最強願望~二度目の人生ハードライフ〜

平涼

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第二章 少年編

第十九話 激怒

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 「やはり、君は初めに殺すべきだったね」

 フラウスが笑顔で不気味なことを言ってきた。

 ただ。ちょっと待ってほしい。

 ......俺犯人アンリって言おうと思ってたんですけど。

 まああっちがそう言ってるわけだし結果オーライだ。

 「......どうして。あなたがこんなことを」

 リリアは信じられない顔をしていた。

 「どうしてだって?あんたがいたからさ。リリア・ラウレッタお嬢様。あんたはラウレッタ家の娘さ。ラウレッタ家はこの村では知られてないかもしれないが結構有名な貴族だぞ。その血を引いている奴が学校にいくなんてな。所詮はあいつの娘か」

 この世界では位の高いものだけが下の名前を付けられるらしい。

 だから、やはりリリアは貴族か何かか。

 「どうしてこんなことをしようと思ったんだ?」

 俺は冷静に聞いた。

 「そうだな。一つ昔話をしてやろう。こいつ、リリアの親父ケールに俺は使えていた。こいつは貴族になれそうな位だった。だがこいつには一つやってはいけないことをした。それはただの村人、お前の母親エリアと恋人になったのさ。貴族になるものは他の貴族と結婚しないといけないのにだ。だがケールはやはりいけないと思い別れようとした。だが別れることが出来なかった」

 「リリアが生まれることが分かったからか?」

 俺は聞いた。

 フラウスは頷き続きを話した。

 「そうだ。リリアが生まれることが分かったケールはエリアと一緒にどうするか考えた。なんせケールの血を引くやつだ。もしかしたら、これから貴族がらみの事で何かあるかもしれないからな。だから、エリアの実家にお前を預けることにした。自分の護衛の二人を連れてな。そこで選ばれたのが、俺とアンリだったよ。初め選ばれたときは、こいつらにいつか復讐してやろうと思った。だが、よく考えたら、こいつを貴族にしたら、俺はリリアと一緒にずっと使えている。もしかしたら、俺はいい位に付けるかもしれない。だから俺はオッケーした。アンリはなんでかは知ら無いがな。それでリリアが無事生まれ俺達は村長の家に行った。初めはエリアも一緒に残る予定だったが、ある噂が流れていた為、ケールと一緒に帰ることになった。お金と俺達を置いてな」

 「ある噂?」

 「そうだ。それはケールと村人のエリアが付き合っているということだ。それでエリアがいなくなれば頭のいい奴はリリアとケールの間に子供が出来てケールがエリアをを逃がしたと思うだろう。そんな事がばれたらリリアの身にも何か起こるかもしれないと思った。だからケールとエリアは一緒に帰ったのさ」

 俺はほぼ確信を持って言った。

 「その噂を流したのはお前だろう。フラウス。」

 フラウスは不気味に笑いながら言った。

 「あぁ。その通りだよ。あいつが残ってたら俺がずっと考えた計画にも支障をきたすと思ってな。それで俺はケールが生きているとリリアが貴族になることは難しいと思った。だからあいつらは殺した。」

 今こいつは聞き捨てならないことを言った気がする。

 「......私のお母さん達を殺したの?あなたが魔物に殺されたって言ったんじゃない」
 
 リリアが魔物を殺しに行ったのはそういうことだったのか。

 「俺が殺したって言うより俺がそうするように仕向けたって言った方がいいな。俺はケール達が帰る馬車にこいつが言ってた魔物の食事の匂いが強烈に匂うものを馬車に密かに置いた。それで魔物に襲わせたんだ。俺の知り合いの盗賊にも確認させたから間違いなく死んでいる」

 俺は今までこれ程まで怒ったことはないと思う。こいつは下種だ。

 だが、まだこの怒りに任せて、こいつを襲ったらまだ聞きたいことが聞けない。

 俺は一度深呼吸して冷静に聞いた。

 「それで、お前が初めに考えてた計画とは何なんだ?」

 フラウスはもう全てを話してくれた。

 「初めはこの森にいる少数の魔物でいいからそれと盗賊を襲わせて、全員村人を殺した盗賊の手から俺がリリアを助けてケールの居た国に行って、リリアにケールの事を話して、リリアにケールの思いを託そう的なことを言って、こいつを貴族にするはずだった」

 そこでフラウスは俺を睨みつけた。

 「だが、お前の親父が来たことによって少し事情が変わった。あいつが元冒険者ということを村長から聞いてな。これでは魔物の数も少ない。まだ多く必要になるが、これはそれほど俺の計画に支障はなかった。だが、お前が村長の家に来てから、俺の計画は全て狂った。リリアは学校に行きたいなど言いだす。猫神を召喚するなど、俺の計画を全て潰していった」

 「それで、早くなったが計画を実行したのか?」

 「あぁ。そうだよ。お前のせいでな」

 フラウスは吐き捨てるように言った。

 俺が聞きたいことはそれだけじゃない。

 「村はどうなったんだ?」

 「知らねーよ。だが、盗賊には村長とアンリは先に殺すように言ったから死んだんじゃないか。他は殺すように言ったが出来ているかは分からんがな」

 リリアは耳を塞いで、その場にしゃがみこんでしまった。

 聴きたいことは聞けた。

 多分親父達は生きていると信じよう。

 俺はそれよりもやることがある。

 殺すかは後で考えるがまずはこいつをぶっ飛ばす。

 俺は剣を構えた。

 「お?やる気か?お前模擬戦では本気を出していなかったからな。本当の実力がどんなものか楽しみだ」

 フラウスも剣を構えようとした時、フラウスが消えた。

 「......え?」

 俺は目の前で消えたことにどうしようも無かった。だが何か焼けたような匂いがする。

 俺はタマなら何か分かるかと目線を向けると、

 「誰かがこの下種を魔法で消し炭も残さないほど燃やしたニャー」

 ......なんだと。そんな魔法があるのか。俺はこんな魔法を見たこともない。しかも人の骨も残さないような威力の魔法だなんて。

 そこで森から一人のエルフが現れた。
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