアはそれを見た瞬間腰を抜かした
それは森に住む生き物でもなければ様々な動物が混ざっているかのような怪物的な何かだったからだ
怪物は口から何かの血を滴らせ荒い息遣いをしている
シルビー「そう、美味しいの…ならもっとこの森の生き物を狩ってお食べなさい」
彼女がそう言うとその生き物はまた茂みの中へと消えていった
ジプシー「さすがはシルビー様の実験動物、キメラも狩りがどんどん上達してきまし
たな」
長いローブを頭からすっぽると被った小男がどこからともなく現れシルビーと呼ばれるその女性に話しかけた
サリア(キメラって…あの生き物の事…?)
サリアは震えながら彼らの話に聞き耳を立てた
シルビー「はっきり言ってキメラなんてもうそんなに重要ではないわ
私の欲しいものはあの人形よ」
シルビー服の袖から煙管を取り出すと一吸いし言った
ジプシー「ジェームズめ、きっと人形を手渡すでしょうよ
今さっき我々に似せた分身人形を送りましたから」
ジプシーがクスクスと笑いながら言った
サリア(ジェームズ…パパのこと!?それに人形って…クリア…クリアが危ない!)
悪い予感にかられたサリアは彼らに気付かれないように這うようにその場を抜け出すと急いで家へと戻った
サリア「きっとあの人たち悪い魔法使いなんだ!」
サリアが勢いよく家のドアを開けると、そこには森にいた彼らと父が椅子に腰かけていた
そしてジェームズは何かの書類にサインしていた
サリア「パパ!ダメ!この人たち悪い魔法使いなの!!私、森で見たもの…」
サリアは父を説得しようと服の裾を引っ張り必死にさっき森で見たことを説明しようとしたが、小男が書類をひょいと取り上げ咳ばらいをすると書類の一文を読み上げた
ジプシー「私ジェームズ・レイモンドは故人アダム・レイモンドの代わりにマンハイ
ム伯に借りた1億リルを人形クリアと引き換えに全額返済することをここ
に誓います」
ジプシーはそう言うとその書類をシルビーに渡した
シルビー「はい結構、これであなたの借金はチャラよ、クリアには今後うちの屋敷の
使用人として働いてもらいますので安心しなさい」
シルビーは契約書の控えをジェームズに渡すとセンスを広げながら立ち上がった
サリア「使用人なんて嘘!クリアをどうする気!?それに私あなたが分身だって知っ
てるんだから!」
サリアはシルビーを疑いの目で見ながら詰め寄った
ジェームズ「こ、こら!サリア…」
ジェームズはサリアを戒め自分のもとに引き寄せた
サリア「パパ!この人たちよくわからないけどクリアに悪いことする気よ!」
サリアは父の手を払うと彼らを睨みつけながら言った
シルビー「まあ、威勢のいいお嬢さんだこと、ジェームズ、女の子はもっとか弱く上
品に育てるべきよ?あなたも…お人形さんが身代わりになってくれたこと
に感謝しなくてはね…」
シルビーはそう言うとドアを開け外に出て行った
サリア「………」
その時奥の部屋から荷支度を終えたクリアが出てきた
彼女はサリアを見ると済まなそうに眼をそらした
サリア「クリア!行っちゃダメだよ!!行かないで…」
サリアはクリアに抱きつきながら必死に引き留めた
クリア「サリアちゃん…私…」
クリアはセリアの頭を撫でようと手を伸ばしたが外の馬車からシルビーが咳払いをするとそばにいたジプシーがクリアからサリアを引き離しクリアの背を押し馬車へと連れて行った
クリア「まってください、せめて最後にお別れだけでも…」
クリアの訴えもむなしく小男は馬車に彼女を押し込んだ
サリア「クリア!」
サリアは馬車に駆け寄ろうとしたが危ないと父に腕を掴まれた
ジプシーが手綱を勢いよく叩くと馬車は動き出し彼女の家を後にした
サリア「クリアー!」
サリアは父の手を振り払うと馬車の後を追い駆けだした
続く
サリア「それでね!三角の帽子に杖も持ってたんだよ!」
サリアは目を輝かせ父であるジェームズに言った
ジェームズ「魔法使いかかぁー、まだこの町にもいたんだなぁ
パパがサリアくらいの年のころには少しは町でも見かけたんだけど…」
ジェームズは懐かしそうにそう言うと木苺ジャムをパンにたっぷりと塗り新聞片手に頬張った
サリア「えー!そうなの!?すごいすごーい!でも何で町からいなくなっちゃった
の?」
サリアは椅子から勢いよく立ち上がると身を乗り出して父に聞いた
クリア「サリアちゃん、女の子なんだからもっと上品にね…」
クリアは咳ばらいをしサリアを戒めた
サリア「わかったよー…」
サリアはふて腐れたように椅子に腰を下ろすとパンにジャムを塗って食べ始めた
クリア「昔まだ魔法が生きていた時代、人々のよりどころは魔法だったの
魔法使いさんたちもそのために町に多くの仕事があったわ
薬草を用いる民間療法や明日の天候を読み解く占い、災いを逃れて幸運をも
たらすおまじない…今の科学のもとにもなった鉄くずから黄金を生み出す錬
金術…
人々の生活には魔法が活かされていた
でも時代は変わり科学技術が急速に発展するとともに人々は信ぴょう性のあ
る化学を信じて魔法を忘れてしまったの」
クリアは空いた皿を重ねながら言った
ジェームズ「クリアよく知ってるねー
そう、そして仕事を失った魔法使いたちは科学者に転職する者と、占い
師としてひっそり町で生きていく者、そして世を捨て森で隠者として生
活する者とに別れたんだんだ
以来町では魔法使いを見かけることはなくなってしまったというわけ
さ」
ジェームズはそう言い終えるとコーヒーを飲みながら新聞をめくった
サリア「そうなんだ…昔はラピスみたいな人たちがいっぱいいたんだぁ…」
サリアは考え込むようにオレンジジュースを飲む
その時ジェームズがある記事を見つけ見出しを読み上げた
ジェームズ「廃墟と思われていた城の所有者、マンハイム氏入国…
美人と噂される彼女の素顔とは…ふーん…それなりに名の知れた科学者
みたいだ…
ん?廃墟って丘の上のあのでかい城の事か?
それにしてもマンハイム…どこかで聞いたことがあるようなないよう
な…」
ジェームズが考え込んでいたその時、電話がけたたましく鳴ったのでクリアは食器かたずけを後回しにして電話の方に駆けていった
クリア「はいレイモンド人形制作所です
はい、はい…ただいま店主に代わります…
旦那様、制作依頼のお電話が…」
クリアは受話器を押さえながらジェームズに呼びかけた
ジェームズ「あ、ああ、すまないね」
ジェームズはクリアから済まなそうに受話器を受け取った
クリア「いいえ」
クリアは小さな声でそう言うと食器を片付けるためキッチンに向かった
ジェームズ「あー、いつもお世話になっております
はい、はい…わかりましたそれですと…」
お得意様からの電話にジェームズはペコペコ頭を下げたり手帳を確認したりして対応していた
サリアは空になったコップを流し台に持っていくと友達のライラの家に遊びに行くと言い残し家を出た
しかしライラの家に行ってみると彼女はあいにく風邪で寝込んでいたのでサリアは仕方なくそこら辺をぶらぶら散歩することにした
そして通り掛かった河原で腰を下ろすと向こう岸の森をぼんやりと眺めた
サリア「運が良ければかぁ…」
サリアがそう呟きながら森を眺めていると、何かの悲鳴のような鳴き声とともに鳥たちが一斉に羽ばたき逃げていくのが見えた
サリア「何!?どうしたの?」
サリアは勢いよく立ち上がると河原の岩を飛び越え向こう岸に渡った
そして深呼吸をすると意気込んで森の中に入っていった
サリア「確かこの辺りから…」
サリアは恐る恐る茂みをかきわけながら森の中に入って行った
するとそこには背の高い黒髪の女の人が一人いて右の手に鞭を持ち目の前の茂みに話しかけていた
彼女がその何かに出てくるように命じると茂みががさがさと音をたて得体のしれないそれは姿を現した
サリアはそれを見た瞬間腰を抜かした
それは森に住む生き物でもなければ様々な動物が混ざっているかのような怪物的な何かだったからだ
怪物は口から何かの血を滴らせ荒い息遣いをしている
シルビー「そう、美味しいの…ならもっとこの森の生き物を狩ってお食べなさい」
彼女がそう言うとその生き物はまた茂みの中へと消えていった
ジプシー「さすがはシルビー様の実験動物、キメラも狩りがどんどん上達してきまし
たな」
長いローブを頭からすっぽると被った小男がどこからともなく現れシルビーと呼ばれるその女性に話しかけた
サリア(キメラって…あの生き物の事…?)
サリアは震えながら彼らの話に聞き耳を立てた
シルビー「はっきり言ってキメラなんてもうそんなに重要ではないわ
私の欲しいものはあの人形よ」
シルビー服の袖から煙管を取り出すと一吸いし言った
ジプシー「ジェームズめ、きっと人形を手渡すでしょうよ
今さっき我々に似せた分身人形を送りましたから」
ジプシーがクスクスと笑いながら言った
サリア(ジェームズ…パパのこと!?それに人形って…クリア…クリアが危ない!)
悪い予感にかられたサリアは彼らに気付かれないように這うようにその場を抜け出すと急いで家へと戻った
サリア「きっとあの人たち悪い魔法使いなんだ!」
サリアが勢いよく家のドアを開けると、そこには森にいた彼らと父が椅子に腰かけていた
そしてジェームズは何かの書類にサインしていた
サリア「パパ!ダメ!この人たち悪い魔法使いなの!!私、森で見たもの…」
サリアは父を説得しようと服の裾を引っ張り必死にさっき森で見たことを説明しようとしたが、小男が書類をひょいと取り上げ咳ばらいをすると書類の一文を読み上げた
ジプシー「私ジェームズ・レイモンドは故人アダム・レイモンドの代わりにマンハイ
ム伯に借りた1億リルを人形クリアと引き換えに全額返済することをここ
に誓います」
ジプシーはそう言うとその書類をシルビーに渡した
シルビー「はい結構、これであなたの借金はチャラよ、クリアには今後うちの屋敷の
使用人として働いてもらいますので安心しなさい」
シルビーは契約書の控えをジェームズに渡すとセンスを広げながら立ち上がった
サリア「使用人なんて嘘!クリアをどうする気!?それに私あなたが分身だって知っ
てるんだから!」
サリアはシルビーを疑いの目で見ながら詰め寄った
ジェームズ「こ、こら!サリア…」
ジェームズはサリアを戒め自分のもとに引き寄せた
サリア「パパ!この人たちよくわからないけどクリアに悪いことする気よ!」
サリアは父の手を払うと彼らを睨みつけながら言った
シルビー「まあ、威勢のいいお嬢さんだこと、ジェームズ、女の子はもっとか弱く上
品に育てるべきよ?あなたも…お人形さんが身代わりになってくれたこと
に感謝しなくてはね…」
シルビーはそう言うとドアを開け外に出て行った
サリア「………」
その時奥の部屋から荷支度を終えたクリアが出てきた
彼女はサリアを見ると済まなそうに眼をそらした
サリア「クリア!行っちゃダメだよ!!行かないで…」
サリアはクリアに抱きつきながら必死に引き留めた
クリア「サリアちゃん…私…」
クリアはセリアの頭を撫でようと手を伸ばしたが外の馬車からシルビーが咳払いをするとそばにいたジプシーがクリアからサリアを引き離しクリアの背を押し馬車へと連れて行った
クリア「まってください、せめて最後にお別れだけでも…」
クリアの訴えもむなしく小男は馬車に彼女を押し込んだ
サリア「クリア!」
サリアは馬車に駆け寄ろうとしたが危ないと父に腕を掴まれた
ジプシーが手綱を勢いよく叩くと馬車は動き出し彼女の家を後にした
サリア「クリアー!」
サリアは父の手を振り払うと馬車の後を追い駆けだした
続く
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