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美しきヴァンピオーネ三姉妹
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とある街の丘の上。木々に隠れるように囲まれた場所に、色鮮やかな数十種類のバラが咲き乱れる庭が優雅に佇む洋館があった。
そのお屋敷は、いつできたのかわからない、かなり古い造りをした洋館だったが、時折女性たちの上品な笑い声が聞こえたらしい―――。
***
深夜2時。
空はすっかり闇に隠れ外の世界は口をつぐんだような静寂に包まれていた。
洋館では、2人の美女が赤と金を基調とした広間で食事を楽しんでいた。
「とっても美味しいですわァ、ベニータ姉さま」
一人の美女、セレンナは、トマトと肉を煮込んだ真っ赤なスープに舌鼓をうっていた。
肩まで伸びた美しいブロンドの髪を揺らし、翡翠色の瞳を細めスープの美味しさに頬を綻ばせている。
「ふふ、ありがとうセレンナ。エリザベッタも喜ぶかしら」
もう一人の美女、ベニータは、食べるのが異常に早いようで早々にデザートのケーキに手をつけていた。背中まで伸びた美しいブロンドの髪をした美女は、サファイア色の瞳をにっこりと細めて微笑んでいる。
長女のベニータは、料理全般が得意だ。しかし、スイーツを作るのは三女のセレンナの趣味なのでセレンナが担当している。
毎日こうしていつも2人で料理とデザート、分担して料理を作り、お互いの料理を誉めあいながら食指をとるのが2人の日課だった。
「ええ、きっと喜ぶわ。この二の腕肉の味付けなんて最高よ。久々に上等な肉だわ。筋肉質で」
「あら、セレンナのブレッドケーキも美味しいわよ。ふふ、やっぱり血は女の方がおいしいわね。甘くて芳醇な香りがするわ」
二人の美女はお互いの作った料理を和やかに褒めあい、いつもと変わらず食事をとる。
先に食べ終えたベニータは音を立てす優雅に立ち上がると、ベニータに笑顔で目配せし、と席を立つ。
そして、いつもの赤いアンティーク調のカートに食事をもう一人分乗せるとセレンナを一人残し広間を後にした。
ベニータは、ゆっくりとカートを押しながらいつものようにもう一人の姉妹の元へと向かった。2階の真ん中にある広間の4部屋先、2階の一番端の部屋。
やはりアンティーク調の木の扉をこんこんと優しくノックすると、いつものようにか細いながら膝の裏まで伸びた長いブロンドをベットに流しているも鈴を転がしたようなきれいな声で、
「どうぞ」
と返事が返ってきた。
「エリザべッタ、夕食を持ってきたわ」
ベニータは、白いベットに座っているもう一人の姉妹に声をかけた。
「ありがとう、ベニータ姉様」
そういって弱弱しく微笑んだ美女、次女のエリザベッタは、膝の裏まであるような長いブロンドをベットに滝のように流し、翡翠色とサファイア色をした美しいオッドアイの目をしていた。
エリザベッタは、ベニータを見て嬉しそうに微笑んだ。
「昨日は上質な夫婦が入ってきてね。当分食糧には困らないわ」
ベニータは、ベットの横に置いてある白い一人用の丸テーブルをエリザベッタのいるベットの方へと運び、エリザべッタは、その前に自分の体を運ぶ。
「ごめんなさい。わたくしが生まれつき体が弱いせいで、食料の確保も、調理も家事もすべてベニータ姉様やセレンナに任せっぱなしで」
それは、いつものエリザべッタの口癖だった。
俯いて、いつも自分の体の虚弱さを謝ってばかりのエリザべッタに、ベニータはいつも同じことを言うのだった。
「いつもいいっていってるでしょう?ヴァンピオーネは家族や仲間をとても大切にする種族よ」
ヴァンピオーネ。
この美しき3姉妹は、普通の人間ではなかった。
貴族のように美しいドレスに身を包み、薔薇に囲まれた美しき庭のある洋館で優雅に暮らしている3姉妹は、ヴァンピオーネという吸血鬼の親戚のような種族だった。
「・・・・・」
エリザべッタは、いつもベットの上で生活している。
2人に比べて体が弱く、少し走ったりするだけで息を切らして倒れてしまうのだった。
すると、扉ががちゃりと開いて、セレンナが顔を覗かせた。
「そうよォ、エリザべッタ姉さま」
「セレンナ」
エリザべッタは悪戯っぽく笑うセレンナを見て目を見開いた。
「ヴァンパイアなんかはあろうことか人間と取引をして人間の血を少し摂取すれば生きていけるみたいだけど、あたし達ヴァンピオーネは、三日間人間の血肉を喰らわないと餓鬼状態になって見境なくなっちゃうんだから」
セレンナは、エリザべッタのベットへと人指し指をたてながらすたすた歩いてきた。
「そうよ、エリザベッタ。どのみち自分が生きるために人間を捕まえてこないといけないの。それを手間なんて思わないわ」
ベニータとセレンナは、2人並んで不安そうなエリザべッタを見てにっこり微笑んだ。
「・・・ありがとう。ベニータお姉様、セレンナ」
ベニータと、セレンナは、少し安心した様子のエリザベッタを見て天使のように微笑んだ。
「それにわたし達ヴァンピオーネは、ヴァンパイアと違って不死身。銀の弾丸でも杭を胸に打たれても死なないの。人間は、餓鬼状態のお父様とお母様を捕まえて幽閉したわ。その復讐もとれる、一石二鳥なのよ。寿命で死ぬまでお父様とお母様の残してくれたこのお屋敷で姉妹三人、仲良く暮らしましょう」
「ふふッ、ええ!」
エリザベッタは、大好きな姉妹2人の笑顔でふっと心が和らいで緊張していた頬の筋肉が一気にゆるんだ。
美しきヴァンピオーネ3姉妹は、3人で手を繋ぎ、顔を見合わせて微笑みあった。
そのお屋敷は、いつできたのかわからない、かなり古い造りをした洋館だったが、時折女性たちの上品な笑い声が聞こえたらしい―――。
***
深夜2時。
空はすっかり闇に隠れ外の世界は口をつぐんだような静寂に包まれていた。
洋館では、2人の美女が赤と金を基調とした広間で食事を楽しんでいた。
「とっても美味しいですわァ、ベニータ姉さま」
一人の美女、セレンナは、トマトと肉を煮込んだ真っ赤なスープに舌鼓をうっていた。
肩まで伸びた美しいブロンドの髪を揺らし、翡翠色の瞳を細めスープの美味しさに頬を綻ばせている。
「ふふ、ありがとうセレンナ。エリザベッタも喜ぶかしら」
もう一人の美女、ベニータは、食べるのが異常に早いようで早々にデザートのケーキに手をつけていた。背中まで伸びた美しいブロンドの髪をした美女は、サファイア色の瞳をにっこりと細めて微笑んでいる。
長女のベニータは、料理全般が得意だ。しかし、スイーツを作るのは三女のセレンナの趣味なのでセレンナが担当している。
毎日こうしていつも2人で料理とデザート、分担して料理を作り、お互いの料理を誉めあいながら食指をとるのが2人の日課だった。
「ええ、きっと喜ぶわ。この二の腕肉の味付けなんて最高よ。久々に上等な肉だわ。筋肉質で」
「あら、セレンナのブレッドケーキも美味しいわよ。ふふ、やっぱり血は女の方がおいしいわね。甘くて芳醇な香りがするわ」
二人の美女はお互いの作った料理を和やかに褒めあい、いつもと変わらず食事をとる。
先に食べ終えたベニータは音を立てす優雅に立ち上がると、ベニータに笑顔で目配せし、と席を立つ。
そして、いつもの赤いアンティーク調のカートに食事をもう一人分乗せるとセレンナを一人残し広間を後にした。
ベニータは、ゆっくりとカートを押しながらいつものようにもう一人の姉妹の元へと向かった。2階の真ん中にある広間の4部屋先、2階の一番端の部屋。
やはりアンティーク調の木の扉をこんこんと優しくノックすると、いつものようにか細いながら膝の裏まで伸びた長いブロンドをベットに流しているも鈴を転がしたようなきれいな声で、
「どうぞ」
と返事が返ってきた。
「エリザべッタ、夕食を持ってきたわ」
ベニータは、白いベットに座っているもう一人の姉妹に声をかけた。
「ありがとう、ベニータ姉様」
そういって弱弱しく微笑んだ美女、次女のエリザベッタは、膝の裏まであるような長いブロンドをベットに滝のように流し、翡翠色とサファイア色をした美しいオッドアイの目をしていた。
エリザベッタは、ベニータを見て嬉しそうに微笑んだ。
「昨日は上質な夫婦が入ってきてね。当分食糧には困らないわ」
ベニータは、ベットの横に置いてある白い一人用の丸テーブルをエリザベッタのいるベットの方へと運び、エリザべッタは、その前に自分の体を運ぶ。
「ごめんなさい。わたくしが生まれつき体が弱いせいで、食料の確保も、調理も家事もすべてベニータ姉様やセレンナに任せっぱなしで」
それは、いつものエリザべッタの口癖だった。
俯いて、いつも自分の体の虚弱さを謝ってばかりのエリザべッタに、ベニータはいつも同じことを言うのだった。
「いつもいいっていってるでしょう?ヴァンピオーネは家族や仲間をとても大切にする種族よ」
ヴァンピオーネ。
この美しき3姉妹は、普通の人間ではなかった。
貴族のように美しいドレスに身を包み、薔薇に囲まれた美しき庭のある洋館で優雅に暮らしている3姉妹は、ヴァンピオーネという吸血鬼の親戚のような種族だった。
「・・・・・」
エリザべッタは、いつもベットの上で生活している。
2人に比べて体が弱く、少し走ったりするだけで息を切らして倒れてしまうのだった。
すると、扉ががちゃりと開いて、セレンナが顔を覗かせた。
「そうよォ、エリザべッタ姉さま」
「セレンナ」
エリザべッタは悪戯っぽく笑うセレンナを見て目を見開いた。
「ヴァンパイアなんかはあろうことか人間と取引をして人間の血を少し摂取すれば生きていけるみたいだけど、あたし達ヴァンピオーネは、三日間人間の血肉を喰らわないと餓鬼状態になって見境なくなっちゃうんだから」
セレンナは、エリザべッタのベットへと人指し指をたてながらすたすた歩いてきた。
「そうよ、エリザベッタ。どのみち自分が生きるために人間を捕まえてこないといけないの。それを手間なんて思わないわ」
ベニータとセレンナは、2人並んで不安そうなエリザべッタを見てにっこり微笑んだ。
「・・・ありがとう。ベニータお姉様、セレンナ」
ベニータと、セレンナは、少し安心した様子のエリザベッタを見て天使のように微笑んだ。
「それにわたし達ヴァンピオーネは、ヴァンパイアと違って不死身。銀の弾丸でも杭を胸に打たれても死なないの。人間は、餓鬼状態のお父様とお母様を捕まえて幽閉したわ。その復讐もとれる、一石二鳥なのよ。寿命で死ぬまでお父様とお母様の残してくれたこのお屋敷で姉妹三人、仲良く暮らしましょう」
「ふふッ、ええ!」
エリザベッタは、大好きな姉妹2人の笑顔でふっと心が和らいで緊張していた頬の筋肉が一気にゆるんだ。
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