魔女

黒花 歩

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魔女

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カチッカチッ
火のつかないライターをポケットにしまい深く息を吸う、今日は副流煙で我慢するかと思い喫煙所を出ようとするといつの間にか隣に女がいることに気づく
都会とは言い難く夜も更けたこんな場所に自分以外が居るだけで驚きだがその存在に気づけなかったことの方が驚きだ
ここの喫煙所は建付けが悪くドアを開ければ必ず気づく、それに俺はまだここに来て数分と経っていない、いつの間にかというにはあまりにも早い、元から居るのに気づかなかった可能性もあるがそうではないようだ
女は黒いコートの内側に手を入れタバコを取り出す
その風貌はさながら魔女である
全身を黒ずくめに覆いながらもその肌は純白、瞳は深い紺色をしており、髪は鈍い金色をしている
「火がいるかい」
話かけられふと我に返る
一瞬のつもりがそれなりの間見入ってしまっていたようだ
「悪いな」
タバコを取り出して女を見直すといつの間にか女のタバコには火がついていた
妖艶でありながらその存在感はないに等しい
ふぅ一気にタバコを吸いきるとゆっくりと息を吐きこちらに手を向ける
パチッ
女が軽く指を鳴らし向けてきた人差し指にはどういう訳かロウソク程の火が灯っていた
タバコにも火がつくところを見るにどおも本物らしい
目を瞑りタバコの煙を肺一杯に吸い込むと血に乗ったニコチンが即座に脳に届き全身に快感が響く
近頃は煙たがられるがこの快感を知れば誰も後戻りなどできない
そう、快感というのはどうにも抗い難いものなのだ、別の快感がなければ
目を開けると女は居らず口紅のついた吸殻だけが残っていた
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