デザイナーベビーの失敗作でチー牛に生まれた俺とイケメンチートないじめっ子が入れ替わった話

幾霜六月母

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約束の地にて…in Summer

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夏の太陽が容赦なくアスファルトを焦がす8月。

人波がうねるように押し寄せるコミックマーケット、通称コミケ。
ーーその喧騒の中、二人の男の姿があった。

一人は、冴えない曇った眼鏡にヨレヨレのアニメTシャツ、リュックをパンパンに膨らませた典型的なチー牛オタク、牛殿地位人。
もう一人は、スラリとした長身、爽やかな笑顔が眩しいイケメン男子、槍間来都。まるで正反対の二人が、並んで一緒にコミケに来ていた。

チー牛こと地位人は、コミケ常連の筋金入りのオタク。

特に美少女フィギュアとアニメが大好きで、今回のコミケも目当ての限定グッズを手に入れるために、徹夜組で並んだほどの熱意だ。

一方、来都は今まではただのイケメンリア充。

スポーツ万能、容姿端麗、女の子にはモテまくり…チー牛からすればまさに「勝ち組」の人生を謳歌している。

そんな二人が、とある不思議な出来事で入れ替わって友達になり、今では一緒にコミケに来る仲になったのだ。

「おい、チー牛！大丈夫か？顔が真っ赤だぞ！？」

来都は、人混みにもみくちゃにされながら、よろめく地位人を心配そうに覗き込む。

「だ、大丈夫、だ…これでも、歴戦の、勇者、だし…」

地位人は、汗でびっしょりになった額を拭いながら、必死に答えた。
普段、人混みとは無縁の引きこもり生活を送っているチー牛にとって、この熱気と人の多さはかなりの負担だった。

「だから言っただろ？その体は重すぎるから、元に戻ったら少しは鍛えたらどうだ、ってな！」

来都は涼しい顔で周囲を見渡しながら、軽快に言った。
その余裕綽々としたイケメンフェイスと態度に、地位人は内心「コイツこういう所は変わらないな…」と舌打ちをした。

二人は人波を掻き分けながら、地位人が事前に調べておいたお目当てのサークルを目指した。

もちろん、魔法少女マジカル♡りりかるの限定グッズは絶対ゲットしたい！

…しかし、人があまりに多すぎてたどり着けない…。
地位人は言葉を失った。

「こ、これは…無理だ…」

絶望的な表情で呟く地位人。
来都は、そんな地位人の様子を見て、ニヤリと笑った。

「よし、チー牛！俺に任せろ！」

そう言うと、来都は驚くべき行動に出た。
普段サッカーで鍛えた機敏な動きで、人の波をモーゼのように割っていく。

「す、すごい…！さすが…イケメン…！」

地位人は、来都の予想外の活躍に、ただただ驚くばかりだった。

「ははっ、こんなの朝飯前だ！俺だって推しのグッズ欲しかったからな。お前のもついでだ、ついで！」

来都は、得意げに胸を張った。

こうして、地位人は無事に目当ての限定グッズを手に入れることができた。
来都のおかげで、コミケでの最大の目的を達成した地位人は、心から感謝の気持ちでいっぱいだった。

「来都、本当に感謝…マジ、神…！！」

地位人は、来人に心からの敬礼をした。

「…親友なんだから、当たり前だろう。それより、腹減ったな。何か食おう！」
「…だったらやっぱり、牛丼だろ！」
「だな！」

来都は、明るく答えた。

二人は、コミケ会場近くの牛丼屋に入った。

「俺は、チーズ牛丼特盛で！」

来都は、メニューも見ずに注文した。

「俺は…メガ盛で…」

地位人は、相変わらずネッチョリとした小声で注文した。

二人が注文したチーズ牛丼が運ばれてくる。

「「いただきます！」」

二人は、同時に箸を伸ばした。

「やっぱり、チーズ牛丼は最高だな！」

来都は、爽やかな満面の笑みで言った。

「うん…美味しい…」

地位人も、チーズ牛丼の美味しさに思わず笑みがこぼれた。

二人は、黙々とチーズ牛丼を平らげた。

「「ふぅ…ごちそうさまでした！」」

二人は、満腹感に満たされ、満足そうに息をついた。

「チー牛、今日は楽しかったな！冬もまた一緒にコミケ来ような！」

来都は、笑顔で言った。

「うん…俺も楽しかった…また来よう…」

地位人も、心からの笑顔で答えた。

こうして、オタクのチー牛男子とリア充イケメン男子の意外な友情は、チーズ牛丼の温かさの中で、さらに深まっていったのだった。

夕焼けに染まる空の下、二人は肩を並べて歩き出した。

人混みの中、チー牛とイケメンの二人の姿はまるで違う世界に生きているように見えたがーー彼らの間には確かに熱い友情の絆があった。

コミケという非日常空間が、二人の間に不思議な化学反応を起こし、新たな関係性を築き上げたのだーー。
そして、その中心には、熱々のチーズ牛丼があった。
それは、二人の友情の証であり…最高の味だった！

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